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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
− | * | + | * 堀内勝, 山折哲雄監修 , 世界宗教大事典 , 平凡社, 1997-02 , 初版 , ジン , pp. 970-971 , isbn:978-4-582-13002-7 , 堀内 (1997) |
− | * | + | * ケネディ , リチャード , 田丸徳善監修、山我哲雄編訳 , 世界宗教事典 カラー版 , 教文館, 1991-02 , ジン , p. 126 , isbn:978-4-7642-4007-0 , ケネディ,山我訳 (1991) |
− | * | + | * ボスワース , C. E. , ヒネルズ, ジョン・R. 編 , 松永泰行訳、佐藤正英監訳 , 世界宗教事典 , 青土社, 1999-04 , ジン , pp. 226-227 , isbn:978-4-7917-5706-0 , ボスワース,松永訳 (1999) |
− | * | + | * ローズ , キャロル , 松村一男監訳 , 世界の妖精・妖怪事典 , 原書房, シリーズ・ファンタジー百科 , 2003-12 , ジン (1) , pp. 190-193, isbn:978-4-562-03712-4 , ローズ,松村訳 (2003) |
− | * | + | * 草野巧著、シブヤユウジ画 , 1997-05 , 幻想動物事典 , p173 , 新紀元社]] , isbn:4-88317-283-X , 幻想動物事典 |
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== 外部リンク == | == 外部リンク == | ||
− | + | * [http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20130610_165933.html イスラームから見たジンの正体(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙)] - TUFSmedia | |
− | + | * [http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20130610_192742.html ニュースのなかの「ジン」(上)(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙)] - TUFSmedia | |
− | + | * [http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20130612_144820.html ニュースのなかの「ジン」(下)(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙)] - TUFSmedia | |
− | * [http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20130610_165933.html イスラームから見たジンの正体(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙)] - TUFSmedia | ||
− | * [http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20130610_192742.html ニュースのなかの「ジン」(上)(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙)] - TUFSmedia | ||
− | * [http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20130612_144820.html ニュースのなかの「ジン」(下)(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙)] - TUFSmedia | ||
== 参照 == | == 参照 == |
2022年3月24日 (木) 16:43時点における最新版
ジン(جِنّ, jinn、 jinn, djin,日本語の翻訳のクルアーンの漢字:幽精[1]、妖霊[2])とは、アラブ世界で人にあらざる存在であり、なおかつ人のように思考力をもつとみなされる存在、すなわち精霊や妖怪、魔人など一群の超自然的な生き物の総称である[3]。
イスラーム以前からいわば俗信としてアラブ人に信じられてきた[3][4]が、イスラム以降、クルアーンがその存在を否定せずに認めているため、神学などで盛んに論じられるようになった[3]。一般的には千夜一夜物語(アラジンと魔法のランプ)に登場するランプの精が有名である[5]。
名称[編集]
以下、本節では特に断りのない限り、文語のアラビア語(フスハー)について述べ、アラビア文字のラテン・アルファベット(Romanization of Arabic)への翻字は、アメリカ議会図書館翻字方式(ALA-LC romanization)に準じた方式で用いる。ただし、ター・マルブータを上付き文字の t で示している。
アラビア語のセム諸語の語根(Semitic root)「j-n-n」からは、「隠す,覆う,護る」などを意味する「jann」や「狂う,狂気に陥る」などを意味する「junn」といった動詞が派生し[6]、名詞としては本項に係る「jinn」のほか、「庭園,楽園,墓地」を意味する「jannat」、「狂人,瘋癲,憑りつかれた人」などを意味する「majnūn」、「繭、いじめられっ子、隠れたもの、隠されたもの」などを意味する「janīn」といった単語が派生する[7]。
「jinn」は複数形の名詞でなおかつ集合名詞である[7][8]。単数形男性は「jinn」、女性は「jinnyyat」である(読みはそれぞれ「ジンニー」「ジンニーヤ」など)[7][8]。同じ語根「j-n-n」から派生して似たような意味を持つ複数形の言葉には、ほかに、「jinna」,「jānn」,「jinnān」があり[7][8]、マグレブ方言には「jnūn」という言葉もある[8]。「jānn」の語源について、19世紀イギリスの東洋学者エドワード・ウィリアム・レイン(Edward William Lane)は、預言者ムハンマドと同時代のアラビアの詩人アブー・ズアイブ・フザリー(أبو ذؤيب الهذلي)の詩句に基づいて、少なくともクルアーンの時代には「五感による知覚からは隠された、あるいは隠れた、精神的な存在」を意味したのであろうと推測した[7]。フザリーの詩句において、"jinn" の意味には「天使」が含まれている[7]。
「jinn」, 「jinna」, 「jānn」, 「jinnān」の語源はさらに遡れる可能性があるが、確かなことは言えないのが21世紀現在の状況である[8]。フランス語で「天才」や「工学」を意味する 「génie」は「守護神」や「精霊」などの意味もあり[9]、語源はラテン語の「genius」にさかのぼる[8]。フランス語「génie」は、本項で取り扱うアラブ民話の「ジン」をフランス語の中で表す言葉として定着しているが、アラビア語「jinn」も同様に、ラテン語「genius」に由来するとする説が、19世紀のヨーロッパでは確かな根拠なく信じられていた[8]。しかし、オランダの東洋学者 Arent Jan Wensinck の "The etymology of the arabic djinn (spirit)" (1920) はこうした俗説を否定し、その後も Eichler, Starcky といった学者も支持した[8]。
アラビア語の「jinn」は、英語においてはより英語化されたかたちの「genie」のつづりで書かれることがある(例えば、ディズニーキャラクターのジーニーなど)[10]。これは『千一夜物語』の英語翻訳の際(18世紀)にフランス語「géni」から借用したものがある程度定着したものである[10][11]。アラビア語「jin」が表すものと、ラテン語由来フランス語の「génie」が表すものが大まかには一致しているため、定着したものと考えられている[12]。
性質[編集]
普段は目に見えないが、煙のような気体の状態から凝結して固体となって姿を現す[3]。その姿も変幻自在で、さまざまな動物や蛇[3]、巨人、醜い生き物、さらには美しい女性にも変わることができる[13]。知力・体力・魔力全てにおいて人間より優れるが、ソロモン王には対抗できないとされる[3]。ソロモン王はジンを自在に操り、神殿を立てる際にもジンを動員したと言われている[14]。
人間に善人と悪人がいるように、ジンにも善人と悪人[4]、ムスリム]非ムスリムがおり[14]、人間と同様に救いを受けるものとジャハンナム(地獄)に落ちるものがいる[4]。人間に取り憑く場合があり、ジンに取り憑かれた人すなわち気が狂った人をマジュヌーン(مجنون(majnǔn))と呼ぶ。善性のジンに取り憑かれれば聖者となり社会に利益をもたらすが、悪性のジンに取り憑かれると狂人になる[3]
害悪を与えるといっても、ただの悪戯好きから人間の命を奪うものまで様々である。強大で恐ろしいものから順にマリード(Marid)(マーリド、マリッド)、イフリート、シャイターン、ジン、ジャーンと格付けされており、リーダー格がイブリースだと言われている[3]。しかしイブリースがアッ・シャイターンと呼ばれているので異説もある。人助けをするイフリートもいることから、この階級は悪性だけでなく、善悪統合した階級だという意見もある[15]。
イスラームとの関係[編集]
イスラム教が成立するより前、ジャーヒリーヤ(無明時代)と呼ばれた頃には、ジンは神々またはそれに準じる存在としてアラブ人によって崇拝されていた[4]。
やがて成立した、唯一神教であるイスラーム教でも、ジンの存在を完全には無視できなかった。クルアーンもその存在を認めており[3][4]、アル・ジンという表題のスーラ(章)があるほどである。
クルアーンに拠る公認教義では、ジンは人間と天使の間に位置する被造物とされる[14]。古典イスラム法でもジンの位置づけを定めているが、ジンが人間と結婚する事についても論考されている[14]。
アッラーフが土からアーダム (آدم) を作る2000年も前に[3]、煙の出ない火[3][16]、またはサハラ砂漠を越えて吹く熱風「シムーン」[13]から作られたとされる。エジプトでは、アラー(アッラーフ)の名を唱えることで、悪をなすジンを退散できると信じられていた。また、砂漠の夜空に流星が光るのはアラーがジンを攻撃しているためだとされていた[13]。
参考文献[編集]
- 堀内勝, 山折哲雄監修 , 世界宗教大事典 , 平凡社, 1997-02 , 初版 , ジン , pp. 970-971 , isbn:978-4-582-13002-7 , 堀内 (1997)
- ケネディ , リチャード , 田丸徳善監修、山我哲雄編訳 , 世界宗教事典 カラー版 , 教文館, 1991-02 , ジン , p. 126 , isbn:978-4-7642-4007-0 , ケネディ,山我訳 (1991)
- ボスワース , C. E. , ヒネルズ, ジョン・R. 編 , 松永泰行訳、佐藤正英監訳 , 世界宗教事典 , 青土社, 1999-04 , ジン , pp. 226-227 , isbn:978-4-7917-5706-0 , ボスワース,松永訳 (1999)
- ローズ , キャロル , 松村一男監訳 , 世界の妖精・妖怪事典 , 原書房, シリーズ・ファンタジー百科 , 2003-12 , ジン (1) , pp. 190-193, isbn:978-4-562-03712-4 , ローズ,松村訳 (2003)
- 草野巧著、シブヤユウジ画 , 1997-05 , 幻想動物事典 , p173 , 新紀元社]] , isbn:4-88317-283-X , 幻想動物事典
外部リンク[編集]
- イスラームから見たジンの正体(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙) - TUFSmedia
- ニュースのなかの「ジン」(上)(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙) - TUFSmedia
- ニュースのなかの「ジン」(下)(2013年06月02日付 Jam-e Jam紙) - TUFSmedia
参照[編集]
- ↑ イスラムのホームページ
- ↑ 聖クルアーン
- ↑ 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 堀内 (1997), p. 970.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 ケネディ,山我訳 (1991), p. 126.
- ↑ 『幻想動物事典』・173頁
- ↑ https://www.almaany.com/en/dict/ar-en/%D8%AC%D9%86/ , Translation and Meaning of جن in Almaany English Arabic Dictionary , almaany.com , 2019-09-11
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 7.5 http://www.tyndalearchive.com/tabs/lane/ , An Arabic-English Lexicon , Edward William Lane , 1863 , 2019-09-11 , pages:462
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 8.7 Tobias , Nünlist , Dämonenglaube im Islam , Walter de Gruyter GmbH & Co KG , 2015 , ISBN:978-3-110-33168-4 , pages:22-23 , de , Google books, yoE_CgAAQBAJ, Dämonenglaube im Islam, plainurl:1
- ↑ 旺文社『ロワイヤル仏和中辞典』第2版 p.933
- ↑ 10.0 10.1 Oxford English Dictionary, 3rd ed. "genie, n." Oxford University Press (Oxford), 2014.
- ↑ Arabian Nights' entertainments, year=1706, Vol. I , p14.
- ↑ John L. Mckenzie The Dictionary Of The Bible Simon and Schuster 1995 ISBN:9780684819136, p. 192
- ↑ 13.0 13.1 13.2 ローズ,松村訳 (2003), p. 190.
- ↑ 14.0 14.1 14.2 14.3 ボスワース,松永訳 (1999), p. 227.
- ↑ 要出典, 2015年11月3日 (火) 13:55 (UTC)
- ↑ ボスワース,松永訳 (1999), p. 226.