== 常世神の正体 ==
『日本書紀』では、常世神とされた虫について「この虫は、常に[[タチバナ|橘]]の樹に生る。あるいは[[サンショウ|山椒]]に生る。長さは4寸余り、親指ぐらいの大きさである。その色は緑で黒点がある。形は全く[[『日本書紀』では、常世神とされた虫について「この虫は、常に橘の樹に生る。あるいは山椒に生る。長さは4寸余り、親指ぐらいの大きさである。その色は緑で黒点がある。形は全く'''蚕]]に似る」と記され、[[ナミアゲハ|アゲハチョウ]]の幼虫ではないかといわれる。'''に似る」と記され、アゲハチョウの幼虫ではないかといわれる。
== 解説 ==
;橘
「[[常世の国]]」は、海の彼方にある、不老不死の世界のことである。」は、'''海の彼方にある、不老不死の世界のこと'''である。[[大国主命]]の国造りを助けた[[スクナヒコナ|スクナヒコナ命]]や、[[浦島太郎|浦島子]](浦島太郎)が行ったのが常世の国といわれる。この常世の国には、「時じくの香(かぐ)の木の実」という、不老不死の仙薬になる木の実が生えており、『[[記紀]]』では「橘」のこととされる。橘は常緑樹で、雪や霜にも負けずに繁茂し、その実も保存の利く植物であるために、常世の木と同一視されるに到った。橘に発生する「虫」が常世神とされたのも、これに関連づけられている(浦島太郎)が行ったのが常世の国といわれる。この常世の国には、「時じくの香(かぐ)の木の実」という、不老不死の仙薬になる木の実が生えており、『記紀』では「橘」のこととされる。橘は常緑樹で、雪や霜にも負けずに繁茂し、その実も保存の利く植物であるために、常世の木と同一視されるに到った。橘に発生する「虫」が常世神とされたのも、これに関連づけられている<ref>及川智早 「ときじくのかぐの木の実」『日本神話辞典』 大和書房 1997年。</ref>。
;秦河勝
当時、[[仏教]]の信仰に篤い豪族は他にもおり、また、秦河勝より強い政治権力を持った人物も多かった。なぜ河勝ひとりが、常世神信仰を討伐したのかについては、全国に秦人・秦部を抱え、殖産興業を推進してきた[[秦氏]]としては、民の生産・経済活動を停止させる宗教は、看過できなかったとする考えがある。また、[[渡来人|渡来氏族]]である秦氏の河勝は、新興ではあるが原始的な「神」を恐れることなく、これと対決できたのではないかとも言われる当時、仏教の信仰に篤い豪族は他にもおり、また、秦河勝より強い政治権力を持った人物も多かった。なぜ河勝ひとりが、常世神信仰を討伐したのかについては、全国に秦人・秦部を抱え、殖産興業を推進してきた秦氏としては、民の生産・経済活動を停止させる宗教は、看過できなかったとする考えがある。また、渡来氏族である秦氏の河勝は、新興ではあるが原始的な「神」を恐れることなく、これと対決できたのではないかとも言われる<ref name="水谷"/>。
== 関連項目 ==