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ページの作成:「'''李氷'''(りひょう)とは古代中国で揚子江の治水を行った、とされる人物である。 漢代『蜀王本紀』「江水が水害になった…」
'''李氷'''(りひょう)とは古代中国で揚子江の治水を行った、とされる人物である。

漢代『蜀王本紀』「江水が水害になった。蜀守李氷は石犀を五つ作って、水精を制圧した」とあり、晋代『華陽国誌』「蜀誌」にほ同様な記載がある、とのことである。

また、『太平広記』引『成都記』によると李氷は牛に変化して龍神と戦ったが龍も牛に変化し狙撃しようとする兵たちを惑わせたので、李氷は白い帯を目印につけて、兵たちはそれがない牛を狙って矢を放ち牛神を殺すことができたという<ref>[https://eastasian.livedoor.blog/archives/1946167.html 牛(5) 鎮水神牛]、神話伝説その他、eastasian(最終閲覧日:22-10-10)</ref>。

== 私的考察 ==
一つには、揚子江流域には「川の神を鎮めるためには犀を生贄に捧げなければならない。」という思想があったと思われる。古代においては揚子江流域に犀が生息しており、河姆渡文化の遺跡からは犀の骨が出土している。

もう一つ、揚子江流域には、牛を神聖視する思想があり、[[炎帝神農|炎帝]]や[[蚩尤]]のように牛をトーテムに持つ神々がいる。揚子江の治水は本来彼らの役目とされていたのではないだろうか。李氷の姿は彼らを投影していると考える。そのような点では李氷は[[炎帝型神]]といえる。

揚子江の神は龍として現れるが、これも牛に変身して戦う。この場合、破れた龍牛神は、[[蚩尤]]を投影していると思われる。とすれば、李氷は[[黄帝型神]]ともいえる。

治水神話としては、かなり形が崩れており、揚子江流域に牛神信仰が強かったこともあって、[[炎黄闘争]]を下敷きにしつつも、牛神(炎帝的神である李氷)が牛神([[蚩尤]])を倒す、というやや矛盾を含んだ話へと変化している。黄河の側でも龍蛇神と思われる禹が、同じ水神である[[無支祁]]を倒す、という伝承がある。このように古代中国で、[[炎黄闘争]]の神話を元にして、「'''水神が水神を倒して、治水を完遂する'''」という神話が揚子江・黄河の双方の流域で発生した後、各地に伝播していった可能性があると考える。日本にも水神である[[須佐之男命]]が、水神である[[八俣遠呂智]]を倒す神話がある。倒される[[八俣遠呂智]]は[[無支祁]]的な神で黄河側の神話の流れを組むと考えるが、須佐之男命が牛神になぞらえられる傾向は、揚子江側の神話からの流れと考えられ、揚子江・黄河双方の神話の影響を受けている折衷的な神話が[[八俣遠呂智]]退治と考えると非常に興味深く感じる。これは意図的なものなのだろうか。

日本には、犀の名がつく「犀川」という川が存在し、「犀竜」という龍蛇形の女神も存在する。これも興味深いことである。

== 参考文献 ==
* [https://eastasian.livedoor.blog/archives/1946167.html 牛(5) 鎮水神牛]、神話伝説その他、eastasian(最終閲覧日:22-10-10)

== 関連項目 ==
* [[禹]]
* [[須佐之男命]]
* [[河姆渡文化]]

== 参照 ==

{{DEFAULTSORT:りひょう}}
[[Category:中国神話]]
[[Category:炎帝型神]]
[[Category:治水]]
[[Category:牛]]

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