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== 早太郎説話 ==
この説話は、当寺や、その他各地で語られているものであるが、その内容は類型的である。また、{{読み仮名|早太郎|はやたろう}}の名は、伝わる地方により異なり、[[遠江国]]では悉平太郎(しっぺいたろう)という。駒ヶ根でも、疾風太郎(しっぷうたろう)という別名が伝わっている。この説話は、光前寺や、その他各地で語られているものであるが、その内容は類型的である。また、早太郎(はやたろう)の名は、伝わる地方により異なり、遠江国では悉平太郎(しっぺいたろう)という。駒ヶ根でも、疾風太郎(しっぷうたろう)という別名が伝わっている。
昔、[[信濃国|信濃]]の光前寺の床下で[[山犬]]が子犬を産んだ。光前寺の和尚は親子の山犬を手厚く世話してやった。やがて母犬は子犬達を連れて山に戻ったが、子犬のうちの1匹を寺に残していった。この子犬は早太郎というたいへん強い山犬となり光前寺で飼われた。ある時、光前寺の近くで怪物が現れて子供をさらおうとしたが、早太郎が駆け付けたため、怪物は逃げて行った。さて、その頃、信濃の南隣、[[遠江国|遠江]]の見附村には、毎年、どこからともなく放たれた白羽の矢が立った家の娘を昔、信濃の光前寺の床下で山犬が子犬を産んだ。光前寺の和尚は親子の山犬を手厚く世話してやった。やがて母犬は子犬達を連れて山に戻ったが、子犬のうちの1匹を寺に残していった。この子犬は早太郎というたいへん強い山犬となり光前寺で飼われた。ある時、光前寺の近くで怪物が現れて子供をさらおうとしたが、早太郎が駆け付けたため、怪物は逃げて行った。さて、その頃、信濃の南隣、遠江の見附村には、毎年、どこからともなく放たれた白羽の矢が立った家の娘を[[人身御供]]として神様に差し出さねばならぬ恐ろしい仕来りがあった。これを破ると田畑が荒らされ、村が困窮しきるため、村人は泣く泣く矢奈比売神社の祭りの夜に娘を棺に入れて差出し、これを鎮めていたのだ。
[[延慶 (日本)|延慶]]元年([[1308年]])8月、この地を旅の僧侶が通りかかり、見附村の鎮守であるはずの神様がそのような悪行をなすはずがないと考え、祭りの夜にその正体を確かめようと神社に向かい身を潜めていた。すると、そこに現れたのは神様ではなく神を騙る恐ろしい怪物であり、その怪物が「信州の早太郎おるまいな、早太郎には知られるな」と言いながら娘をさらっていった。怪物が恐れる「信州の早太郎」に怪物退治を頼む他ないと考えた僧侶は、信濃へ行き、1年近くもの間に方々を探しまわった末、光前寺の早太郎を見つけ出し、事情を説明して和尚から早太郎を借受けた。僧侶と早太郎が見付村に辿り着いた時には既に8月に入り、その年も又、村のある家に白羽の矢が立っていた。僧侶は村人と相談し、早太郎を娘に代わって神社に差し出すことを承諾させた。そして次の祭りの日、早太郎は娘の身代わりとなって棺に潜み、現れた怪物と一夜にわたって激しく戦い、見事退治した。人身御供に差し出させた娘を毎年喰らっていた怪物の正体は歳を経た[[サル|猿]]の化生「[[狒々]]」であった。

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