「ヴイーヴル」の版間の差分

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『フランシュ・コンテの物語と伝説(Contes et légendes de Franche-Comté)』によると、ヴイーヴルは巨大な蛇のようなユニークなドラゴンであり、額にルビーをつけ、それを目にしているとされている。
 
『フランシュ・コンテの物語と伝説(Contes et légendes de Franche-Comté)』によると、ヴイーヴルは巨大な蛇のようなユニークなドラゴンであり、額にルビーをつけ、それを目にしているとされている。
 
== 解説 ==
 
ヴイーヴルは、蝙蝠の翼を持った<ref name="松平p204" />、上半身は女性、下半身は蛇の姿で<ref name="ローズp58" /><ref name="松平p204" />、宝石(ダイヤモンド、あるいはガーネット(ザクロ石))の瞳を持つとされる<ref name="桜井a_p177">桜井 (1998a), p. 177。</ref><ref>桜井 (1998b), p. 177。</ref><ref name="松平p203">松平 (2005), p. 203。</ref>。普段は地底に棲んでおり、宝石の瞳を明かりにしていると言う<ref name="松平p203" />。
 
また、ヴイーヴルには'''雌しかいない'''とも言われる<ref name="松平p203" />。
 
 
フランスのフランシュ・コンテ地方においては、ヴイーブルはジュラ山脈でよく見られ<ref name="松平p204" />、無人の城を棲家としていた<ref name="ローズp58" /><ref>桜井 (1998a), p. 176。</ref>。移動時には額の真ん中にある'''ダイヤモンド'''を目の代わりにしていたという。水を飲むときにダイヤモンドを外し、水辺に置いた。'''もし人間がそのダイヤを盗めたら世界一の権力者になれる'''と伝えられている。しかしダイヤを額に着けていないヴイーヴルを見た者はいないという<ref name="桜井a_p177" />。この伝承は、宝を守るドラゴン伝承の類型であり<ref name="松平p204" /><ref name="桜井c_p189">桜井 (1998c), p. 189。</ref>、ギリシア神話の[[ラードーン|ラドン]]伝承に近いが、キリスト教の竜退治伝承から来たものではない<ref name="桜井c_p189" />。
 
 
後世では、蝙蝠の翼と鷲の足と蛇の尾を持ち、額に'''ガーネット'''をはめ込んだ美女の精霊とされた<ref name="松平p204" />。<sup>''(要出典範囲, 姿については[[メリュジーヌ]]伝承を強く受けているものと考えられている, 2017年1月7日 (土) 11:45 (UTC))''</sup>が、メリュジーヌがヴイーヴルの種族に属しているという節もある<ref>松平 (2005), pp. 203-204。</ref>。紋章に描かれるヴイーヴルには、その口に子供をくわえたものがみられる。この場合のヴイーヴルは、メリュジーヌと同様の母性的な存在とみなされている<ref name="松平p204" />。
 
  
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==

2023年1月11日 (水) 22:25時点における版

ヴイーヴル(Vouivre)は、主にフランスに伝わるドラゴンの一種。イングランドで伝えられるワイヴァーン(Wyvern)のフランス版であるといわれる[1]。名前はラテン語でマムシ(クサリヘビ)を意味する vipera から派生[2]。ニヴェルネー地方では、ウィーヴル(Wivre)または、ギーヴル(Guivre)と呼ばれ、ヌヴェール(フランス中部の都市)周辺の地方ではウイヴルとして知られている。

ギーヴルとは、ドラゴンに似た神話上の生物である。伝説では、毒の息を持つ蛇のような生き物として描かれ、中世のフランスの田園地帯を徘徊していたそうである[3]。「guivre」(wurm、wyvern(これに由来する)[4]あるいは蛇(serpent))と「givre」は、より一般的な言葉「ヴィーヴル(vouivre)」のスペルバリエーションである。ヴイーヴルは、フラン・コントワでは、古いフランス語の ギーヴル(guivre)に相当する言葉だ。これらの語形はすべて、英語のviperと同様に、最終的にはラテン語のvīperaに由来する[5]

解説と習性

ギーヴルは、蛇のような長い体と竜の頭を持っていると言われていた。後足はあっても目立たない。また、ギーヴルの額には角があったという記述もある[6]。地元フランスでは、非常に攻撃的な生き物として知られ、時には挑発されなくても襲ってくることがあった[7]。ギーヴルは、裸の人間が怖くて、顔を赤らめて目をそらしていた[8]。ヨーロッパの資料では、池や湖のような小さな水域、森林、湿った場所などに生息していると示されている[9]

ラ・ギーヴル

ドル家のサムソンは、小さな竜のような生き物(通称「ラ・ギーヴル」)と司祭との出会いに立ち会った。サムソンは信者の一団を引き連れて聖スリオを訪ねてきたのだ。スリオは貧乏だったが、一行のためにできるだけ食事を提供しようとした。ある司祭は、食事の質の低さに不安を覚え、パンを一個取って衣の下に隠した。ほとんど瞬時に彼は痙攣し始め、スリオは彼の胸元を引き裂いて、男が何をしたかを見た。彼は司祭を諭すと、衣の中から恐ろしい蛇のような生き物を取り出した。そこで、スリオはそれを祓い、別の男にガロットの屋上からそれを投げさせることを強要した[10]

ヴイーヴル

ギーヴルはヴイーヴルとも呼ばれ、この言葉は同義語になっている。例えば『Drac』において。『The Drac: フランスの龍と悪魔の物語』では、ヴイーヴルは、まばゆいばかりの緑の鱗を持つ女性の生物として描かれ、ヴイーヴルが飛ぶと音を発する、とされている。ヴイーヴルは貪欲で、頭には真珠を冠し、尾には金の指輪をした姿で描かれている要出典、September 2019。この物語に登場する獣は、ほとんど洞窟の中にいて、数分間だけ水浴びをするために出てくる要出典、March 2012

『フランシュ・コンテの物語と伝説(Contes et légendes de Franche-Comté)』によると、ヴイーヴルは巨大な蛇のようなユニークなドラゴンであり、額にルビーをつけ、それを目にしているとされている。

参考文献

  • Wikipedia:ヴイーヴル(最終閲覧日:22-10-06)
    • 竹原威滋・丸山顯德編著, 世界の龍の話, 三弥井書店, 世界民間文芸叢書 別巻, 1998-07-10, 初版, isbn:978-4-8382-9043-7
      • 桜井 (1998a):桜井由美子「フランス 2 ヴイーヴル蛇のダイヤモンドの目 フランシュ・コンテ地方」pp. 176-177。
      • 桜井 (1998b), 桜井 (1998b):桜井由美子「フランス 3 ヴイーヴル蛇の額のダイヤモンド ブレス地方」p. 177。
      • 桜井 (1998c), 桜井 (1998c):桜井由美子「フランス 解説」pp. 189-190。
    • 松平俊久, 蔵持不三也監修, 図説ヨーロッパ怪物文化誌事典, 原書房, 2005-03, ヴイーヴル, pagespp. 203-204, isbn978-4-562-03870-1
    • ローズ・キャロル, 松村一男監訳, 世界の怪物・神獣事典, 原書房, シリーズ・ファンタジー百科, 2004-12, ヴイーヴル, pagep. 58, isbn:978-4-562-03850-3
    • Wikipedia:Guivre(最終閲覧日:23-01-11)
    • Dragons: A Natural History|url=https://archive.org/details/dragonsnaturalhi00kar, =registration, Shuker Karl, Barnes & Noble Books, New York, 2003
    • Giants, Monsters, and Dragons, Rose Carol, W. W. Norton & Company
    • All The Year Round, Dickens, Charles, 1864, Oxford University, volumeX, issue:227–250

関連項目

参照

  1. ローズ, 松村訳 (2004), p. 58。
  2. 松平 (2005), p. 204。
  3. Shuker, 2003, p16
  4. wyvern, Oxford English Dictionary, Oxford University, 1989|ur, http://dictionary.oed.com/cgi/entry/50277927?query_type=word&queryword=wyvern, 2009-05-29
  5. viper, Oxford English Dictionary, Oxford University, 1989, http://dictionary.oed.com/cgi/entry/50277927?query_type=word&queryword=viper, 2009-05-29
  6. Rose, p159
  7. Rose, p159
  8. Shuker, 2003, p17
  9. Rose, p159
  10. Dickens, 1864, p319