「火の神」としての性質が付加されるようになった背景には、やはり一番大きな影響はインドで広く崇拝されていたアグニ信仰があるのではないだろうか。アータルがアジ・ダハーカと戦う際に「口の中を焼く」という表現が出てくるが、アグニがヴリトラと戦う際にも同様の表現が出てくる。やや距離的には遠くなるが、朝鮮の伝承に、天狗が太陽を盗もうとする際に、口に咥えたら口の中を焼かれた、というモチーフが出てくる。このようにイラン外の火神、太陽神に対する概念が影響を与えているであろう。
また、アータル自身が「火」と考えられていなかったとしても、「火」に関連する近い存在とみなされていたと考えられる。例えば、ゾロアスター教では「火は岩の中から発見された」とある。アータルがアトラスと同じように、岩と化して世界を支える存在だと考えられていたのであれば、火は彼の中から発見された可能性がある。あるいは、塗山氏女から生まれた啓のように、アータルは死して岩となった母の中から生まれた火に近い性質を持つ神として、元々考えられていたかもしれない。あるいは「火」を発見したホシャンが、インドの原人プルシャと同語源、すなわち遠くアータルとも同語源で、ホシャンとアータルは元は「同じもの」であって、人間化したものがホシャンであり、神に移行したアータルも「火を発見した神」として元々考えられていたのかもしれない、と思う。これらの説のいずれかに当てはまるかどうかは分からないが、ともかく「火」に近縁性の高い神だったので、最終的に「火の神」とみなされるようになったのだろう。また、アータル自身が「火」と考えられていなかったとしても、「火」に関連する近い存在とみなされていたと考えられる。例えば、ゾロアスター教では「火は岩の中から発見された」とある。アータルがアトラスと同じように、岩と化して世界を支える存在だと考えられていたのであれば、火は彼の中から発見された可能性がある。あるいは、塗山氏女から生まれた啓のように、アータルは死して岩となった母の中から生まれた火に近い性質を持つ神として、元々考えられていたかもしれない。あるいは「火」を発見したホシャンが、インドの原人プルシャと同語源、すなわち遠くアータルとも同語源で、ホシャンとアータルは元は「同じもの」であって、人間化したものがホシャンであり、神に移行したアータルも「火を発見した神」として元々考えられていたのかもしれない、と思う。しかし、一番ありそうなのは、アータル自身が岩かあるいは鋼鉄のように「熱すれば熱くなるけれども、たやすくは燃えない体」を持っていたと考えられる神だったのではないだろうか。彼自身が「火による裁き」に誰よりも強い体を持っていたのである。同じイラン系の伝承であるオセット族のナルト叙事詩のバトラズは鋼鉄の体を持ち、熱く熱されて状態で生まれた。彼は「火」ではないが、その高熱で周囲を燃やすことはできたであろう。バトラズの名もアータルと同語源と考える。近年バトラズとアーサー王の関係を示唆する学説がみられるが、どちらも'''アータルに近い神的概念から発生した英雄'''と考える。 ナルト叙事詩のバトラズは、父親から生まれた子供であり、その点がギリシア神話のアテーナー女神と類似する。また、バトラズは父親を殺したナルト達に苛烈で凄惨な復讐を行う。「女神が父親を殺した復讐に荒れ狂う」という神話はあまり類例を見ないが、「父親」を「夫」に置き換えて夫の復讐に挑むエジプト神話のイシス、「父親」を「娘」に置き換えて娘を怪我させた息子を殺してしまう朝鮮の伝承の母神、「夫」が亡くなったら神託に従って朝鮮を征討してしまう神功皇后とか、崩れた形の神話にはいくつか例がある。もしかしたら、バトラズも非常に古い時代には女神だったかもしれない、と考える。アテーナー女神の場合は、父親が主神ゼウスだから、誰かに殺されるはずもなく、親の復讐を果たす神話は削除されてしまったものと考える。ただし、彼女が正常に生まれていたら、いずれゼウスの後継者になるだろう、という預言を受けており、婉曲的ではあるが父の死後、後継者となったというニュアンスのエピソードをアテーナーは有している。イラン神話のアータルも同様で、父親が「偉大な神」だから、復讐の機会が生じるはずもない。しかし、オセット族の中には、アータルが神というよりも半人半神の英雄神とみなされていた時代の古い伝承が残されたのだろう。アータル、バトラズ、アテーナー、アーサーと彼らは広く「'''起源が同じで性質が類似している'''」神話的存在なのである。 起源的には、バトラズ、アータル、アーサーの順に古いと考える。
== 解説・神話 ==