揚子江の神は龍として現れるが、これも牛に変身して戦う。この場合、破れた龍牛神は、[[蚩尤]]を投影していると思われる。とすれば、李氷は[[黄帝型神]]ともいえる。
治水神話としては、かなり形が崩れており、揚子江流域に牛神信仰が強かったこともあって、[[炎黄闘争]]を下敷きにしつつも、牛神(炎帝的神である李氷)が牛神([[蚩尤]])を倒す、というやや矛盾を含んだ話へと変化している。黄河の側でも龍蛇神と思われる禹が、同じ水神である)を倒す、というやや矛盾を含んだ話へと変化していると考える。黄河の側でも龍蛇神と思われる禹が、同じ水神である[[無支祁]]を倒す、という伝承がある。このように古代中国で、[[炎黄闘争]]の神話を元にして、「'''水神が水神を倒して、治水を完遂する'''」という神話が揚子江・黄河の双方の流域で発生した後、各地に伝播していった可能性があると考える。日本にも水神である[[須佐之男命]]が、水神である[[八俣遠呂智]]を倒す神話がある。倒される[[八俣遠呂智]]は[[無支祁]]的な神で黄河側の神話の流れを組むと考えるが、須佐之男命が牛神になぞらえられる傾向は、揚子江側の神話からの流れと考えられ、揚子江・黄河双方の神話の影響を受けている折衷的な神話が[[八俣遠呂智]]退治と考えると非常に興味深く感じる。これは意図的なものなのだろうか。
日本には、犀の名がつく「犀川」という川が存在し、「犀竜」という龍蛇形の女神も存在する。これも興味深いことである。