年獣
ナビゲーションに移動
検索に移動
中国では「年がかわる時、魔物が出没する」との言い伝えがある。なので、人々は年越しの時期に魔物を追い払うために爆竹を鳴らし、花火を盛大に打ち上げるのだという。この年越しの時期に現れる魔物を「年獣(年兽, Nián shòu)」と呼ぶ。人間の生肉の味、特に子供を好む。“年”と同じ発音なので“年(nian)”とも呼ばれる。魔物は、赤と爆竹が嫌いだと言われているので、赤色のもので家を飾り、爆竹を鳴らす。
年獣
「年」とは人を食う怪獣で、姿かたちは牛のように大きく、血が滴る口を大きく開け、毎冬の収穫物を蓄える頃に現れては人を襲って食い、人々を恐れさせていた。だが、次第に人々はこの「年獣」が最も怖がる三つのものに気付いた。一つ目は赤い色、二つ目は火の光、三つ目は大きな音だ。そこで年獣が現れる前に、家々の門に赤い桃の木の板を立て掛け、門前で火を燃やした。さらに大みそかの晩は夜通し寝ずに絶えずいろいろな音を立てて、年獣が襲って来ないようにした。夜が明けてから、人々は外に出て来て互いの無事を確かめ、新年を迎えたことを喜び、宴会を催してにぎやかに祝った。
年獣を防ぐ三つの魔よけは、時代とともに変わった。赤い桃の木は、めでたい言葉が書かれた赤い「春聨」(春節を祝って門などに貼る対句)となり、高く積んで燃やしたたきぎは真っ赤な大ちょうちんに、物を打ち鳴らして大きな音を立てていたのは爆竹に代わり、今のような年越しの風習となった[1]。