'''ヨシ'''または'''アシ'''(葦、芦、蘆、葭、学名: Phragmites australis)は、イネ科ヨシ属の多年草。河川および湖沼の水際に背の高い群落を形成する。日本ではセイコノヨシ(P. karka}} (Retz.) Trin.)およびツルヨシ(P. japonica}} Steud.)を別種とする扱いが主流である。
英語では一般的にリード (reed) と称されるが、湿地に生える背の高い草の全般も同じスペリングでリード (植物)(Reed (plant))(reed) と総称される。本種のみを示す場合は、common )と総称される。本種のみを示す場合は、common reed と称される。
== 日本語における原名 ==
== 特徴 ==
大型の[[多年草]]{{sfn|大型の多年草<ref>馬場篤|, 1996|p=113}}。河川、湖沼などの水辺に、背の高い大[[群落]]をつくる{{sfn|, p113</ref>。河川、湖沼などの水辺に、背の高い大群落をつくる<ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}{{sfn|, p238</ref><ref>藤井義晴|, 2019|p=145}}。地中には長く這う類白色の[[地下茎]]があり、節からひげ根を出し{{sfn|, p145</ref>。地中には長く這う類白色の地下茎があり、節からひげ根を出し<ref>馬場篤|, 1996|p=113}}、条件がよければ一年に約5[[メートル]] , p113</ref>、条件がよければ一年に約5メートル (m) 伸びる。
垂直になった[[茎]]は高さ1垂直になった茎は高さ1.5 - 3 mになり{{sfn|<ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}、暑い[[夏]]ほどよく生長する。地上茎は中空で直立し、[[葉]]は線形で茎に斜めについて[[互生]]する{{sfn|, p238</ref>、暑い夏ほどよく生長する。地上茎は中空で直立し、葉は線形で茎に斜めについて互生する<ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}, p238</ref>。ツルヨシと違い、茎の節部には毛はない{{sfn|<ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}, p238</ref>。茎から直接葉が伸びており、高さ20 - 50[[センチメートル]] 50センチメートル (cm) 、幅2 - 3 cmで細長く、葉の先端は垂れる{{sfn|<ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}, p238</ref>。葉の基部は茎を囲む葉鞘となり、茎から離れて葉身となる{{sfn|<ref>馬場篤|, 1996|p=113}}。葉身の基部の両側に、[[葉耳]](ようじ)とよばれる小さな耳状に張り出した突起部があり{{sfn|, p113</ref>。葉身の基部の両側に、葉耳(ようじ)とよばれる小さな'''耳'''状に張り出した突起部があり<ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}, p238</ref>、葉鞘口部には毛が列をなして生えているのが特徴である{{sfn|<ref>馬場篤|, 1996|p=113}}, p113</ref>。
花期は夏から秋(8 - 10月)で{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=217}}、茎の頂から穂が出て{{sfn|馬場篤|1996|p=113}}、[[花]]は暗紫色から黄褐色で{{sfn|藤井義晴|2019|p=145}}、小穂が多数ついた長さ15 - 40 cmの[[円錐花序]]に密集している{{sfn|近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|2010|p=238}}。花序は[[ススキ]]のように片側になびくことがない{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=217}}。小穂は2 - 4個の小花があり、第1小花は雄性花、その他は両性花で基部に毛を密生する{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=217}}。[[果実]]は[[穎果]]で、形は線状の楕円形をしており、熟すと小穂とほぼ同じ長さの白毛がつき、護頴の先から伸びて芒のように見える{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=217}}。
ヨシは風が吹いて地面に倒されても、茎が柔軟なため折れることがなく、やがて起き上がって上に向かって生長する{{sfn|藤井義晴|2019|p=148}}。また、ヨシは他の植物が生えない純群落をつくる{{sfn|藤井義晴|2019|p=148}}。ヨシの[[アレロパシー]]については、大量に含まれる[[没食子酸]]が分解して、[[メソシュウ酸]](MOA)という物質が生成され、これが雑草の発生を抑制する[[アレロケミカル]]として報告されている{{sfn|藤井義晴|2019|p=146}}。没食子酸は、多くの植物に含まれている代表的な加水分解性[[タンニン]]である{{sfn|藤井義晴|2019|p=146}}。また、メソシュウ酸は、別名タルトロン酸または、2-ヒドロキシン酸ともよばれ、大量に体内に摂取されると毒性がある物質である{{sfn|藤井義晴|2019|p=146}}。
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ファイル:Phragmites australis rhizome kz.jpg|[[地下茎]]
ファイル:Roseau du bord de Saône 2.jpg|[[葉]]
ファイル:Phragmites australis blossom.jpg|[[穂]]
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類似種に[[ツルヨシ]]があり、地表に[[匍匐茎]]を伸ばして節に毛があり、葉身の基部は耳状に突き出ず、葉鞘の上部が赤紫であるところが相違点である{{sfn|馬場篤|1996|p=113}}。