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'''ハヌマーン'''('''हनुमान्'''  ''Hanumān'')は、インド神話における'''神猿'''。風神[[ヴァーユ]]が天女アンジャナーとの間にもうけた子とされる<ref>"世界大百科事典_第2版", [https://kotobank.jp/word/%E3%83%8F%E3%83%8C%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%88-360838#E4.B8.96.E7.95.8C.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E7.AC.AC.EF.BC.92.E7.89.88 「ハヌマット」 - 世界大百科事典 第2版]、平凡社。</ref>。'''ハヌマット'''('''हनुमत्''' ''Hanumat'')、'''ハヌマン'''、'''バジュランガバリ'''、'''アンジャネーヤ'''(アンジャナーの息子)とも。名前は「顎骨を持つ者」の意。変幻自在の体はその大きさや姿を自在に変えられ、空も飛ぶ事ができる。大柄で顔は赤く、長い尻尾を持ち'''雷鳴のような咆哮を放つ'''とされる。像などでは四つの猿の顔と一つの人間の顔を持つ五面十臂の姿で表されることもある。
 
'''ハヌマーン'''('''हनुमान्'''  ''Hanumān'')は、インド神話における'''神猿'''。風神[[ヴァーユ]]が天女アンジャナーとの間にもうけた子とされる<ref>"世界大百科事典_第2版", [https://kotobank.jp/word/%E3%83%8F%E3%83%8C%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%88-360838#E4.B8.96.E7.95.8C.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E7.AC.AC.EF.BC.92.E7.89.88 「ハヌマット」 - 世界大百科事典 第2版]、平凡社。</ref>。'''ハヌマット'''('''हनुमत्''' ''Hanumat'')、'''ハヌマン'''、'''バジュランガバリ'''、'''アンジャネーヤ'''(アンジャナーの息子)とも。名前は「顎骨を持つ者」の意。変幻自在の体はその大きさや姿を自在に変えられ、空も飛ぶ事ができる。大柄で顔は赤く、長い尻尾を持ち'''雷鳴のような咆哮を放つ'''とされる。像などでは四つの猿の顔と一つの人間の顔を持つ五面十臂の姿で表されることもある。
  
顎が変形した顔で描かれる事が多いが、「果物と間違えて太陽を持ってこようとしてハヌマーンは天へ上り、[[インドラ]]の[[ヴァジュラ]]で顎を砕かれてそのまま転落死した。ヴァーユは激怒して風を吹かせるのを止め、多くの人間・動物が死んだが、最終的に他の神々がヴァーユに許しを乞うた為、ヴァーユはハヌマーンに不死と決して打ち破られない強さ、叡智を与えることを要求した。神々はそれを拒むことができず、それによりハヌマーンが以前以上の力を持って復活した為にヴァーユも機嫌を良くし、再び世界に風を吹かせた。」という一説がある。
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顎が変形した顔で描かれる事が多いが、「果物と間違えて太陽を持ってこようとしてハヌマーンは天へ上り、インドラのヴァジュラで顎を砕かれてそのまま転落死した。ヴァーユは激怒して風を吹かせるのを止め、多くの人間・動物が死んだが、最終的に他の神々がヴァーユに許しを乞うた為、ヴァーユはハヌマーンに不死と決して打ち破られない強さ、叡智を与えることを要求した。神々はそれを拒むことができず、それによりハヌマーンが以前以上の力を持って復活した為にヴァーユも機嫌を良くし、再び世界に風を吹かせた。」という一説がある。
  
 
== ラーマーヤナでの記述 ==
 
== ラーマーヤナでの記述 ==
[[ヒンドゥー教]]の聖典ともなっている[[叙事詩]]『[[ラーマーヤナ]]』では、ハヌマーンは猿王[[スグリーヴァ]]が兄[[ヴァーリン]]によって王都[[キシュキンダー]]を追われた際、スグリーヴァに付き従い、後に[[ヴィシュヌ]]神の化身である[[ラーマ]]王子と[[ラクシュマナ]]に助けを請う。ラーマが約束通りにヴァーリンを倒してスグリーヴァの王位を回復した後、今度はラーマ王子の願いでその妃[[シーター|シータ]]の捜索に参加する。そして[[ラークシャサ]](仏教での[[羅刹]])王[[ラーヴァナ]]の居城、海を越えた[[ランカー島|ランカー]](島の意味。[[セイロン島]]とされる)にシータを見出し、ラーマに知らせる。それ以外にも単身あるいは猿族を率いて幾度もラーマを助けたとされており、その中でも最も優れた戦士、弁舌家とされている。
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ヒンドゥー教の聖典ともなっている叙事詩『ラーマーヤナ』では、ハヌマーンは猿王スグリーヴァが兄ヴァーリンによって王都キシュキンダーを追われた際、スグリーヴァに付き従い、後にヴィシュヌ神の化身であるラーマ王子とラクシュマナに助けを請う。ラーマが約束通りにヴァーリンを倒してスグリーヴァの王位を回復した後、今度はラーマ王子の願いでその妃シータの捜索に参加する。そしてラークシャサ(仏教での羅刹)王ラーヴァナの居城、海を越えたランカー(島の意味。セイロン島とされる)にシータを見出し、ラーマに知らせる。それ以外にも単身あるいは猿族を率いて幾度もラーマを助けたとされており、その中でも最も優れた戦士、弁舌家とされている。
  
 
== 現在の民間信仰 ==
 
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== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
* [[孫悟空]]
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* [[甘基王]]
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* [[猿神]]
 
* [[猿神]]
  

2024年12月31日 (火) 15:20時点における版

ハヌマーンहनुमान् Hanumān)は、インド神話における神猿。風神ヴァーユが天女アンジャナーとの間にもうけた子とされる[1]ハヌマットहनुमत् Hanumat)、ハヌマンバジュランガバリアンジャネーヤ(アンジャナーの息子)とも。名前は「顎骨を持つ者」の意。変幻自在の体はその大きさや姿を自在に変えられ、空も飛ぶ事ができる。大柄で顔は赤く、長い尻尾を持ち雷鳴のような咆哮を放つとされる。像などでは四つの猿の顔と一つの人間の顔を持つ五面十臂の姿で表されることもある。

顎が変形した顔で描かれる事が多いが、「果物と間違えて太陽を持ってこようとしてハヌマーンは天へ上り、インドラのヴァジュラで顎を砕かれてそのまま転落死した。ヴァーユは激怒して風を吹かせるのを止め、多くの人間・動物が死んだが、最終的に他の神々がヴァーユに許しを乞うた為、ヴァーユはハヌマーンに不死と決して打ち破られない強さ、叡智を与えることを要求した。神々はそれを拒むことができず、それによりハヌマーンが以前以上の力を持って復活した為にヴァーユも機嫌を良くし、再び世界に風を吹かせた。」という一説がある。

ラーマーヤナでの記述

ヒンドゥー教の聖典ともなっている叙事詩『ラーマーヤナ』では、ハヌマーンは猿王スグリーヴァが兄ヴァーリンによって王都キシュキンダーを追われた際、スグリーヴァに付き従い、後にヴィシュヌ神の化身であるラーマ王子とラクシュマナに助けを請う。ラーマが約束通りにヴァーリンを倒してスグリーヴァの王位を回復した後、今度はラーマ王子の願いでその妃シータの捜索に参加する。そしてラークシャサ(仏教での羅刹)王ラーヴァナの居城、海を越えたランカー(島の意味。セイロン島とされる)にシータを見出し、ラーマに知らせる。それ以外にも単身あるいは猿族を率いて幾度もラーマを助けたとされており、その中でも最も優れた戦士、弁舌家とされている。

現在の民間信仰

今でも民間信仰の対象として人気が高く、インドの人里に広く見られるサルの一種、ハヌマンラングールはこのハヌマーン神の眷属とされてヒンドゥー教寺院において手厚く保護されている。中国に伝わり、『西遊記』の登場人物である斉天大聖孫悟空のモデルになったとの説もある[2]

福音館書店より『おひさまをほしがったハヌマン』として童話化されている[3]

関連項目

出典

  1. "世界大百科事典_第2版", 「ハヌマット」 - 世界大百科事典 第2版、平凡社。
  2. 中野美代子『孫悟空の誕生 ― サルの民話学と「西遊記」』 1980年 ISBN 4006020503
  3. A.ラマチャンドラン・再話、松井直・訳