武五百建命
武五百建命(たけいおたけのみこと、たけいおたつのみこと、生没年不詳)は古墳時代の豪族で初代科野国造。「国造本紀」では建五百建命と記される。
概要
『先代旧事本紀』「国造本紀」には神八井耳命の孫で崇神朝に科野国造に任じられたと伝わる。これに関連して、武五百建命は科野大宮社を創建したという伝承がある。
『阿蘇家略系譜』や「門山家系図」などには阿蘇国造の祖・健磐龍命(たけいわたつのみこと)と同人として扱われるが、両者は活動年代も活動地域も全く異なっており、実際には九州の称多氏族の諸国造が『記紀』編纂時までに多氏と同族化した際、名前の類似から同人化したものと見る説がある[1][2]。
系譜
私的考察
五十猛神になぞらえれば、武五百建命(たけいおたけ)は「タケ(木)」+「五百」+「タケ(木)」となり、「500本の木の神」となり「タケ」が2つ重ねられているので、「木の神」であることを強調しているのではないか、と思う。あるいは「そ」音と「お」音に交通があると仮定すれば、五十猛神と武五百建命は同じ神であるといえる、とも思う。そうすると、「林業の神」、「木工芸の神」等とされて、「子孫に祀られていない」とされる五十猛神と、多くの現存の氏族の先祖とされる武五百建命は、「同じ神」でありながら性質によって名前を少し変えている神である、ともいえる。武五百建命と五十猛神が同じ神であるとするならば、武五百建命は須佐之男の子孫でもある、と暗に示しているともいえる。では、神八井耳命とは何なのか、ということになる。
その前に、阿蘇(熊本)の神健磐龍命(たけいわたつのみこと)との比較であるが、「同じ神」であるとすると、「イオ」と「イワ」という音には交通がある、ということになる、「タツ」、「タケ」、「タテ」も同様である。阿蘇(あそ)という言葉を「ア(接頭辞)」+「ソ」とすると、「ソ」は何なのか、ということになるであろう。武五百建命は須々木水神社に祀られている。「須々木」とは古語で「進木(すすき、あるいはすすぎ)」と言われた「杉」のことと思われる。「スギ」という言葉が「ス(ス)」+「キ」に分けられるのであれば、「阿蘇」の「蘇(ソ)」は「ス」と交通がある音で「杉」のことと指すとは受け取れないだろうか。「スギ」という言葉の内「ギ(キ)」が略されている。「阿蘇」という言葉は、いわば「御(お)杉」という意味ではないだろうか。熊本県は少なくとも中世にまで遡って植林が行われ、林業のための木が植えられたことが分かっている。五十猛神は自然木の神というよりは林業のための植林の神といえ、五十猛神、武五百建命、健磐龍命(別名阿蘇神)がいずれも名前が同じ神であるとすれば、これらはまた「植林の神」、主として「杉の神」として性質も共通している可能性が高く、名前の点からも性質の点からも「同じ神」と結論づけて良いのではないだろうか。
祀る神社
- 二子神社(長野県上田市上田)
- 須々岐水神社 境内 祝神社(長野県千曲市屋代)
- 唐崎神社(長野県千曲市)