の3つあるいは4つから成り立っている複合的な女神といえる。それぞれについて、本来の姿を探っていくことが、本来の西王母信仰の姿を探ることにもつながるのではないだろうか。
== 女神の不満と出奔(竹取説話と奈具神社由来譚) ==
竹取説話について。今昔物語集 巻第31、第33「竹取の翁女児を見付けて養ふ語」
「竹取物語」の類話である。「竹取物語」が本話の直接の出典ではない、というのが現在の通説とのこと。
粗筋は、「竹取の翁が竹藪で女児を見付けて、育てたところ、三ヶ月で成長し、成人となった。翁が竹を取りに行くと、今度は竹の中に黄金を見付けた。そこで翁は大金持ちになった。女児は成長すると非常に美しくなり求婚者が殺到した。娘は「空に鳴る雷」「優曇華の花」「打たぬのに鳴る鼓」を求婚者達に求めたが、誰も持ってくることはできなかった。そのうち、評判を聞きつけた天皇が直接求婚に来て、女の美しさを素晴らしいと思った。天皇は女に求婚したが、女は「私は人ではありません。空から迎えが来ます。」と述べて、迎えと一緒に天に帰ってしまった。」というものである。
創作物である「竹取物語」では女主人公は竹から現れて、成長した後、「罪が許されて」、「月の都」に帰ることになっており、別れの手向けに、天皇に「不死の薬」を贈っている。すなわち、「罰を受ける女神」である点と、「不死の霊薬」の地上における持ち主である点について、「竹取物語」の方が、民間伝承よりも嫦娥の神話と類似点が多い。竹取説話の方は、「罰を受ける女神」である点は明確でない。求婚されることが不満だったのか、女神は女主人公は唐突に天に帰ってしまう。結婚するのが嫌なくらいだから、当然女主人公は英雄とも誰とも結婚しない。
本来の「竹取説話」は、天から降りてきた「小さ子」的な女神に親切にしてくれる翁夫妻に対する報恩譚に、女主人公が直接求婚者達に難題を出す「難題婿」の要素と、不満な女神の失踪譚の要素を組み込んだ物語だろうと思われる。求婚は不満の原因だったかもしれないが、失踪(天への帰還)の原因とまでいえるかどうかは定かではない。
== 扶桑と養蚕 ==