「狗天伯社」の版間の差分

提供: Bellis Wiki3
ナビゲーションに移動 検索に移動
 
(同じ利用者による、間の6版が非表示)
1行目: 1行目:
狗天伯社(こまてんぱくしゃ)は長野県長野市栗田にある神社。主祭神は不明。
+
狗天伯社(こまてんぱくしゃ)は長野県長野市栗田にある神社。主祭神は不明。かつては裾花川のほとりにあったものか。
  
 
== 概要 ==
 
== 概要 ==
「水神」の石祠と並んで鎮座する。主祭神は不明。造立年代不詳。
+
「水神」の石祠と並んで鎮座する。主祭神は不明。創建年代不詳。
  
 
<blockquote>この近辺では唯一のもので、祭神すらわからない謎の神様である。この神社は、小さいながら『長野県町村誌』にも掲載されているが、祭神・勧請年月については「不詳」とあり、祭日が3月25日とあるのみである。頭につく「狗」の文字からは、「天狗」あるいは山犬=狼などが連想されるので、山岳宗教と何らかの関わりがありそうに思われるが、一般には水神と同様、農耕の守護神としての意味合いが強いもののようだ<ref>[http://www.kurita-nagano.jp/map/ 歴史散策マップ]、栗田町内会(最終閲覧日:25-01-22)</ref>。</blockquote>
 
<blockquote>この近辺では唯一のもので、祭神すらわからない謎の神様である。この神社は、小さいながら『長野県町村誌』にも掲載されているが、祭神・勧請年月については「不詳」とあり、祭日が3月25日とあるのみである。頭につく「狗」の文字からは、「天狗」あるいは山犬=狼などが連想されるので、山岳宗教と何らかの関わりがありそうに思われるが、一般には水神と同様、農耕の守護神としての意味合いが強いもののようだ<ref>[http://www.kurita-nagano.jp/map/ 歴史散策マップ]、栗田町内会(最終閲覧日:25-01-22)</ref>。</blockquote>
9行目: 9行目:
 
「狗」という言葉より犬神であることが示唆される。出雲国風土記に「伊農波夜(犬は速い)」という言葉がある。また駒ヶ根の民間伝承である[[早太郎]]とは「'''疾風'''」のことと考えられ、犬神とは風神のことでもあると考えられる。
 
「狗」という言葉より犬神であることが示唆される。出雲国風土記に「伊農波夜(犬は速い)」という言葉がある。また駒ヶ根の民間伝承である[[早太郎]]とは「'''疾風'''」のことと考えられ、犬神とは風神のことでもあると考えられる。
  
奈良県の広瀬大社では風神であり、かつ農耕や水神に関する神として、[[伊勢津彦|櫛玉命]]を祀っていると考える。『伊勢国風土記』逸文では[[伊勢津彦|天櫛玉命]]のことを'''[[伊勢津彦]]'''としている。この神は伊勢を去り、信濃国に鎮座したとされている。狗天伯社の祭神を水神であり、風神でもあるとすれば[[速飄神]]といえると考える。[[伊勢津彦]]のこととしても良いのではないだろうか。また、この神は[[出早雄命]]のことでもあると考える。
+
奈良県の広瀬大社では風神であり、かつ農耕や水神に関する神として、[[伊勢津彦|櫛玉命]]を祀っていると思われる。『伊勢国風土記』逸文では[[伊勢津彦|天櫛玉命]]のことを'''[[伊勢津彦]]'''としている。この神は伊勢を去り、信濃国に鎮座したとされている。狗天伯社の祭神を水神であり、風神でもあるとすれば[[速飄神]]といえると考える。[[伊勢津彦]]のこととしても良いのではないだろうか。また、この神は[[出早雄命]]のことでもあると考える。
  
名前に「伯」がつくのであれば、白犬とも思われる。
+
名前に「伯」がつくのであれば、白犬とも思われる。[[風間神社]]の[[志那都比古神]]と対になる風神ではないだろうか。
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
 
* [[赤衾伊農意保須美比古佐和氣能命]]:「伊農波夜(犬は早い)」という言葉がある出雲の犬神。[[速飄神]]と同じ神と思われる。
 
* [[赤衾伊農意保須美比古佐和氣能命]]:「伊農波夜(犬は早い)」という言葉がある出雲の犬神。[[速飄神]]と同じ神と思われる。
 +
** [[八束水臣津野命]]:[[赤衾伊農意保須美比古佐和氣能命]]の親神とされる。
 +
* [[速飄神]]
 
* [[出早雄命]]:人間よりの性質の犬神と考える。
 
* [[出早雄命]]:人間よりの性質の犬神と考える。
 
* [[伊勢津彦]]
 
* [[伊勢津彦]]
21行目: 23行目:
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==
  
{{DEFAULTSORT:はやちかみ}}
+
{{DEFAULTSORT:こまてんはくしや}}
 
[[Category:日本神話]]
 
[[Category:日本神話]]
 
[[Category:風神]]
 
[[Category:風神]]

2025年1月29日 (水) 14:14時点における最新版

狗天伯社(こまてんぱくしゃ)は長野県長野市栗田にある神社。主祭神は不明。かつては裾花川のほとりにあったものか。

概要[編集]

「水神」の石祠と並んで鎮座する。主祭神は不明。創建年代不詳。

この近辺では唯一のもので、祭神すらわからない謎の神様である。この神社は、小さいながら『長野県町村誌』にも掲載されているが、祭神・勧請年月については「不詳」とあり、祭日が3月25日とあるのみである。頭につく「狗」の文字からは、「天狗」あるいは山犬=狼などが連想されるので、山岳宗教と何らかの関わりがありそうに思われるが、一般には水神と同様、農耕の守護神としての意味合いが強いもののようだ[1]

私的考察[編集]

「狗」という言葉より犬神であることが示唆される。出雲国風土記に「伊農波夜(犬は速い)」という言葉がある。また駒ヶ根の民間伝承である早太郎とは「疾風」のことと考えられ、犬神とは風神のことでもあると考えられる。

奈良県の広瀬大社では風神であり、かつ農耕や水神に関する神として、櫛玉命を祀っていると思われる。『伊勢国風土記』逸文では天櫛玉命のことを伊勢津彦としている。この神は伊勢を去り、信濃国に鎮座したとされている。狗天伯社の祭神を水神であり、風神でもあるとすれば速飄神といえると考える。伊勢津彦のこととしても良いのではないだろうか。また、この神は出早雄命のことでもあると考える。

名前に「伯」がつくのであれば、白犬とも思われる。風間神社志那都比古神と対になる風神ではないだろうか。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. 歴史散策マップ、栗田町内会(最終閲覧日:25-01-22)