「ドワーフ」の版間の差分

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'''ドワーフ'''({{Lang-en|{{En|dwarf}}}} {{IPA|dwˈɔɚf}}、{{Lang-de|{{de|Zwerg}}}}、{{Lang-non|{{Lang|non|dvergr}}}})は、[[人間]]よりも少し背丈の小さい[[伝説の生物一覧|伝説上の種族]]。[[民話]]、[[神話]]、[[童話]]、[[ファンタジー]]作品などに登場することが多い。高度な鍛冶や工芸技能をもつとされており、外観は男女共に背丈が低いものの力強く屈強で、特に男性はその多くで長い[[髭]]をたくわえているとされ<!--、しばしばその体型は酒樽に評され-->る。
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'''ドワーフ'''(dwarf、dwˈɔɚf、Zwerg、dvergr)は、人間よりも少し背丈の小さい伝説上の種族。民話、神話、童話、ファンタジー作品などに登場することが多い。高度な鍛冶や工芸技能をもつとされており、外観は男女共に背丈が低いものの力強く屈強で、特に男性はその多くで長い髭をたくわえているとされ<!--、しばしばその体型は酒樽に評され-->る。
  
'''ドワーフ小人'''、'''矮人'''、'''侏儒'''、あるいは単に'''[[小人 (伝説の生物)|小人]]'''と訳されることもある。
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'''ドワーフ小人'''、'''矮人'''、'''侏儒'''、あるいは単に'''小人'''と訳されることもある。
  
 
== 語源 ==
 
== 語源 ==
[[ゲルマン語派]]において、「とても背の低い人間」「小さきもの」を表す<ref name="ety">"[https://www.etymonline.com/word/dwarf dwarf]", [[オンライン・エティモロジー・ディクショナリー|Online Etymology Dictionary]]</ref>。{{要検証範囲|date=2019年7月|現代[[英語]]の語形dwarfは[[ドイツ語]]からの借用である|title=古英語でも dweorh, dweorg, duerg の形が見られることは出典etymonlineの記述にも見えるし、wiktionaryの記述では中英語の時期に dwerf, dwergh, dwerw, dwerȝ の形が存在するようです。完全に失伝して現代高地ドイツ語形 Zwerg から借用したという証拠があるのでない限り、この記述は暴論に過ぎます。}}。この語の[[同根語]]として、歴史的に[[古フリジア語]] dwerch、[[古ザクセン語]] dwerg、[[古高ドイツ語]] twerg、[[ドイツ語]] Zwerg、[[古ノルド語]] dvergrなどがあり、これらをもとにゲルマン祖語の語形*dwerazが再構されている。さらにインド・ヨーロッパ祖語の語形*dhwergwhosも再構されているものの、ゲルマン語派以外の言語では類する単語は見つかっておらず{{R|ety}}、この語彙のない言語(ロマンス諸語など)では意味的に相当する語({{Lang-fr|nain}}、{{Lang-it|nano}} など)が当てられる。
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ゲルマン語派において、「とても背の低い人間」「小さきもの」を表す<ref name="ety">"[https://www.etymonline.com/word/dwarf dwarf]", オンライン・エティモロジー・ディクショナリー(Online Etymology Dictionary)</ref><ref>古英語でも dweorh, dweorg, duerg の形が見られることは出典etymonlineの記述にも見えるし、wiktionaryの記述では中英語の時期に dwerf, dwergh, dwerw, dwerȝ の形が存在するようです。</ref>。この語の同根語]]として、歴史的に古フリジア語:dwerch、古ザクセン語:dwerg、古高ドイツ語:twerg、ドイツ語:Zwerg、古ノルド語:dvergrなどがあり、これらをもとにゲルマン祖語の語形*dwerazが再構されている。さらにインド・ヨーロッパ祖語の語形*dhwergwhosも再構されているものの、ゲルマン語派以外の言語では類する単語は見つかっておらず、この語彙のない言語(ロマンス諸語など)では意味的に相当する語(フランス語:nain、イタリア語:nanoなど)が当てられる。
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=== 管理人の主観 ===
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ドヴェルグ(dvergr)の語源は、ダエーワ(daeva)とか、それに類する言葉ではいけないのだろうか??
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== 北欧におけるドワーフ ==
 
== 北欧におけるドワーフ ==
[[北欧神話]]には闇の[[妖精]]'''ドヴェルグ'''がいる。太古の巨人[[ユミル]]({{Lang|non|Ymir}})の死体(=大地)から生じた。生まれた当時はうじ虫だったが、神々の決定により人に似た姿と知性を与えられる。その後も地中を好み、岩穴で暮らす。彼らは信仰の対象ではなく、しばしば神々と対立する立場で登場するが、対価に応じて神々の象徴となる魔力のある武器や宝の制作をする優れた匠としても描かれる。ドヴェルグは[[太陽]]の光を浴びると石になる、もしくは体が弾け飛んで死ぬといわれる。
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北欧神話には闇の妖精'''ドヴェルグ'''がいる。太古の巨人ユミル(Ymir)の死体(=大地)から生じた。生まれた当時はうじ虫だったが、神々の決定により人に似た姿と知性を与えられる。その後も地中を好み、岩穴で暮らす。彼らは信仰の対象ではなく、しばしば神々と対立する立場で登場するが、対価に応じて神々の象徴となる魔力のある武器や宝の制作をする優れた匠としても描かれる。ドヴェルグは太陽の光を浴びると石になる、もしくは体が弾け飛んで死ぬといわれる。
  
現在残されている資料{{Full citation needed|date=2019年8月}}では地に住まう闇の[[エルフ]]、デックアールヴ({{Lang|non|døkkálfar}})と共通する部分も見られ、[[古エッダ]]の「[[巫女の予言]]({{Lang|non|Völuspá}})」には名前の接尾に"-álfar"をもつドヴェルグも登場する。
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現在残されている資料では地に住まう闇のエルフ、デックアールヴ(døkkálfar)と共通する部分も見られ、古エッダの「巫女の予言(Völuspá)」には名前の接尾に"-álfar"をもつドヴェルグも登場する。
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ドゥエルガルは背が低く、足が短くて手が長く、直立すると手がほとんど地面につく、とされる。彼らは金、銀、鉄などの冶金術に優れ、様々な魔法のアイテムを作り出す。彼らが製作物を好意でプレゼントしてくれると、それらはとても役に立つ。しかし、彼らから腕ずくで強奪して手に入れると、呪われて災厄につきまとわれる。<ref>妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989、85-86p</ref>
  
 
== ドイツにおけるドワーフ ==
 
== ドイツにおけるドワーフ ==
『[[グリム童話]]』に収載されたドイツ民話[[白雪姫]]に登場する「7人の小人」はドイツ語では「{{De|sieben Zwerge}}」といい、つまりドワーフである{{Sfn|安田|1996|pp=240-248}}
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『グリム童話』に収載されたドイツ民話・白雪姫に登場する「7人の小人」はドイツ語では「sieben Zwerge」といい、つまりドワーフである<ref>安田, 1996, pp=240-248</ref>
  
 
<!--どこの?-->
 
<!--どこの?-->
[[民間伝承]]の中の妖精ドワーフは更に奇怪な姿をしており、その姿は醜く、老人のような皮膚を持ち、立った姿勢のままで腕が地面に付くほど長いとも言われる。3歳で成人し、7歳で老人になるといわれる。また、女性が存在しない為、新しいドワーフは石から作られるともいわれる。<!-- 壊れた刃物や[[農具]]、[[鍋]]釜などの[[道具]]を放っておくと、夜中にドワーフが現れて人知れず直して行くという言い伝えがある。ブラウニーとの混同では?-->
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民間伝承の中の妖精ドワーフは更に奇怪な姿をしており、その姿は醜く、老人のような皮膚を持ち、立った姿勢のままで腕が地面に付くほど長いとも言われる。3歳で成人し、7歳で老人になるといわれる。また、女性が存在しない為、新しいドワーフは石から作られるともいわれる。<!-- 壊れた刃物や農具、[鍋釜などの道具を放っておくと、夜中にドワーフが現れて人知れず直して行くという言い伝えがある。ブラウニーとの混同では?-->
  
== 蔑称としてのドワーフ ==
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ドイツの伝承では、ドワーフはキリスト教を受け入れ、善行が彼らの性格のおもな特徴の一つとなっている。ただし、赤ん坊をさらう等の悪さもするようである。またドワーフの持つ石には、'''持ち歩く人の姿を見えなくする'''<ref>参照:「[http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=62 雪のように白い石]」</ref>ものがある<ref>妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989、133p、142p、146-147p</ref>。
現実世界でも、遺伝子異常により成人で比例的に短躯短肢の人を「ドワーフ」、躯幹は成人と同じで四肢が短い人を「ミゼット」と呼ぶことがあった。
 
  
== 脚注 ==
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== ドワーフが登場する民話・伝承等 ==
{{脚注ヘルプ}}
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=== 北欧 ===
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* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=170 ロキと小人]:イーヴァルディの息子達、エイトリとブロック
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* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=170 トルストンと小人]
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** [[トルストンのサガ]]
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* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=175 小人の剣ティルフィング]:ディレンとデュアリン
  
=== 参照 ===
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=== フランス・叙事詩 ===
{{Reflist}}
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* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=111 ユオン・ド・ボルドー(Huon de Bordeaux)とオーベロン(オベロン、Oberon)]
  
== 参考文献 ==
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=== ドイツ・叙事詩 ===
* {{Cite book |和書 |author=[[安田均]] |coauthors=[[グループSNE]] |title=モンスター・コレクション |edition=改訂版 |date=1996-06 |publisher=[[富士見書房]] |location=[[東京]] |series=[[富士見ドラゴンブック]] |isbn=4-8291-4311-8 |volume=中 |ref={{SfnRef|安田|1996}}}}
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* 英雄叙事詩集(Heldenbuch):ラウリン(Laurin)
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* ニーベルンゲンの歌(Nibelungen Lied):アルブリヒ
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* 角のようにかたいシーフリト(Hürnen Sifrit):オイゲル(Eugel)
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* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=196 エルベリヒ(Elberich)とオトニト(Otnit、あるいはオルトニト(Ortnit))]
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=== ドイツ・伝承 ===
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* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=200 小人の結婚式]
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* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=201 ムギを盗む小人]
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* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=205 小人の夫]
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
 
* [[エルフ]]
 
* [[エルフ]]
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* [[トロール]]
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* [[取り替え子]]
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== 参考文献 ==
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* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%95 ドワーフ](最終閲覧日:2022-03-13)
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** 安田均 , グループSNE, モンスター・コレクション , 改訂版 , 1996-06 , 富士見書房, 東京, 富士見ドラゴンブック, isbn=4-8291-4311-8 , 中 , 安田, 1996
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* 妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989
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== 参照 ==
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[[Category:北欧神話]]
 
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[[Category:ゲルマン神話]]
 
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[[Category:精霊]]

2022年3月26日 (土) 19:15時点における最新版

ドワーフ(dwarf、dwˈɔɚf、Zwerg、dvergr)は、人間よりも少し背丈の小さい伝説上の種族。民話、神話、童話、ファンタジー作品などに登場することが多い。高度な鍛冶や工芸技能をもつとされており、外観は男女共に背丈が低いものの力強く屈強で、特に男性はその多くで長い髭をたくわえているとされる。

ドワーフ小人矮人侏儒、あるいは単に小人と訳されることもある。

語源[編集]

ゲルマン語派において、「とても背の低い人間」「小さきもの」を表す[1][2]。この語の同根語]]として、歴史的に古フリジア語:dwerch、古ザクセン語:dwerg、古高ドイツ語:twerg、ドイツ語:Zwerg、古ノルド語:dvergrなどがあり、これらをもとにゲルマン祖語の語形*dwerazが再構されている。さらにインド・ヨーロッパ祖語の語形*dhwergwhosも再構されているものの、ゲルマン語派以外の言語では類する単語は見つかっておらず、この語彙のない言語(ロマンス諸語など)では意味的に相当する語(フランス語:nain、イタリア語:nanoなど)が当てられる。

管理人の主観[編集]

ドヴェルグ(dvergr)の語源は、ダエーワ(daeva)とか、それに類する言葉ではいけないのだろうか??  

北欧におけるドワーフ[編集]

北欧神話には闇の妖精ドヴェルグがいる。太古の巨人ユミル(Ymir)の死体(=大地)から生じた。生まれた当時はうじ虫だったが、神々の決定により人に似た姿と知性を与えられる。その後も地中を好み、岩穴で暮らす。彼らは信仰の対象ではなく、しばしば神々と対立する立場で登場するが、対価に応じて神々の象徴となる魔力のある武器や宝の制作をする優れた匠としても描かれる。ドヴェルグは太陽の光を浴びると石になる、もしくは体が弾け飛んで死ぬといわれる。

現在残されている資料では地に住まう闇のエルフ、デックアールヴ(døkkálfar)と共通する部分も見られ、古エッダの「巫女の予言(Völuspá)」には名前の接尾に"-álfar"をもつドヴェルグも登場する。

ドゥエルガルは背が低く、足が短くて手が長く、直立すると手がほとんど地面につく、とされる。彼らは金、銀、鉄などの冶金術に優れ、様々な魔法のアイテムを作り出す。彼らが製作物を好意でプレゼントしてくれると、それらはとても役に立つ。しかし、彼らから腕ずくで強奪して手に入れると、呪われて災厄につきまとわれる。[3]

ドイツにおけるドワーフ[編集]

『グリム童話』に収載されたドイツ民話・白雪姫に登場する「7人の小人」はドイツ語では「sieben Zwerge」といい、つまりドワーフである[4]

民間伝承の中の妖精ドワーフは更に奇怪な姿をしており、その姿は醜く、老人のような皮膚を持ち、立った姿勢のままで腕が地面に付くほど長いとも言われる。3歳で成人し、7歳で老人になるといわれる。また、女性が存在しない為、新しいドワーフは石から作られるともいわれる。

ドイツの伝承では、ドワーフはキリスト教を受け入れ、善行が彼らの性格のおもな特徴の一つとなっている。ただし、赤ん坊をさらう等の悪さもするようである。またドワーフの持つ石には、持ち歩く人の姿を見えなくする[5]ものがある[6]

ドワーフが登場する民話・伝承等[編集]

北欧[編集]

フランス・叙事詩[編集]

ドイツ・叙事詩[編集]

ドイツ・伝承[編集]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Wikipedia:ドワーフ(最終閲覧日:2022-03-13)
    • 安田均 , グループSNE, モンスター・コレクション , 改訂版 , 1996-06 , 富士見書房, 東京, 富士見ドラゴンブック, isbn=4-8291-4311-8 , 中 , 安田, 1996
  • 妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989

参照[編集]

  1. "dwarf", オンライン・エティモロジー・ディクショナリー(Online Etymology Dictionary)
  2. 古英語でも dweorh, dweorg, duerg の形が見られることは出典etymonlineの記述にも見えるし、wiktionaryの記述では中英語の時期に dwerf, dwergh, dwerw, dwerȝ の形が存在するようです。
  3. 妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989、85-86p
  4. 安田, 1996, pp=240-248
  5. 参照:「雪のように白い石
  6. 妖精の誕生、トマス・カイトリー著、市場泰男訳、教養文庫、社会思想社、1989、133p、142p、146-147p