前半部分は、狭姫はホノニニギの命とも、少名毘古那神とも類似点がある。酒や霊薬と関係した、との逸話はないので、嫦娥的な性質を伴った女神であったかどうかは分からない。嫦娥が「罰を受ける女神」だったとするならば、狭姫の場合、嫦娥的なのは母親のオオゲツヒメの方だといえる。
おそらく、乙子狭姫の物語は、記紀神話に併せて、連続性、類似性があるように変えられているが、本来は別の物語であったので、独立して残されたのではないか、と思われる。記紀神話に採用されなかった理由は、「'''天から、オオゲツヒメから派生した穀物(特に稲)がもたらされる'''」というイベントはホノニニギの命の独占エピソードとするため、という政治的な理由で排除されたのではないか、と思う。
== 扶桑と養蚕 ==