マーナガルムはしばしば、月を追いかけるとされる狼[[ハティ]]と同一視され、ハティの別名がマーナガルムだともいわれている。
しかし[[アクセル・オルリック]]は、『古エッダ』の『[[グリームニルの言葉]]』第39節にある、「森に太陽が沈むまで追いかける狼はスコル、ハティは天の花嫁(太陽)の前を走る」という節について、しかしアクセル・オルリックは、『古エッダ』の『グリームニルの言葉』第39節にある、「森に太陽が沈むまで追いかける狼はスコル、ハティは天の花嫁(太陽)の前を走る」という節について、'''太陽の前を走ることと月を追いかけることは同じではない'''と指摘している<ref name="sekai55">『北欧神話の世界』55頁。</ref>。
彼は、太陽の前後を走る狼とは、[[北ヨーロッパ|北欧]]では一般的にみられる、太陽付近に光の斑点が現れる現象「[[幻日]]」をさしているのだとしている。この気象現象の民俗的な呼称は、[[デンマーク]]や[[ノルウェー]]では「彼は、太陽の前後を走る狼とは、北欧では一般的にみられる、太陽付近に光の斑点が現れる現象「幻日」をさしているのだとしている。この気象現象の民俗的な呼称は、デンマークやノルウェーでは「'''太陽狼'''」であり、[[スウェーデン]]ではそれとともに同義の「」であり、スウェーデンではそれとともに同義の「''solvarg''」も使うとしている<ref name="sekai55" />。イギリスやアメリカでも、「''sun-dog''」といった名称で呼ばれることがあるという<ref>『北欧神話の世界』55-56頁。</ref>。この「2頭の太陽狼」という表象は広く行き渡っていて、たとえば[[アイスランド]]の農民はこの現象を「太陽が狼の挟みつけに遭う」つまり「両側から狼に襲われる」と表現するという。この「7''2頭の太陽狼'''」という表象は広く行き渡っていて、たとえばアイスランドの農民はこの現象を「太陽が狼の挟みつけに遭う」つまり「両側から狼に襲われる」と表現するという<ref name="sekai55" />。
対して、北欧の民俗信仰に「月を飲み込む狼」は存在していないため、このマーナガルムは、[[スノッリ・ストゥルルソン]]が『グリームニルの言葉』の当該箇所を誤解したことに由来しているとオルリックは考えている<ref name="sekai55" />。