「燭陰」の版間の差分
ナビゲーションに移動
検索に移動
6行目: | 6行目: | ||
目を開けば昼となり、目を閉じれば夜となる。吹けば冬となり、呼べば夏となる。飲まず食わず息せず、息すれば風となるという<ref name="sengaikyo" />。 | 目を開けば昼となり、目を閉じれば夜となる。吹けば冬となり、呼べば夏となる。飲まず食わず息せず、息すれば風となるという<ref name="sengaikyo" />。 | ||
− | 文献によっては、『山海経』の「大荒北経」にある神・'''燭竜'''(しょくりゅう)と同一視され、前述の特徴に加えて燭竜の特徴を取り入れ、章尾山(しょうびさん)に住むもので、目が縦に並んで付いているなどと解説されている<ref> | + | 文献によっては、『山海経』の「大荒北経」にある神・'''燭竜'''(しょくりゅう)と同一視され、前述の特徴に加えて燭竜の特徴を取り入れ、章尾山(しょうびさん)に住むもので、目が縦に並んで付いているなどと解説されている<ref>山海経 中国古代の神話世界, page172</ref><ref>山北篤, 佐藤俊之監修, 悪魔事典, 2000, 新紀元社, Truth in fantasy, isbn:978-4-88317-353-2, pages162-163</ref>。この目の特徴は、原典に「直目正乗」とある記述を解釈したものだが、近年では、目が前に飛び出した様子を表したものとの説もある<ref>鳥飼行博, http://www.geocities.jp/torikai007/china/history/sanseitai.html, 三星堆遺跡:四川省成都の長江文明・古代蜀の青銅仮面(鳥飼行博研究室), [http://www.geocities.jp/torikai007/ 鳥飼行博研究室(Torikai Lab) 持続可能な開発と環境平和学:海大学教養学部人間環境学科社会環境課程, 2009-6-27</ref>。 |
『山海経』は[[平安時代]]の[[日本]]に伝わっているため、この燭陰も日本に伝わっており、『[[今昔百鬼拾遺]]』『[[怪奇鳥獣図巻]]』などの[[妖怪]]画集にも記載がある<ref>{{Cite book|和書|author=高田衛監修|authorlink=高田衛|editor1= 稲田篤信|editor2=田中直日|title=鳥山石燕 画図百鬼夜行|year=1992|publisher=[[国書刊行会]]|isbn=978-4-336-03386-4|page=190}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=伊藤清司監修・解説|authorlink=伊藤清司|title=怪奇鳥獣図巻 大陸からやって来た異形の鬼神たち|year=2001|publisher=工作舎|isbn=978-4-87502-345-6|page=49}}</ref>。 | 『山海経』は[[平安時代]]の[[日本]]に伝わっているため、この燭陰も日本に伝わっており、『[[今昔百鬼拾遺]]』『[[怪奇鳥獣図巻]]』などの[[妖怪]]画集にも記載がある<ref>{{Cite book|和書|author=高田衛監修|authorlink=高田衛|editor1= 稲田篤信|editor2=田中直日|title=鳥山石燕 画図百鬼夜行|year=1992|publisher=[[国書刊行会]]|isbn=978-4-336-03386-4|page=190}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=伊藤清司監修・解説|authorlink=伊藤清司|title=怪奇鳥獣図巻 大陸からやって来た異形の鬼神たち|year=2001|publisher=工作舎|isbn=978-4-87502-345-6|page=49}}</ref>。 |
2022年10月6日 (木) 08:54時点における版
燭陰(しょくいん)は、古代中国の地理書『山海経』の巻17「海外北経」に記載のある、中国の神。
概要
北海の鍾山(しょうざん)という山のふもとに住む神で、人間状の顔と赤い蛇のような体を持ち、体長が千里におよぶとされる[1]。
目を開けば昼となり、目を閉じれば夜となる。吹けば冬となり、呼べば夏となる。飲まず食わず息せず、息すれば風となるという[1]。
文献によっては、『山海経』の「大荒北経」にある神・燭竜(しょくりゅう)と同一視され、前述の特徴に加えて燭竜の特徴を取り入れ、章尾山(しょうびさん)に住むもので、目が縦に並んで付いているなどと解説されている[2][3]。この目の特徴は、原典に「直目正乗」とある記述を解釈したものだが、近年では、目が前に飛び出した様子を表したものとの説もある[4]。
『山海経』は平安時代の日本に伝わっているため、この燭陰も日本に伝わっており、『今昔百鬼拾遺』『怪奇鳥獣図巻』などの妖怪画集にも記載がある[5][6]。
燭陰の解釈について
中国の神話学者・何新は、燭陰の住むという鐘山を大地の最北極と論証し、北極圏以北の夏と冬の昼夜の交代、またはオーロラが神格化されたものが燭陰だとしている。また中国の考古学者・徐明龍は燭陰を、中国神話の神である祝融と同一のものとし、太陽神、火神でもあると述べている[7]。
関連項目
- 伏羲:燭陰と同じく、男性形の龍蛇神である。
参照
- ↑ 1.0 1.1 高馬三良訳, 山海経 中国古代の神話世界, 1994, 平凡社, 平凡社ライブラリー, isbn:978-4-582-76034-7, page126
- ↑ 山海経 中国古代の神話世界, page172
- ↑ 山北篤, 佐藤俊之監修, 悪魔事典, 2000, 新紀元社, Truth in fantasy, isbn:978-4-88317-353-2, pages162-163
- ↑ 鳥飼行博, http://www.geocities.jp/torikai007/china/history/sanseitai.html, 三星堆遺跡:四川省成都の長江文明・古代蜀の青銅仮面(鳥飼行博研究室), [http://www.geocities.jp/torikai007/ 鳥飼行博研究室(Torikai Lab) 持続可能な開発と環境平和学:海大学教養学部人間環境学科社会環境課程, 2009-6-27
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 多田克己, 多田克己, 百鬼解読, 2006, 講談社, 講談社文庫, isbn:978-4-06-275484-2, pages237-243