キュベレーは両性具有の女神とされているが、男性形のまま凶暴性のある性質を残して広まったものが[[エスス]]ではないだろうか。
== グンデストルップの大釜 ==
[[File:ChaudronDeGundestrup4.jpeg| thumb|620px|グンデストルップの大釜。女性像と車輪。]]
このプレートには女性の胸像が描かれており、両側に6本スポークの車輪が配置され、2頭のゾウのような生き物や2頭のグリフォンといった神話上の動物が周囲に描かれている。胸像の下には大型の猟犬が描かれている。 ガリアの女神エレクラ(Erecura)ではないだろうか。2頭の象は、天候神と関連づけられたアイラーヴァタ的な象ではないだろうか。
「グンデルストルップの大釜」そのものは、「どこかの神」を特定して意匠が施されている、というよりは、大釜が作成された当時、ヨーロッパ(中欧)で御利益がある、と考えられていた神々が出自はあまり問わず描かれたのではないだろうか、と管理人は考える。ローマ人はガリアの神々をローマの神の名を当てて「マールス」とか「メルクリウス」と呼んでいたし、ガリアの人々もローマの神と地元の神の名を組み合わせて碑文に書いていたりして、西欧式のシンクレティズム(習合)が進んでいたものと思われる。
象はインド神話で雲を作り出す動物と考えられていた。象はインドラの乗り物である。ヒッタイトでは太陽神の飼っている羊や羊毛が雲と関連すると考えられていた(参照:[[カムルセパ]])。[[ホレのおばさん]]では鳥の羽毛が雪となる。これらの神話から「グンデルストルップの大釜」の作者は「動植物を育成させる雲の女神(天候神)」の随神として象を取り入れたのではないだろうか。作者がケルトであっても、トラキアであっても、作者自身の地元の思想というよりは「凝った意匠にして、異国的なエキゾチックさを強調するために」このようにした可能性があるように思う。ただし、「6本のスポークの車輪」は雪の結晶を思わせるので、女神の性質としては雪を降らせる[[エレクラ]](ホレのおばさん)を想定していたのかもしれない、と思う。
== 参考文献 ==
** Green, Miranda (2004). ''The gods of the Celts.'' Sparkford, UK: Sutton Publishing.
** MacKillop, James. ''Dictionary of Celtic Mythology''. Oxford: Oxford University Press, 1998. ISBN:0-19-280120-1.
** Wood, Juliette, ''The Celts: Life, Myth, and Art'', Thorsons Publishers (2002): {{ISBN|0-00-764059-5}}
==External links外部リンク ==
* [http://www.wales.ac.uk/documents/external/cawcs/pcl-moe.pdf Proto-Celtic — English lexicon]
* [http://www.kernunnos.com/deities/ogmios/ogmios.html Ogmios Ogma and Heracles (Lucian)]
* [[黄金の林檎]]:女神の持つ重要なアイテムである。
* キュベレー:エレクラの起源的女神と管理人は考える。
** [[カムセルパ]]:ヒッタイト神話「KM+キュベレー」の組み合わせの名を持つ女神。
* ヘーラー:ギリシア神話。エレクラに相当する女神。
* [[エスス]]:ガリア神話。狂乱による生贄の死を求める神。キュベレーの男性形といえるのではないだろうか。
[[Category:キュベレー]]
[[Category:黄金の林檎]]
[[Category:グンデストルップの大釜]]