アルテミスが処女の女神であることは、彼女がかつて「結婚できなかった月乙女」であったことを伺わせる。「'''結婚できなかった月乙女'''」は父系の神話に取り込まれて「'''厳しく監督する上位の(月)女神'''」と「'''スケープゴート的に非難され罰され殺される下位の女神'''」に分けられてしまったことが分かる。元は同じものであった2つの女神の一方が、虐待的にもう一方を殺す、というパターンは「[[うりこひめとあまのじゃく]]」という話へと変遷していくように思う。狩られて殺されたカリストーは「犬に追われて殺された」とも考えられるので、言外に「天狗食北斗」が暗示されているかもしれないと考える。カリストーが北斗の女神である点は、彼女が元は苗族の日月北斗乙女と同様の女神で、北斗女神の姿が強調されたものだということが示唆される。異教時代のヨーロッパでは熊女神信仰が盛んであった。
=== 十人の処女たちのたとえ ===
<blockquote>そこで天国は、十人のおとめがそれぞれあかりを手にして、花婿を迎えに出て行くのに似ている。その中の五人は思慮が浅く、五人は思慮深い者であった。思慮の浅い者たちは、あかりは持っていたが、油を用意していなかった。しかし、思慮深い者たちは、自分たちのあかりと一緒に、入れものの中に油を用意していた。花婿の来るのがおくれたので、彼らはみな居眠りをして、寝てしまった。夜中に、『さあ、花婿だ、迎えに出なさい』と呼ぶ声がした。そのとき、おとめたちはみな起きて、それぞれあかりを整えた。ところが、思慮の浅い女たちが、思慮深い女たちに言った、『あなたがたの油をわたしたちにわけてください。わたしたちのあかりが消えかかっていますから』。すると、思慮深い女たちは答えて言った、『わたしたちとあなたがたとに足りるだけは、多分ないでしょう。店に行って、あなたがたの分をお買いになる方がよいでしょう』。彼らが買いに出ているうちに、花婿が着いた。そこで、用意のできていた女たちは、花婿と一緒に婚宴のへやにはいり、そして戸がしめられた。そのあとで、ほかのおとめたちもきて、『ご主人様、ご主人様、どうぞ、あけてください』と言った。しかし彼は答えて、『はっきり言うが、わたしはあなたがたを知らない』と言った。だから、目をさましていなさい。その日その時が、あなたがたにはわからないからである。(マタイによる福音書25章1節から13節(口語訳))
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当時の結婚式は、花婿が花嫁の家に迎えに行き、花嫁と一緒に行列となって花婿の家に戻り、そこで式を挙げるというものだった。花婿が花嫁の家に到着したときに、乙女たちがともし火を持って迎えるという慣習があった。そのため乙女たちにとって、ともし火を持って花婿を迎えることは大切な使命だった。ともし火が消えないように万全を期した準備で花婿を迎える必要があった<ref name='basaki337'>場崎 洋(2011)、pp.337-338</ref>。
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ともし火は愛のともし火であり、備えの油は愛の油であった。たとえの中の花婿はイエスを、乙女たちは我々人間を、ともし火は信仰を、油は愛と善業を表す。眠りはイエスの来臨までの期間を表し、婚宴は天国を表している。たとえの中で目覚めて用意することは「賢い」という言葉で表現されている<ref name='basaki337' /><ref group='注釈'>[[s:ルカによる福音書(口語訳)#12:35|ルカによる福音書(12:35-40)]]では婚宴から帰って来る主人を深夜に目覚めて待つしもべの話がある。</ref>。(Wikipediaより) </blockquote>
== 参考文献 ==