三神婆

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三神婆(サムシンハルメ)とは、韓国の女神で、子供を授けてくれる神、とされている。

神話

媽媽(ママ、天然痘)大王との対立

人間を誕生させる役割を引き受けたサムシンハルメは、「息子を産ませてくれ」と願う家にずっと娘だけを授けて失敗したせいで困った状況に陥ります。彼女が滞在する村にちょうど天然痘大王が訪れ、天然痘を広めながらめちゃくちゃにしてしまいます。天然痘大王との争いで劣勢に追い込まれたサムシンハルメは、天然痘大王の妻に「子どもを授けてあげる」と提案します。この言葉に天然痘大王も天然痘を鎮ませて大人しく過ごすことにしました。

やがて出産の日が近づき陣痛が始まると、天然痘大王はサムシンハルメのもとを訪れ、「二度と問題は起こさない」と哀願しながら妻を助けてくれと訴えます。やがて子どもが生まれるのですが、産んでみると天然痘大王が望んだ息子ではなく、娘でした。

天然痘大王が問い詰めると、サムシンハルメは一言で天然痘大王を退けました。

「私は子どもを産ませてあげると言っただけ、息子の約束はしていない」

済州島の伝承

サムシンハルマンの祖父は天王菩薩、祖母は地王菩薩、父は世界大王、母はミョンジン国の娘だ。

7歳になった時に玉皇上帝が呼び、人間の世界に子どもを産ませるサムシンになれと言われて、学んで命令を受けて降りてくる途中、竜王の娘が泣いているのを発見して理由を尋ねる。竜王の娘が子どもを授かったのだが、分娩する方法を知らず、産婦と赤ちゃんの両方が亡くなったという話を聞いた。

話を聞いていたサムシンが「私がサムシンなのにどういうことだ?」と言うと、昔のサムシンハルマンが来てサムシンハルマンを叩いた。

一方、昔のサムシンハルマンによって妻と赤ちゃんを失った者が玉皇上帝に訴えると、玉皇上帝が昔のサムシンハルマンを連れて来て取り調べを行ったところ、昔のサムシンハルマンは東海竜王の娘で罪を犯して追い出され、人間の世界で罪を償うためにサムシンの役割を果たしていたのだった。

これに玉皇上帝が2人のサムシンハルマンに花を咲かせる問題を解かせたが、サムシンハルマンの花はきれいに咲いた一方、昔のサムシンハルマンの花は上手く咲かなかったため、サムシンハルマンはこの世で子どもを授ける役割を与え、昔のサムシンハルマンはあの世で亡くなった子どもたちの世話をさせることにした。

三神婆の祀り方

アンバン(母屋の奥にあって台所のついている部屋)にサムシンハルメを祀る方法としては、韓紙で袋を作った後、米を入れてオンドル部屋の焚き口に近い部分に高く吊るしたり米をひょうたんに入れて棚の上にのせたりします。家庭に不和が生じたり、しっかりと敬わなければ家を出ていきます。サムシンハルメが出て行った家では子どもを産むことができず、子どもが病気にかかります。

私的解説

三神婆は祀る際に三つに分けて祀られる傾向が強く、名前のとおり、元は3人の女神だったと考える。そして、米が依り代のように扱われているので、米の豊穣と関連する女神だったと思われる。女神を祀るのに焚き口に近い位置にすえるのは彼女達のうちの一人が「燃やされた女神(太陽女神)」だから、「吊す」のは彼女たちのうちの一人が殺される時に吊されたから(馬頭娘)、ヒョウタンにのせるのは、彼女たちのうちの一人が大洪水をヒョウタンに乗って逃れたから、という故事によるものと考える。またヒシャクとされる際のヒョウタンは神話的に北斗のヒシャクとも関連付けられ、彼女達は「北斗の女神達」とも考えられていたのではないか、と思う。

彼女たちは、中国神話の女媧に相当する女神と考える。その起源はミャオ族のニュウシャン(婆神)、メイパンリュウ(蝶神)、ニャンニではないだろうか。

日本では天御梶日女命、八坂刀売、伊邪那美命大宜都比売などに相当すると考える。

関連項目

参考文献

参照