「総論・男神」の版間の差分
ナビゲーションに移動
検索に移動
↑ 百田弥栄子『中国の伝承曼荼羅』三弥井民俗選書、1999年、188-189頁
↑ 百田弥栄子『中国の伝承曼荼羅』三弥井民俗選書、1999年、135-136頁
↑ 百田弥栄子『中国の伝承曼荼羅』三弥井民俗選書、1999年、136頁
(ページの作成:「各地の女神の神話や伝承をみるに、彼女たちには3つの大きな機能があるように思う。 * '''母''':燃やされた女神(時に植…」) |
(→男神対応表) |
||
(同じ利用者による、間の4版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
− | + | 各地の男神の神話や伝承をみるに、彼らには3つの大きな機能があるように思う。 | |
− | * ''' | + | * '''[[黄帝型神]]''':(時に植物神として表される)、基本的には善神だが例外もある。 |
− | + | * '''[[炎帝型神]]''':(時に植物神として表される)、基本的には悪神だが、そうでない場合もある。祝融型神の'''前世'''として重要。[[饕餮]]など。 | |
− | + | * '''[[祝融型神]]''':範囲の広い疫神。基本的に悪神だが、王家の始祖神話を中心に善神とされる場合も多い。おおむね、[[黄帝型神]]の'''息子'''あるいは息子的に描かれる。[[祝融型神]]の中でも[[伏羲]]に関する群は、大洪水神話などで特徴的だ。 | |
− | + | 神話や伝承によっては、それぞれの性質が入り交じったり、分離したり、区別しがたい場合がある。また父と息子が入れ替わっていたり、別々の男性として描かれることもある。 | |
− | + | 原則として、[[黄帝型神]]が[[炎帝型神]]を倒すことが多いが、稀に[[祝融型神]]が[[炎帝型神]]を倒すことがある。ミトラスなど。 | |
− | |||
− | + | [[祝融型神]]が[[黄帝型神]]を倒すことが多いが、その逆もある。 | |
− | + | == 男神対応表 == | |
− | + | 主に中国の神話・伝承を中心に対応表を挙げる。 | |
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | == | ||
− | |||
<table class="wikitable"> | <table class="wikitable"> | ||
− | <caption> | + | <caption>黄帝関連対比表</caption> |
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
<tr> | <tr> | ||
− | < | + | <th>母女神([[燃やされた女神]])</th><th>父神</th><th>息子妻女神</th><th>息子神・疫神</th><th>備考</th> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td> | + | <td>[[ヒョウタン]]</td><td></td><td>[[女媧]]</td><td>[[伏羲]](ときに犬形とされる<ref>百田弥栄子『中国の伝承曼荼羅』三弥井民俗選書、1999年、188-189頁</ref>)</td><td>[[伏羲]]・[[女媧]]型神話</td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td> | + | <td>有莘氏女嬉</td><td>[[鯀]]</td><td>[[塗山氏女]]</td><td>[[禹]]</td><td>五帝神話との対比</td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td> | + | <td>有莘氏女嬉</td><td>白馬</td><td>[[塗山氏女]]</td><td>[[禹]]</td><td>五帝神話との対比</td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td>[[ | + | <td>[[相柳]]</td><td>[[共工]]</td><td></td><td>[[祝融]]</td><td>祝融神話との対比</td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td> | + | <td></td><td>[[八俣遠呂智]]</td><td>奇稲田姫</td><td>[[須佐之男命]]</td><td></td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td></td><td> | + | <td>西王母的妻</td><td>譚華丹</td><td></td><td>甘基王([[盤瓠]]風・蛙)</td><td>ヤオ族の[[羿]]的神話との対比</td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td></td><td>[[ | + | <td>[[嫦娥]]</td><td>[[羿]]</td><td></td><td>[[逢蒙]]・[[黒耳]]</td><td>[[羿]]神話との対比</td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td> | + | <td></td><td>蛙[[羿]]</td><td></td><td>干ばつ(複数の太陽)</td><td>土家族神話との対比<ref>百田弥栄子『中国の伝承曼荼羅』三弥井民俗選書、1999年、135-136頁</ref></td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td> | + | <td></td><td>蛙</td><td></td><td>雷神</td><td>壮族神話との対比<ref>百田弥栄子『中国の伝承曼荼羅』三弥井民俗選書、1999年、136頁</ref></td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td></td><td> | + | <td></td><td>[[盤瓠]]</td><td></td><td>干ばつ・水難([[祝融]])</td><td></td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td></td><td> | + | <td></td><td>[[盤瓠]]</td><td></td><td>息子たち</td><td></td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td></td><td> | + | <td>養蚕の母</td><td>[[黄帝]]</td><td></td><td>[[祝融]]・[[蚩尤]]([[炎帝]]・[[饕餮]])</td><td>炎黄闘争との比較</td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td></td><td> | + | <td>市杵嶋姫</td><td>大国主命</td><td>[[下光比売命]]</td><td>[[阿遅鉏高日子根神]]</td><td></td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | <td></td><td> | + | <td>[[天甕津日女命]]</td><td>葦原醜男</td><td></td><td>[[阿遅鉏高日子根神]]</td><td></td> |
</tr> | </tr> | ||
<tr> | <tr> | ||
− | + | <td>八上比売</td><td>葦原醜男</td><td></td><td>木俣神</td><td></td> | |
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | <td>八上比売</td><td> | ||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
</tr> | </tr> | ||
</table> | </table> | ||
− | + | ||
+ | 日本神話で、[[黄帝型神]]の代表格は大国主命だと考える。記紀神話の編纂者達は、中国の神話をきちんと研究していたとみえて、中国神話と比較するとおおまかなところで、対応している部分が多い。[[黄帝]]や大国主命は「水神」としての性質を持つのだが、中国神話で暴れん坊の悪い水神といえば[[共工]]である。これは水神だから[[黄帝型神]]なのだけれど、悪神として描かれる。そして、[[祝融]]に倒されてしまう。[[共工]]に対応する、日本の悪い水神は[[八俣遠呂智]]だ。[[八俣遠呂智]]は[[須佐之男命]]に倒される。そして、[[須佐之男命]]と[[祝融]]は共に疫神である。[[共工]]に関する神話と、[[八俣遠呂智]]に関する神話には、設定に類似性があり、それぞれ神々の性質も対応する神と一致している。 | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == |
2024年11月28日 (木) 21:56時点における最新版
各地の男神の神話や伝承をみるに、彼らには3つの大きな機能があるように思う。
- 黄帝型神:(時に植物神として表される)、基本的には善神だが例外もある。
- 炎帝型神:(時に植物神として表される)、基本的には悪神だが、そうでない場合もある。祝融型神の前世として重要。饕餮など。
- 祝融型神:範囲の広い疫神。基本的に悪神だが、王家の始祖神話を中心に善神とされる場合も多い。おおむね、黄帝型神の息子あるいは息子的に描かれる。祝融型神の中でも伏羲に関する群は、大洪水神話などで特徴的だ。
神話や伝承によっては、それぞれの性質が入り交じったり、分離したり、区別しがたい場合がある。また父と息子が入れ替わっていたり、別々の男性として描かれることもある。
原則として、黄帝型神が炎帝型神を倒すことが多いが、稀に祝融型神が炎帝型神を倒すことがある。ミトラスなど。
男神対応表[編集]
主に中国の神話・伝承を中心に対応表を挙げる。
母女神(燃やされた女神) | 父神 | 息子妻女神 | 息子神・疫神 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ヒョウタン | 女媧 | 伏羲(ときに犬形とされる[1]) | 伏羲・女媧型神話 | |
有莘氏女嬉 | 鯀 | 塗山氏女 | 禹 | 五帝神話との対比 |
有莘氏女嬉 | 白馬 | 塗山氏女 | 禹 | 五帝神話との対比 |
相柳 | 共工 | 祝融 | 祝融神話との対比 | |
八俣遠呂智 | 奇稲田姫 | 須佐之男命 | ||
西王母的妻 | 譚華丹 | 甘基王(盤瓠風・蛙) | ヤオ族の羿的神話との対比 | |
嫦娥 | 羿 | 逢蒙・黒耳 | 羿神話との対比 | |
蛙羿 | 干ばつ(複数の太陽) | 土家族神話との対比[2] | ||
蛙 | 雷神 | 壮族神話との対比[3] | ||
盤瓠 | 干ばつ・水難(祝融) | |||
盤瓠 | 息子たち | |||
養蚕の母 | 黄帝 | 祝融・蚩尤(炎帝・饕餮) | 炎黄闘争との比較 | |
市杵嶋姫 | 大国主命 | 下光比売命 | 阿遅鉏高日子根神 | |
天甕津日女命 | 葦原醜男 | 阿遅鉏高日子根神 | ||
八上比売 | 葦原醜男 | 木俣神 |
日本神話で、黄帝型神の代表格は大国主命だと考える。記紀神話の編纂者達は、中国の神話をきちんと研究していたとみえて、中国神話と比較するとおおまかなところで、対応している部分が多い。黄帝や大国主命は「水神」としての性質を持つのだが、中国神話で暴れん坊の悪い水神といえば共工である。これは水神だから黄帝型神なのだけれど、悪神として描かれる。そして、祝融に倒されてしまう。共工に対応する、日本の悪い水神は八俣遠呂智だ。八俣遠呂智は須佐之男命に倒される。そして、須佐之男命と祝融は共に疫神である。共工に関する神話と、八俣遠呂智に関する神話には、設定に類似性があり、それぞれ神々の性質も対応する神と一致している。
関連項目[編集]
参照他[編集]
- Wikipedia:各神対応項目