==== ちょっと寄り道 ====
ところで「'''殺された犬の父'''」とは誰のことなのだろう。こういう特殊な神話は一つしか心当たりがないので、こう述べるしかない。
* 息子たちに殺される[[盤瓠|槃瓠]]</br>息子たちは[[盤瓠|槃瓠]]犬を連れて狩に出かけた。途中、水牛に「その犬はお前たちの父親だ」とからかわれ、怒った息子たちは犬を殺した<ref>ヤオ族伝承、百田弥栄子『中国神話の深層』三弥井書店、2020年、660頁</ref>。
という神話がある。[[盤瓠|槃瓠]]は中国・[[ヤオ族]]の神である。おそらく[[盤瓠|槃瓠]]は[[ミャオ族]]に婿入りし、「自分だけは豚の息子」だと思ってる息子に殺されてしまったのだろう。水牛とは[[ミャオ族]]のトーテムだが、トーテムが水牛に変わる前は、彼らのトーテムは豚だったと思われる。[[盤瓠|槃瓠]]は元豚であった水牛に殺されたとも言えるのではないか。おそらく、ミャオ族の'''水牛神シィウニュウ'''(Hxub Niux)(中国神話の[[伏羲]])が[[盤瓠|槃瓠]]を殺し、また[[盤瓠|槃瓠]]の娘のニュウシャン(婆神)も殺してしまったので、シィウニュウはシャンリャンに石に変えられてしまったのだろう。シィウニュウの名を伏羲とすれば彼はインド神話のプルシャに相当するし、その名をグミヤーとすればゲルマン神話のユミルに相当すると考える。シャンリャンは殺した水牛を「世界の土台」に使ってしまったのかもしれない。そしてニュウシャンがインドの説話の「比丘」に相当するのだろう。