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、 2024年12月30日 (月) 01:34
'''ヴァーユ'''(वायु, Vāyu、ワーユとも)はインド神話における風の神<ref name="I">『インド曼陀羅大陸』 131、244頁。</ref><ref name="神の文化史事典p100">『神の文化史事典』 100頁。</ref>。その名は「風」の意<ref name="I" />。アニラ(Anila、「風」の意)<ref name="I" />、マルト(Marut、「風」の意)<ref name="I" />、ガンダヴァハ(Gandhavaha、「香を運ぶ者」の意)<ref name="I" />、パヴァナ、プラーナとも呼ばれる。
== 解説 ==
『リグ・ヴェーダ』の「プルシャの歌」(X・90・13)によれば、ヴァーユは原人'''プルシャの生気(プラーナ)'''から生まれたという<ref>『神の文化史事典』 100-101頁。</ref><ref name="インド神話伝説辞典p66">『インド神話伝説辞典』 66頁。</ref><ref>「リグ・ヴェーダの讃歌」102頁。(プルシャ(原人)の歌(10・90))"''...生気より風生じたり。''" </ref>。その速さはしばしば駿馬と比喩される。ヴァーユが乗るの'''は2頭の赤毛の馬'''が牽く乗る車で、その車には御者としてインドラ神も乗ることがあるという<ref name="神の文化史事典p100" /><ref name="インド神話伝説辞典p66" />。
ヴァーユはインドラ神と密接に結びつき、インドラに並ぶ神だとされている<ref name="神の文化史事典p100" />。三界(天・空・地)のうち、空界をインドラとともに占める。『リグ・ヴェーダ』にはヴァーユの他にもヴァータという風神が登場しているが、ヴァーユのほうがより[[擬人化]]が進み、讃歌の数も多い。[[イラン]]における風神ワーユにあたる<ref>『西洋神名事典』258頁。</ref>。『[[マハーバーラタ]]』の英雄[[ビーマ]]や、『[[ラーマーヤナ]]』の猿将[[ハヌマーン]]はヴァーユの息子とされる<ref name="神の文化史事典p101">『[[#神の文化史事典|神の文化史事典]]』 101頁。</ref>。
時代が下ると、インドラら他の神々と共に8つの方角に配され、ヴァーユは北西の守護神となった<ref name="神の文化史事典p100" /><ref>『[[#インド神話伝説辞典|インド神話伝説辞典]]』 67頁。</ref>。また、ヴァータと共に<ref name="神の文化史事典p100" />[[仏教]]に取り入れられて'''[[風天]]'''となった<ref name="I" /><ref name="神の文化史事典p100" />。[[ゾロアスター教]]においては、ワーユはインドラと共に[[ダエーワ]](悪魔)とみなされた<ref>{{Cite book |和書 |last=エリアーデ |first=ミルチア |authorlink=ミルチャ・エリアーデ |others=[[松村一男]]訳 |title=世界宗教史2 - 石器時代からエレウシスの密儀まで(下) |publisher=[[筑摩書房]] |series=[[ちくま学芸文庫]] |date=2000-04 |isbn=978-4-480-08562-7 |chapter=第13章 105 アケメネス朝の宗教 |page=213頁 }}</ref>。
また、ヴァーユはインド哲学の五大要素(パンチャマハーブータ)の一つであり、その意味は「風」、「空気」あるいは「気」である。
== ヴァーユに由来する名称 ==
*かつて[[東日本フェリー]]および[[津軽海峡フェリー]]が所有していた[[フェリー]]『[[ばあゆ]]』の名称はこの神の名に由来する。
*[[マルチ・スズキ・インディア|マルチ・ウドヨグ→マルチ・スズキ・インディア]] - この神の名(マールティ)を、自動車が軽快なスピードで颯爽と走るイメージを意識してつけた。
== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書 |author=稲葉義明ほか |others=[[山北篤]]監修 |title=西洋神名事典 |publisher=[[新紀元社]] |series=[[Truth In Fantasy]]事典シリーズ 4 |date=1999-11 |isbn=978-4-88317-342-6 |ref= }}
* {{Cite book |和書 |author=沖田瑞穂 |editor=松村一男他 |title=神の文化史事典 |publisher=[[白水社]] |date=2013-02 |chapter=ヴァーユ |pages=100-101 |isbn=978-4-560-08265-2 |ref=神の文化史事典 }}
* {{Cite book |和書 |author=蔡丈夫 |title=インド曼陀羅大陸 - 神々/魔族/半神/精霊 |publisher=新紀元社 |series=Truth In Fantasy 11 |date=1991-12 |isbn=978-4-88317-208-5 |ref= }}
* {{Cite book |和書 |editor=菅沼晃|editor-link=菅沼晃 |title=インド神話伝説辞典 |publisher=[[東京堂出版]] |date=1985-03 |chapter=ヴァーユ |pages=66-68 |isbn=978-4-490-10191-1 |ref=インド神話伝説辞典 }}
* {{Cite book |和書 |translator=[[辻直四郎]] |chapter=リグ・ヴェーダの讃歌 |title=ヴェーダ アヴェスター |others=訳者代表 辻直四郎 |publisher=[[筑摩書房]] |series=世界古典文学全集 第3巻 |date=1967-01 |page= 310 |id={{全国書誌番号|55004966}}、{{NCID|BN01895536}} |ref=リグ・ヴェーダの讃歌 }}
== 関連項目 ==
* [[ハヌマーン]]
* [[インドラ]]
== 脚注 ==
{{デフォルトソート:うああゆ}}
[[Category:インド神話]]
[[Category:イラン神話]]
[[Category:風神]]
[[Category:馬]]