「荻野池」の版間の差分

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[[File:DSCN7742.JPG|thumb|500px|荻野池]]
 
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'''荻野池'''(おぎのいけ)は、長野県長野市信州新町荻野高原にある湖沼。
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'''荻野池'''(おぎのいけ)は、長野県長野市信州新町荻野高原にある湖沼。太田川の源流?
  
 
== 地理 ==
 
== 地理 ==
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== 伝承 ==
 
== 伝承 ==
 
;[[椀貸伝説]]
 
;[[椀貸伝説]]
:多留姫が村人に膳椀を必要な分だけ貸してくれる、というもの。『長野県史』に紹介されているものを要約して以下に記す。
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:かつては、池のほとりのトイレの前に、伝説の立て看板があったそうです。紹介されているブログのものをそのまま転載させて頂きます。現在はこの立て看板はありませんでした。こういう伝説が時の流れと共に薄れていくことは残念でなりません。
::むかし、働き者で仲むつまじい夫婦が子供を授かった。出産のお祝い事をしようとしたが、貧しかった彼らは客を迎え入れるだけの数の膳椀を持っていなかった。ある日のこと、土手で休んでいると夢の中に多留姫が現れ、紙に必要な膳椀の数を書いて滝壺に落とすよう告げた。夫婦二人とも同じ夢を見たので言うとおりにすると、翌朝には滝壺に膳椀が用意されていた。夫婦はお祝い事をすることができ、使った膳椀を洗って滝壺に返した。この話を聞いた怠け者が、同じような方法を試して膳椀を手に入れた。返すとき、一つくらいなら分からないだろうと思って全部を返さなかったため、以来多留姫は貸すことをやめてしまった<ref>『長野県史 民俗編 第二巻(三) 南信地方 ことばと伝承』589 - 591ページ。</ref>
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::良く晴れた夕暮れどき、池の端を歩くと、どこからともなく「カラッコン、カラッコン」と機を織る音が聞えてくるという。
:このほか、貸した膳椀が壊されてしまったために貸さなくなった、という話もある<ref name="chinoshishigekan" />。
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この機織り姫は戦乱の世、この池に身を投じ壮烈な最後を遂げた若くして美しかった萩野城主奥方の化身だと村人は伝える。萩野の村に祝言や葬儀があった時村人はこの池に向って、お頼みをすると翌朝必ず必要量の膳椀が池の端に並べられ村人は有難く借用に及び、すがってきたのだが、ある時一人の不心得者がお借りした一部を私戝に残すという不始末があってからは村人が池に向ってどんなにお頼みをしても池は沈黙のままでお借りすることはできず、その上機織りの音も途絶えて仕舞ったという。(平成八年五月吉日 信州新町歴史蹟研究者 長野郷土史研究会員竹内)<ref>「https://minekaido.com/2018/08/07/%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%80%80%E8%90%A9%E9%87%8E%E6%B1%A0%E3%81%AE%E6%A9%9F%E7%B9%94%E3%82%8A%E5%A7%AB/ 峰街道(天空の道、大町峰街道、善光寺峰街道)、伝説 萩野池の機織り姫」より転載</ref>
  
;抜け穴伝説
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=== 私見 ===
:多留姫の滝に流した物が別の場所で発見される、というもの。滝壺に椀や糠を流したところ、それが茅野市ちの上原にある葛井神社の池に浮かんでいたという<ref name="chinoshishigekan" />。なお、この葛井神社の池にはさらなる抜け穴伝説が存在しており、諏訪大社大晦日の神事のあと、お供え物を投げ込むと遠江国(静岡県)にある池に浮かぶとされ、諏訪大社七不思議]の一つに挙げられている<ref>『日本歴史地名大系 第20巻 長野県の地名』346 - 347ページ。</ref>。
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前半は池に身投げした「機織り姫」の物語といえ、これがそのまま「池の主」となって、「椀貸」を行った、と受け取れる筋書きの物語です。'''織女の死と水神(河伯)'''の関わりの物語や習俗は中国を中心に東アジアに広くみられる物語で、記紀神話の「須佐之男の狼藉と織女の死」もその一型といえます。その典型的なパターンから見れば、「織女」はむしろ水神に妻として捧げられた人身御供であって、椀を貸すのは「夫」である水神の方ではないのか、と思うのですが、荻野池の伝説では、その点が端折られています。
  
== 私見 ==
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ただ、信州新町のような田舎でも、「織女の死と水神(河伯)」のような広く国際的に分布する伝承が語り継がれていた、ということはとても興味深く感じて、是非紹介したい、と思ったので、この項を作りました。
'''多満留姫'''(あるいは多留姫)は建御名方神の妻神とされたり、建御名方神の子神である出早雄命の妻神とされたりする女神である。諏訪氏族の「母神」としてもっと重要視されて良い女神ではないか、と個人的には思う。
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それから個人的な興味の動機としては、アニメ映画監督の宮崎駿氏が、長野県富士見町に別荘を有していたころに製作された「もののけ姫(1997年)」は、登場人物の名前に富士見町の地名がいくつか使われていることで有名ですが、「千と千尋の神隠し(2001年)」の主人公である「荻野千尋」は、「荻野池」も「千尋池」も長野県にある池の名前ではないのか、と個人的に感じるため、取り上げてみました。「千尋池」は諏訪大社下社秋宮の横にあります。
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諏訪大社下社の神職は、かつて信濃国造家の流れを組む金刺氏が務めており、下社の摂社の若宮社には「建御名方彦神別命」という建御名方命の子神が祀られています。この神は北信では水内大社の主祭神であり、善光寺の前身といえる長野市城東の健御名方富命彦神別神社、長野市信州新町水内斎宮の健御名方冨命彦神別神社等がかつての水内大社に比定されています。長野市を含むかつての水内郡はかつて信濃国造家の長野県内における拠点の一つでもありました。信州新町の健御名方冨命彦神別神社には金刺氏の祖神も祀られています。また下社の近隣である岡谷には賀茂別雷神を祀る小井川賀茂神社があり、長野市信州新町越道小井戸には建御雷神を祀る近戸皇大神社があり、「荻野池」と「千尋池」は雷神を奉斎する賀茂氏あるいは信濃国造金刺氏<ref>私の考えではこの2つは同じものであって、金刺氏は賀茂氏の一派ではないのか、と思うのですが。</ref>に縁のある池なのではないな、とあれこれ想像すると、何か因縁めいたものを感じて、興味が尽きないのです。
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==

2022年4月3日 (日) 07:26時点における版

荻野池

荻野池(おぎのいけ)は、長野県長野市信州新町荻野高原にある湖沼。太田川の源流?

地理

荻野池は、信州新町の中では小川村に近い場所にあり、近隣に小川村北アルプス絶景の宿「林りん館」や萩野高原「森の家」(長野市山穂刈)がある。信州新町から行くには、国道19号線を奈津目橋から県道36号線(信濃信州新線)を津和・小川村方面に向かって入り、「荻野高原」の標識に沿って進みます。

めったに人が訪れることはないようなので、行かれる方は「自己責任」で御願いします。[1]近くには、小川村の筏ヶ峰戸隠信仰遺跡もあります。秘境感はかなりあるかもしれません。熊は注意の立て看板がなかったので、出るのか出ないのか良く分かりません。でも、近くの戸隠では出るような??

伝承

椀貸伝説
かつては、池のほとりのトイレの前に、伝説の立て看板があったそうです。紹介されているブログのものをそのまま転載させて頂きます。現在はこの立て看板はありませんでした。こういう伝説が時の流れと共に薄れていくことは残念でなりません。
良く晴れた夕暮れどき、池の端を歩くと、どこからともなく「カラッコン、カラッコン」と機を織る音が聞えてくるという。

この機織り姫は戦乱の世、この池に身を投じ壮烈な最後を遂げた若くして美しかった萩野城主奥方の化身だと村人は伝える。萩野の村に祝言や葬儀があった時村人はこの池に向って、お頼みをすると翌朝必ず必要量の膳椀が池の端に並べられ村人は有難く借用に及び、すがってきたのだが、ある時一人の不心得者がお借りした一部を私戝に残すという不始末があってからは村人が池に向ってどんなにお頼みをしても池は沈黙のままでお借りすることはできず、その上機織りの音も途絶えて仕舞ったという。(平成八年五月吉日 信州新町歴史蹟研究者 長野郷土史研究会員竹内)[2]

私見

前半は池に身投げした「機織り姫」の物語といえ、これがそのまま「池の主」となって、「椀貸」を行った、と受け取れる筋書きの物語です。織女の死と水神(河伯)の関わりの物語や習俗は中国を中心に東アジアに広くみられる物語で、記紀神話の「須佐之男の狼藉と織女の死」もその一型といえます。その典型的なパターンから見れば、「織女」はむしろ水神に妻として捧げられた人身御供であって、椀を貸すのは「夫」である水神の方ではないのか、と思うのですが、荻野池の伝説では、その点が端折られています。

ただ、信州新町のような田舎でも、「織女の死と水神(河伯)」のような広く国際的に分布する伝承が語り継がれていた、ということはとても興味深く感じて、是非紹介したい、と思ったので、この項を作りました。

それから個人的な興味の動機としては、アニメ映画監督の宮崎駿氏が、長野県富士見町に別荘を有していたころに製作された「もののけ姫(1997年)」は、登場人物の名前に富士見町の地名がいくつか使われていることで有名ですが、「千と千尋の神隠し(2001年)」の主人公である「荻野千尋」は、「荻野池」も「千尋池」も長野県にある池の名前ではないのか、と個人的に感じるため、取り上げてみました。「千尋池」は諏訪大社下社秋宮の横にあります。

諏訪大社下社の神職は、かつて信濃国造家の流れを組む金刺氏が務めており、下社の摂社の若宮社には「建御名方彦神別命」という建御名方命の子神が祀られています。この神は北信では水内大社の主祭神であり、善光寺の前身といえる長野市城東の健御名方富命彦神別神社、長野市信州新町水内斎宮の健御名方冨命彦神別神社等がかつての水内大社に比定されています。長野市を含むかつての水内郡はかつて信濃国造家の長野県内における拠点の一つでもありました。信州新町の健御名方冨命彦神別神社には金刺氏の祖神も祀られています。また下社の近隣である岡谷には賀茂別雷神を祀る小井川賀茂神社があり、長野市信州新町越道小井戸には建御雷神を祀る近戸皇大神社があり、「荻野池」と「千尋池」は雷神を奉斎する賀茂氏あるいは信濃国造金刺氏[3]に縁のある池なのではないな、とあれこれ想像すると、何か因縁めいたものを感じて、興味が尽きないのです。

関連項目

外部リンク

参照

  1. でも観光地なんだよね? ね? と思う管理人なわけですが。
  2. https://minekaido.com/2018/08/07/%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%80%80%E8%90%A9%E9%87%8E%E6%B1%A0%E3%81%AE%E6%A9%9F%E7%B9%94%E3%82%8A%E5%A7%AB/ 峰街道(天空の道、大町峰街道、善光寺峰街道)、伝説 萩野池の機織り姫」より転載
  3. 私の考えではこの2つは同じものであって、金刺氏は賀茂氏の一派ではないのか、と思うのですが。