* '''去勢牛'''[きょせいぎゅう]
: 人工的に去勢されたウシのこと。食肉を目的として肥育されるにあたっては、雌雄とも去勢されることが多い。荷車牽引などの用務牛用途を目的として牡牛を用いる場合にも、精神的な荒さや発情を削ぐために去勢されるケースがよく見られる。英語では特にオスの去勢牛を"ox"、メスを"steer"と呼んで区別する。
* '''[[乳牛]]'''(にゅうぎゅう、英:''dairy cattle''): [[搾乳]]目的で飼育されるウシのこと。搾乳目的で飼育されるウシのこと。* '''{{Anchors|未経産牛}}未経産牛'''(みけいさんぎゅう、英:{{lang|en|''[[:en:Heifer|heifer]]''}}): [[妊娠]]ないし[[出産]]を経験していない牝牛のこと。乳牛用途・肉牛用途ともに高価で取引される。妊娠ないし出産を経験していない牝牛のこと。乳牛用途・肉牛用途ともに高価で取引される。* '''{{Anchors|経産牛}}経産牛'''(けいさんぎゅう、英:{{lang|en|''delivered cow''}})
: すでに出産経験のある牝牛のこと。肉牛として出荷する場合には、未経産牛に比較して安価で取引される。
=== 日本語の方言・民俗 ===
日本の[[東北地方]]では牛を[[べこ]]と呼ぶ。牛の鳴き声(べー)に、「こ」をつけたことによる。地方によっては「べご」「べごっこ」とも呼ぶ。日本の東北地方では牛をべこと呼ぶ。牛の鳴き声(べー)に、「こ」をつけたことによる。地方によっては「べご」「べごっこ」とも呼ぶ。
[[柳田國男]]によれば、日本語では牡牛が「ことひ」、牝牛が「おなめ」であった。また、[[九州]]の一部では[[シシ]]すなわち食肉とされていたらしく、「タジシ柳田國男によれば、日本語では牡牛が「ことひ」、牝牛が「おなめ」であった。また、九州の一部ではシシすなわち食肉とされていたらしく、「タジシ(田鹿)」と呼ばれていた<ref>柳田國男『定本 柳田國男集』第1巻 筑摩書房 258頁</ref>。
== 形質 ==
{{Anchors|生態・形態上の特徴}}
[[ファイル:Stomach and intestine of cattle.jpg|thumb|180px|ウシの胃と腸。国立科学博物館の展示。]]
[[ファイル:Bos Taurus Male 2.svg|upright=1.4|thumb|牡牛の解剖図。'''1.''' [[Rectum]] '''2.''' [[Prostate]] '''3.''' [[Glande bulbo-urétrale|Glandes de Cowper]] '''4.''' Muscle ischio-caverneux '''5.''' Muscle bulbo-caverneux '''6.''' [[Muscle crémaster|Cremaster]] '''7.''' [[Épididyme]] '''8.''' [[Testicule]] '''9.''' [[Vésicule séminale]] '''10.''' Canal déférent '''11.''' [[Vessie]] '''12.''' [[Panse]] '''13.''' Flexure sigmoïde '''14.''' [[Pénis]] '''15.''' [[Gland du pénis|Gland]] '''16.''' Bourse]]
[[ファイル:Bos Taurus Female.svg|upright=1.4|thumb|牝牛の解剖図。'''1.''' [[Rectum]] '''2.''' [[Vulve]] '''3.''' [[Clitoris]] '''4.''' [[Vagin]] '''5.''' [[Os]] '''6.''' Glande mammaire '''7.''' [[Trayon (anatomie)|Trayon]] '''8.''' [[Col de l'utérus]] '''9.''' [[Vessie]] '''10.''' Pavillon '''11.''' [[Ovaire (anatomie)|Ovaire]] '''12.''' Corne utérine '''13.''' [[Oviducte]] '''14.''' [[Glande mammaire|Pis]]]]
ウシは[[反芻#反芻動物|'''反芻動物''']]である。反芻動物とは'''[[反芻]]'''(はんすう)する[[動物]]のことであるが、そもそも「反芻」とは、一度呑み下して[[消化器系]]に送り込んだ食物を口の中に戻して[[咀嚼]]し直し、再び呑み込むことをいう。このような食物[[摂取]]の方法を取ることで栄養の[[吸収]]効率を格段に上げる方向へ[[進化]]し、その有利性から[[生態系]]の中で大成功を収めて世界中に拡散した動物群が、反芻動物であった。多様に見えて、その実、[[単系統群]]である。そのような反芻動物の中でも、ウシが属する[[ウシ科]]はとりわけ進化の度合いが深まった分類群([[タクソン]])の一つであり、ウシの仲間(※少し範囲を広げて[[ウシ族]]と言ってもよい)は勢力的にも代表格と言える。彼らは、[[ヒト]]に飼われて殖えたのも確かではあるが、もともと自然の状態で生態上([[種 (分類学)|種]]数と[[バイオマス|生物量]]の両面で)の大勢力であった。反芻動物の進化がウシ科のレベルまで深まる以前に勢力を誇っていたのは[[ウマ]]に代表される[[奇蹄類]]であり、ウシ科は栄養吸収効率の大きな差を活かして奇蹄類を隅に押しやり分布を広めた。そのことは[[地質学]]的知見で証明可能である。家畜としても比較されることの多いウシとウマであるが、同じ質と量の餌を与えた場合、栄養面で報いが大きいのは間違いなくウシであるということもできる。