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− | '''トロール'''または'''トロル'''(trold、troll)とは、北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精<ref>英語版WikipediaではCategory:Fairiesの中にはなMythic humanoidsなどに分類されている。</ref> | + | '''トロール'''または'''トロル'''(trold、troll)とは、北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精<ref>英語版WikipediaではCategory:Fairiesの中にはなMythic humanoidsなどに分類されている。</ref>の一種である。トロールはヨツン(jǫtunn、[[霜の巨人]])についてのより古くからの発想様式の多くを受け継いでいる。 |
北欧では'''トロルド'''、'''トロールド'''、'''トラウ'''、'''トゥロー'''と呼ばれる。当初は悪意に満ちた毛むくじゃらの巨人として描かれ、それがやがて小さい身長として描かれている。変身能力があるのでどんな姿でも変身できる。 | 北欧では'''トロルド'''、'''トロールド'''、'''トラウ'''、'''トゥロー'''と呼ばれる。当初は悪意に満ちた毛むくじゃらの巨人として描かれ、それがやがて小さい身長として描かれている。変身能力があるのでどんな姿でも変身できる。 | ||
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エブレトフトのトロルは背中にこぶがあり大きな鉤鼻、灰色ジャケット、とがった赤い帽子を着ている。グドマンストルップのトロルは背が高く黒く長い服を着ている。 | エブレトフトのトロルは背中にこぶがあり大きな鉤鼻、灰色ジャケット、とがった赤い帽子を着ている。グドマンストルップのトロルは背が高く黒く長い服を着ている。 | ||
− | + | トロールは'''騒音をひどく嫌い、教会の鐘の音も嫌う'''。教会に鐘が釣られるようになると、トロールはその土地から逃げ出してしまった、という。彼らは帽子の力で、姿を人間に見られずに動き回ることができた。予知能力も持っていた。その姿は背中に大きなこぶがあり、鼻は長くて先がかぎのように曲がっていた。灰色のジャケットを着て、先のとがった赤い帽子をかぶっていた。<ref>フェアリーのおくりもの、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1983、p21</ref> | |
=== スカンジナビア半島 === | === スカンジナビア半島 === | ||
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トロールは丘陵地、長塚、土墳などの下に共同体を作り暮らすためスウェーデンでは'''ベルグフォルク'''(丘の人々)と呼ばれた。彼等の住処は財宝でいっぱいで夜になると光り輝くと言われた。彼らは騒音を嫌い鐘や教会からは離れて暮らした。気に入った人間には富と幸運をもたらし、気に入らないものには不運と破壊をもたらした。また女子供をさらい財宝を盗む。さらわれないためには人も動物もヤドリギの枝を身に着ける。金属工芸にも秀で、薬草や魔法を使った治療にも秀でていると言う。日の光に当たると石に変わるため、夕暮れ時から明け方までしか姿を見せない。 | トロールは丘陵地、長塚、土墳などの下に共同体を作り暮らすためスウェーデンでは'''ベルグフォルク'''(丘の人々)と呼ばれた。彼等の住処は財宝でいっぱいで夜になると光り輝くと言われた。彼らは騒音を嫌い鐘や教会からは離れて暮らした。気に入った人間には富と幸運をもたらし、気に入らないものには不運と破壊をもたらした。また女子供をさらい財宝を盗む。さらわれないためには人も動物もヤドリギの枝を身に着ける。金属工芸にも秀で、薬草や魔法を使った治療にも秀でていると言う。日の光に当たると石に変わるため、夕暮れ時から明け方までしか姿を見せない。 | ||
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+ | == 私的解説 == | ||
+ | トロールとは、北欧神話の[[霜の巨人]]が民間伝承化したもののようである。[[霜の巨人]]は[[ユミル]]の子孫である。[[ユミル]]はオーディン、ヴィリ、ヴェーの三神に倒され、'''身体から大地が作られた'''、とされる。それに対応して、[[霜の巨人]]はトールに倒される。トロールはユミルから発生した「ミニ・ユミル」といえる。[[霜の巨人]]がトールに倒されたので、トロールは'''雷の音や騒音を嫌う'''とのことである<ref>フェアリーのおくりもの、トマス・カイトリー、市場泰男訳、社会思想社、教養文庫、1983、p32</ref>。ただし、トロール類を制する若者は「'''知恵のある動物番'''」として現されるものが多く、トールよりはオーディンを投影したものであることが多いのではないだろうか。 | ||
== トロールが登場する民話 == | == トロールが登場する民話 == | ||
=== デンマーク === | === デンマーク === | ||
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=179 オーゲルブの教会に奉納された杯] | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=179 オーゲルブの教会に奉納された杯] | ||
+ | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=179 カルンドボルグ教会]:いわゆる「名前当て」の話:→[[ルンペルシュティルツヒェン]] | ||
+ | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=301 洗礼式に招かれたトロル]:動物(豚)番の若者がトロールを制する話。トロールは'''豚の化身'''でもあるのだろうか。 | ||
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=297 ティース湖の由来] | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=297 ティース湖の由来] | ||
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=185 とりかえ子] | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=185 とりかえ子] | ||
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=184 トロルと踊った少女]:[[妖精|フェアリー]]にも同様の性質がある。 | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=184 トロルと踊った少女]:[[妖精|フェアリー]]にも同様の性質がある。 | ||
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=183 トロルのお産] | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=183 トロルのお産] | ||
+ | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=308 トロルの旅立ち] | ||
+ | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=302 ネコに変身したトロル] | ||
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=298 百姓にだまされたトロル] | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=298 百姓にだまされたトロル] | ||
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=181 ボデディスの伝説] | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=181 ボデディスの伝説] | ||
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=299 炉の中に落ちたスコッテ] | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=299 炉の中に落ちたスコッテ] | ||
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+ | ==== スヴェンド・フェリングに関するもの ==== | ||
+ | デンマークのスヴェンド・フェリングは、ニベルングのシグルトとのことである。スヴェンド・フェリングはトロールから怪力を授かったとされるらしい。 | ||
+ | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=310 スヴェンド・フェリング] | ||
+ | * [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=310 スヴェンド・フェリングと女エルフ] | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
+ | * [[ユミル]] | ||
+ | * [[霜の巨人]] | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB トロール](最終閲覧日:22-07-31) | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB トロール](最終閲覧日:22-07-31) | ||
+ | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3 オーディン](最終閲覧日:22-08-11) | ||
* 妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989 | * 妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989 | ||
* フェアリーのおくりもの、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1983 | * フェアリーのおくりもの、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1983 | ||
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トロールまたはトロル(trold、troll)とは、北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精[1]の一種である。トロールはヨツン(jǫtunn、霜の巨人)についてのより古くからの発想様式の多くを受け継いでいる。
北欧ではトロルド、トロールド、トラウ、トゥローと呼ばれる。当初は悪意に満ちた毛むくじゃらの巨人として描かれ、それがやがて小さい身長として描かれている。変身能力があるのでどんな姿でも変身できる。
目次
地域別の伝承[編集]
ノルウェー[編集]
ノルウェーの人の中では、日常生活でふっと物が無くなった際には「トロールのいたずら」と言われる。
また、ほとんどの御土産物屋にトロールの人形が販売されており高い人気を博している。陶器製、マグネット製、紙製、キーホルダー製など実に様々なものがあり、トロールの姿も男性、女性、子供、老人、中にはヴァイキング姿、サッカー姿、サーファー姿、スキーヤー姿など実に様々なものがあり、中にはアンティークコレクションとして評価の高いものも数多く存在する。ノルウェーでは女のトロルは美しく長い赤毛をしているとされた。
デンマーク[編集]
デンマークでは白く長いあごひげの老人として、赤い帽子、革エプロン姿で描かれる。
エブレトフトのトロルは背中にこぶがあり大きな鉤鼻、灰色ジャケット、とがった赤い帽子を着ている。グドマンストルップのトロルは背が高く黒く長い服を着ている。
トロールは騒音をひどく嫌い、教会の鐘の音も嫌う。教会に鐘が釣られるようになると、トロールはその土地から逃げ出してしまった、という。彼らは帽子の力で、姿を人間に見られずに動き回ることができた。予知能力も持っていた。その姿は背中に大きなこぶがあり、鼻は長くて先がかぎのように曲がっていた。灰色のジャケットを着て、先のとがった赤い帽子をかぶっていた。[2]
スカンジナビア半島[編集]
スカンジナビア半島では小人の妖精とされる。小人はドゥエルガル系の語よりはトロール(Troll、Trold)の名でよばれるのが普通である[3]。
トロールは丘陵地、長塚、土墳などの下に共同体を作り暮らすためスウェーデンではベルグフォルク(丘の人々)と呼ばれた。彼等の住処は財宝でいっぱいで夜になると光り輝くと言われた。彼らは騒音を嫌い鐘や教会からは離れて暮らした。気に入った人間には富と幸運をもたらし、気に入らないものには不運と破壊をもたらした。また女子供をさらい財宝を盗む。さらわれないためには人も動物もヤドリギの枝を身に着ける。金属工芸にも秀で、薬草や魔法を使った治療にも秀でていると言う。日の光に当たると石に変わるため、夕暮れ時から明け方までしか姿を見せない。
私的解説[編集]
トロールとは、北欧神話の霜の巨人が民間伝承化したもののようである。霜の巨人はユミルの子孫である。ユミルはオーディン、ヴィリ、ヴェーの三神に倒され、身体から大地が作られた、とされる。それに対応して、霜の巨人はトールに倒される。トロールはユミルから発生した「ミニ・ユミル」といえる。霜の巨人がトールに倒されたので、トロールは雷の音や騒音を嫌うとのことである[4]。ただし、トロール類を制する若者は「知恵のある動物番」として現されるものが多く、トールよりはオーディンを投影したものであることが多いのではないだろうか。
トロールが登場する民話[編集]
デンマーク[編集]
- オーゲルブの教会に奉納された杯
- カルンドボルグ教会:いわゆる「名前当て」の話:→ルンペルシュティルツヒェン
- 洗礼式に招かれたトロル:動物(豚)番の若者がトロールを制する話。トロールは豚の化身でもあるのだろうか。
- ティース湖の由来
- とりかえ子
- トロルと踊った少女:フェアリーにも同様の性質がある。
- トロルのお産
- トロルの旅立ち
- ネコに変身したトロル
- 百姓にだまされたトロル
- ボデディスの伝説
- 炉の中に落ちたスコッテ
スヴェンド・フェリングに関するもの[編集]
デンマークのスヴェンド・フェリングは、ニベルングのシグルトとのことである。スヴェンド・フェリングはトロールから怪力を授かったとされるらしい。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- Wikipedia:トロール(最終閲覧日:22-07-31)
- Wikipedia:オーディン(最終閲覧日:22-08-11)
- 妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989
- フェアリーのおくりもの、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1983