'''天稚彦草子'''は、御伽草子に収録されている物語。
<s>日本版の七夕物語ともいえる内容で、彦星に相当する男性が[[アメノワカヒコ|天稚彦]]、[[織女|織姫]]に相当する女性は長者の末娘となっている。に相当する女性は長者の末娘となっている</s><ref>天稚彦草子は日本版の「美女と野獣」であると思うので、管理人はこの説は取らない。星が「男性の神」を指す、という概念は興味深くはある。</ref>。
==あらすじ==
中間部分は、女主人公が主人公の霊力で、次々と変身を繰り返していく様が現される。前半部分とは逆に「男性こそが生と死を司る神である」となって、男女の神の地位が逆転していることが分かる。丹生都比売神社の宮滝には神前に捧げられたキュウリには医薬神としての力が宿る、とされており、天稚彦は長者の娘([[下光比売命]])と結婚することで医薬神としての能力を手に入れた、といえようか。須佐之男のように、妻を変身させる能力を手に入れたのであり、天稚彦は須佐之男な神、といえる。また、妻を変身させることで、人食いの父親から守る点は、勝利者である「[[黄帝型神]]」といえ、記紀神話では殺される「炎帝型神」であった天若日子が[[黄帝型神]]に変換されているし、変換された天稚彦の物語は、どちらかというと「'''[[阿遅鉏高日子根神]]の物語'''」というべきなのではないだろうか。
後半部分は、「難題嫁」と言うべき展開になり、女主人公は舅から様々な難題を吹きかけられるが、夫の助けを得て問題を解決していく。これは姑・舅に難題を吹きかけられる「難題婿」が逆転した形である。これらは[[啓思想]]1型の変換といえる。古代の母系制においては女性の地位の方が男性よりも高かったので、同じ七夕説話でいえば、1型の変換といえる。古代の母系制においては女性の地位の方が男性よりも高かったので、父系の文化へ変更されるに際し、変更されたものかと思う。 同じ七夕説話でいえば、女性の方が身分が高い[[牛郎織女]]の方が起源的に古いといえよう。[[牛郎織女]]には「[[動物番]]」の起源としての性質もあるため、西欧への伝播は
* [[牛郎織女]] → [[動物番]]
* [[牛郎織女]] (主に[[啓思想]]1型の変換)→ [[プシューケー|クピードーとプシューケー]](女神が「死と再生の神」であるという性質はやや残る。)
と主に2系統に分かれるように思う。[[牛郎織女]]そのものには、更に古く明確で端的な「'''天仙と人間の男との婚姻譚(とそれに伴う豊穣)'''」という神話があったことが推察される。」という神話があったことが推察される。おそらくそれは[[嫘祖]](あるいは九玄天女)と[[黄帝]]との婚姻譚であろう。ただし、[[プシューケー|クピードーとプシューケー]]型の神話には、女性が生贄にされることを彷彿とさせる内容を伴うため、おそらく男女を入れ替えた物語が作り替えされた時に、[[黄帝型男性神]]に生贄を求める[[炎帝型男性神]]の要素が付加されたと思われる。[[美女と野獣]]や天稚彦草子のように、男主人公が「獣」の姿で現されるのは、[[炎帝型男性神]]に変換された結果でもあるように思う。
==関連項目==
== 私的注釈 ==
<references group="私注"/>
* 医薬神であるのは「長者の娘」の方である。夫の「天稚彦」はその能力を妻から授かっている。
== 参照 ==
[[Category:クピードーとプシューケー]]
[[Category:禁忌]]
[[Category:人身御供肯定譚医薬神]]
[[Category:七夕説話]]
[[Category:難題嫁]]
[[Category:黄帝型神]]