<blockquote>昔、一人の夫人がいて、豚と戯れて男児を産んだ。子供が成長しても、互いに伴侶がいなくて寂しい思いをしていた。母親は息子に恋情を抱き、木の汁で顔を染めて息子に近づき「私はあなたの妻になりましょう。」と言った。息子は母とは知らずに結婚し、まもなく女の子が生まれた。そのうちに母の顔の色が元に戻り、息子は母親との不義に恐れおののいたが、どうしようもなかった。母親は正体がしれると、そのままどこかへ消えてしまったが、その後犬と交わって多くの子を産んだ。そのため子孫が増えて至るところに社を建てた。かくしてアヤタル族タウツァー部族は、犬と豚の子孫から成っている<ref>神々の物語、台湾原住民文学選5、神村徹編、草風館、2006年8月1日出版、p45</ref>。</blockquote>
=== 私的考察 ===
いわゆる「動物先祖」の話だが、母親が複数の相手と関係を持つのは、母系の時代から続く神話であることが推測される。またギリシア神話の「[[テーバイ攻めの七将|オイディプス王]]」の原型となる神話とも考える。母親と関係を持つ息子は「豚」の父親と立場が混在しているのであろう。あるいは「息子のみ豚の子である」ということを強調したかったのかもしれない。そして、「'''母親が罪あり'''」という思想に発展する下敷きとなる神話とも考える。
「母親が罪あり」となれば、バビロニアのマルドゥクとティアマトの神話のように、息子が母親を殺す口実ともなって、息子神を正当化できるからである。この場合の豚というのはパイワン族、犬というのはタバロン社のトーテムのことでもあろう。ただし「タウツァー部族」とは名前の通り[[チワン族]]から派生した人々と思われるので、息子が母親を殺すような恐ろしい神話は忌避されたものと考える。
== 関連項目 ==
* [[伏羲型神]]
== 参照 ==
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