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| − | '''ユルルングル'''('''Yurlungur''')は、オーストラリア南部のアボリジニ、ムルンギンの(Murngin)の人々の神話に登場する銅の体を持つ蛇<ref>Cotterell, 1986, p295</ref>。聖なる泉「ミルリアナ(Mirrirmina、岩の錦蛇の背中)」に棲む<ref>Cotterell, 1986, p295</ref>。ユルルングルは、彼の子孫でもある姉妹(WawalagまたはWawilakとして知られる)の姉が泉に経血をこぼしてしまったことで長い眠りから覚める<ref>Cotterell, 1986, p295</ref> | + | '''ユルルングル'''('''Yurlungur''')は、オーストラリア南部のアボリジニ、ムルンギンの(Murngin)の人々の神話に登場する銅の体を持つ蛇<ref>Cotterell, 1986, p295</ref>。聖なる泉「ミルリアナ(Mirrirmina、岩の錦蛇の背中)」に棲む<ref>Cotterell, 1986, p295</ref>。ユルルングルは、彼の子孫でもある姉妹(WawalagまたはWawilakとして知られる)の姉が泉に経血をこぼしてしまったことで長い眠りから覚める<ref>Cotterell, 1986, p295</ref><ref>Shore, 1996</ref>。泉から出るとその勢いで洪水を起こし、ユルルングルはそのまま'''姉妹とその子供たちを飲み込んだ'''<ref>Cotterell, 1986, p295</ref><ref>Sfn, Shore, 1996</ref>。その後にヘビが集まり会議が開かれ、ユルルングルは子孫を飲み込んでしまったことを告白し、彼らを吐き出すことを約束した<ref>Cotterell, 1986, p295</ref><ref>Sfn, Shore, 1996</ref>。ユルルングルが彼らをアリ塚に吐き出すと、ユルルングルの魔法の[[ディジュリドゥ]]がひとりでに鳴り響き、アリが姉妹と彼女らの子供を噛み彼らは'''蘇生する'''<ref>Shore, 1996</ref>。 |
| − | + | 父なる蛇であり、天候も司るとされる<ref>Cotterell, 1986, p295</ref>。彼の声は'''雷'''であり、彼の住まう泉は虹色に輝く<ref>Cotterell, 1986, p295</ref>。そのため[[虹蛇]]としても知られる<ref>Cotterell, 1986, p295</ref>。アボリジニの中でヘビ(ニシキヘビ)を信仰する習慣のある部族はどれもヘビと天候、特に雨雲を結びつける考え方を持っている<ref>Cotterell, 1986, p295</ref>。ユルルングルの神話が元になり、アボリジニの儀式では'''嘔吐'''が一人前の男になるための通過儀礼となった。 | |
| − | == | + | == 私的解説 == |
| − | + | ユルルングルの名前から、名前の起原はミャオ族神話の[[ダロン]]に近い神と考える。男性化しており、[[太昊型神]]の'''性質憑依型'''といえる。 | |
| + | === 経血との関連 === | ||
| + | 経血に触れると、ユルルングルが目を覚まし災害(洪水)を起こし、人々を飲み込む、と考えられていたことが分かる。古代の日本人には月経を不吉なものと考え、生理期間中は神社に参拝できない等の制約があったが、なぜ月経が不吉なのかといえば、「'''経血が神の持つ邪気を活性化させるから'''」という思想が広くあったかもしれないと考える。 | ||
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2026年3月12日 (木) 12:40時点における最新版
ユルルングル(Yurlungur)は、オーストラリア南部のアボリジニ、ムルンギンの(Murngin)の人々の神話に登場する銅の体を持つ蛇[1]。聖なる泉「ミルリアナ(Mirrirmina、岩の錦蛇の背中)」に棲む[2]。ユルルングルは、彼の子孫でもある姉妹(WawalagまたはWawilakとして知られる)の姉が泉に経血をこぼしてしまったことで長い眠りから覚める[3][4]。泉から出るとその勢いで洪水を起こし、ユルルングルはそのまま姉妹とその子供たちを飲み込んだ[5][6]。その後にヘビが集まり会議が開かれ、ユルルングルは子孫を飲み込んでしまったことを告白し、彼らを吐き出すことを約束した[7][8]。ユルルングルが彼らをアリ塚に吐き出すと、ユルルングルの魔法のディジュリドゥがひとりでに鳴り響き、アリが姉妹と彼女らの子供を噛み彼らは蘇生する[9]。
父なる蛇であり、天候も司るとされる[10]。彼の声は雷であり、彼の住まう泉は虹色に輝く[11]。そのため虹蛇としても知られる[12]。アボリジニの中でヘビ(ニシキヘビ)を信仰する習慣のある部族はどれもヘビと天候、特に雨雲を結びつける考え方を持っている[13]。ユルルングルの神話が元になり、アボリジニの儀式では嘔吐が一人前の男になるための通過儀礼となった。
私的解説[編集]
ユルルングルの名前から、名前の起原はミャオ族神話のダロンに近い神と考える。男性化しており、太昊型神の性質憑依型といえる。
経血との関連[編集]
経血に触れると、ユルルングルが目を覚まし災害(洪水)を起こし、人々を飲み込む、と考えられていたことが分かる。古代の日本人には月経を不吉なものと考え、生理期間中は神社に参拝できない等の制約があったが、なぜ月経が不吉なのかといえば、「経血が神の持つ邪気を活性化させるから」という思想が広くあったかもしれないと考える。