シワット
シワット(Šiwat、主格:Šiwaz「日」)は、太陽を現したヒッタイトの神であった。彼はまた、くさび形文字(シュメール)のdUD(太陽神、日神[1])、あるいはより一般的にdUD.SIG5(神の恵みの日)と表記された。後者は明らかに死の日を婉曲的に表現したもので、これはヒッタイトの宗教儀式によって裏付けられている。
「神の恵みの日」を意味するシワットは、葬儀の場で「故人の魂」や祖先(ヒッタイト語で 「祖父母」を意味するフフエシュ・ハネシュ(ḫuḫḫeš ḫanneš))と共に祈願された。女神フヴァシュシャナ(Ḫuwaššanna)の信仰においては、運命の女神グルシェシュ(Gulšeš)とハリシュタシ(Ḫarištašši)と共に祈願されている。ハリシュタシは家神・家族神の一柱であり、誕生、運命、そして死の日の間に関連した女神とされている。タウリシャの町では、「神の恵みの日」は「小さな場所」(おそらくは墓を意味する)と「別れの時」(死の時刻)、つまり死の瞬間に祈願される。
ハッティ語圏では、イッシスタヌ(Izzištanu)がこの神に相当し、これはハッティ語「izzu」(「好都合、親切」)と「eštan」(「太陽、日」)から成る造語である。
私的解説
ルウィの太陽神ティワズ(Tiwaz)と同語源といわれる男性形の太陽神である。ヒッタイトでは太陽神としての性質は弱められており、「死と再生の神」であるハリシュタシと同じような機能を持っていたと思われる。ルウィのティワズと同語源の北欧神話のテュールは軍神としても現されるので、「死と再生の神」ならばメソポタミアのネルガルに近い性質もあったかもしれないと思う。ただ、完全に「冥界に住まう神」とまではみなされていなかったと考える。近い名の神は、エジプトのイシス(Rūsat)と思われる。
北欧神話の軍神テュールには、「フェンリルに腕をかみちぎられた」という、「月神」を思わせる神話があるので、シワット。ティワズも古くは月神だったかもしれないと思う。
またカフカスの「天空の精霊神」であるワステュルジ(Uastyrdji)も名前の近い神と考える。ワステュルジの祭祀で犠牲となる雄牛は、神のものであることを示すため、その右角は祭のかなり前から切り落とされるとのことである。これも「月神」を思わせるし、テュールを連想させる。ワステュルジは乱暴者の神で、ゼラセという死者を再生させサタナという娘を得る。「死と再生の神」という点ではシワットとも一致する性質である。
乱暴者で「生と死の秩序を乱す神」である、という点については、インド神話のシヴァに類する神とも考える。
総合的に考えて「死者を再生させる」という「魔術師的な性質を持つ」神なので、祝融型神のうち、伏羲型神と考える。太陽神の一柱ではあるが、月神・太陽神のいずれの性質も弱い神と考える。
おそらく、一番古い神話は、「首を切られた饕餮が、月神となり、生者と死者(神々)の世界の仲介役、すなわちヘルメースのような伝令神、あるいは境界の門番のような神に任ぜられた」というものだと思う。でも、時代が下って、この神が「太陽女神を食べて太陽神になった」とされるようになってから、性質が肥大化してしまって現在に至る気が、個人的にはする。
参照
- Išpanzašepa:ヒッタイトの夜の女神である。
参考文献
- Wikipedia:Šiwat(最終閲覧日:26-01-08)
参照
- ↑ 1日、2日の「日」の意味