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マイアは長女とされ、キュレーネー山の洞窟内で<ref>アポロドーロス、3巻10・2。</ref>[[ゼウス]]の子[[ヘルメース]]を生んだ<ref>ヘーシオドス『神統記』938行-939行。</ref><ref>オウィディウス『祭暦』5巻85行-88行。</ref>。 | マイアは長女とされ、キュレーネー山の洞窟内で<ref>アポロドーロス、3巻10・2。</ref>[[ゼウス]]の子[[ヘルメース]]を生んだ<ref>ヘーシオドス『神統記』938行-939行。</ref><ref>オウィディウス『祭暦』5巻85行-88行。</ref>。 | ||
− | + | 『ホメーロス風讃歌』によると、マイアはキュレーネー山の洞窟の奥に立派な館を構えて住んでおり、館の3つの部屋には[[ネクタール]]と[[アムブロシアー]]、黄金や銀、衣服が満ちているとされる<ref>『ホメーロス風讃歌』第4歌「ヘルメース讃歌」229行-252行。</ref>。ゼウスは夜闇の中、[[ヘーラー]]が深い眠りに落ちているすきにマイアと関係を持った。これによって策略家で、盗みに長け、夜闇をうかがい、戸口を見張るヘルメースが生まれたとしている<ref>ゼウスとマイアとの関係がヘルメース神の性格の由来となっている(沓掛訳注、p.252。)。</ref>。 | |
また[[カリストー]]が大熊にされた後、その子[[アルカス]]を育てたのは彼女である<ref>アポロドーロス、3巻8・2。</ref>。他のプレアデス7姉妹と同様、狩人[[オーリーオーン]]に追い回されて隠れていた。 | また[[カリストー]]が大熊にされた後、その子[[アルカス]]を育てたのは彼女である<ref>アポロドーロス、3巻8・2。</ref>。他のプレアデス7姉妹と同様、狩人[[オーリーオーン]]に追い回されて隠れていた。 |
2022年12月2日 (金) 19:30時点における版
マイア(Μαῖα、Maia)は、ギリシア神話またはローマ神話の女神。マイヤとも。ギリシア神話のマイアとローマ神話のマイアは本来無関係だったが、後に混同されるようになった。
ギリシア神話
巨人アトラースとプレーイオネーの7人の娘たちプレイアデス(昴)の1人[1][2]。彼女たちはアルカディア地方のキュレーネー山で生まれたとされる[3]。
マイアは長女とされ、キュレーネー山の洞窟内で[4]ゼウスの子ヘルメースを生んだ[5][6]。
『ホメーロス風讃歌』によると、マイアはキュレーネー山の洞窟の奥に立派な館を構えて住んでおり、館の3つの部屋にはネクタールとアムブロシアー、黄金や銀、衣服が満ちているとされる[7]。ゼウスは夜闇の中、ヘーラーが深い眠りに落ちているすきにマイアと関係を持った。これによって策略家で、盗みに長け、夜闇をうかがい、戸口を見張るヘルメースが生まれたとしている[8]。
またカリストーが大熊にされた後、その子アルカスを育てたのは彼女である[9]。他のプレアデス7姉妹と同様、狩人オーリーオーンに追い回されて隠れていた。
ローマ神話
ローマ神話には春を司る豊穣の女神マイア (Maia) がおり、マイアの祭日である5月1日は供物が捧げられた。これがメーデーの起源である。
ギリシア神話のマイアとは本来は無関係だが、のちに混同されるようになった。またメルクリウスとも関連付けられるようになり、5月15日のメルクリウスの祭日にも祀られるようになった。
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- オウィディウス『祭暦』高橋宏幸、国文社(1994年)
- ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳、岩波文庫(1984年)
- ホメーロス『ホメーロスの諸神讃歌』沓掛良彦訳、ちくま学芸文庫(2004年)
- 『四つのギリシャ神話 ホメーロス風讃歌より』逸身喜一郎・片山英男訳、岩波文庫(1985年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年)