一方、中国神話では「不老不死の薬」は、月の女神[[嫦娥]]と月の桂の木(おそらく[[蚩尤]])から得られる、とされている。すなわち、常世神とは嫦娥を移し替えたものであり、「橘の木」は「月の桂の木」を移したものであって、神話の場所も月から「常世の国」に置き換えただけのものといえなくはないだろうか。月は東の海から昇るものであるため、海の向こうの「常世の国」とは「月世界」の別の姿と考えられたのかもしれないと思う。
一般的な[[浦島太郎|浦島子]]の伝承では、[[浦島太郎|浦島子]]は竜宮の乙姫の夫と考えられる。とすると、「常世の国」とは「竜宮」のことであり、「常世神」とは「乙姫」のことといえるのではないだろうか。とすると、竜宮も「月」の別の形、ということになる。この場合、乙姫が[[嫦娥]]であり、竜宮の王が[[蚩尤]]ということになるのではないだろうか。ギリシア神話と比較すれば、乙姫がアリアドネー、竜宮の王がミーノース王あるいはミーノータウロスといえる。[[浦島太郎|浦島子]]は英雄的な存在とはいえないが、テーセウスといえるだろう。
[[浦島太郎|浦島子]]は常世の国から人間世界に戻ってきた者である。もしかしたら[[大生部多]]は、自分のことを「常世の国」から戻ってきた者で、乙姫を祀って、竜宮から富と長寿を得よう、と解いたのかもしれない、と思う。だから、この新興宗教の祭祀者は男性だが、常世神はその妻的な女神とされたのではないか、と考えるのである。常世神の名は明らかでないが、現代まで残されている女神の中で、中部日本で信仰されている女神としては