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グリム兄弟は、この物語を『Fingerhütchen』の題名で、クローカーのアイルランド妖精物語集のドイツ訳本に収載している<ref>藤川芳朗訳「ジギタリスと呼ばれた男」</ref><ref name=bolte-polivka>Bolte, Polívka, 1918, Johannes Bolte , Jiří Polívka , chapter182. Die Geschenke des kleinen Volkes , Anmerkungen zu den Kinder- und Hausmärchen der Brüder Grimm , 3 , Dieterich , 1918 , 2017 , https://books.google.com/books?id=ZCW71SSgfmgC&pg=PA327 , pages327 (324–330)</ref><ref name=grimm-fingerhuetchen/><ref>藤川 (訳), 2001</ref> 。そして『グリム童話集』の第182「[[こびとのおつかいもの]]」の解説で、このアイルランド民話を含め、ヨーロッパ各地の類話を挙げている<ref>Grimm, 1884, loc='''2''': 460</ref>。一例として、フランスのブルターニュ地方の『Les korils de Plauden』(エミール・スーヴェストル(Émile Souvestre)話集に所収)が挙げられる<ref>Grimm, 1884, '''2''': 460</ref><ref name=bolte-polivka/>。題中のコリル(koril)は妖精の一種で、荒野(湿原まじりも含む)に住むコリガン (ブルターニュ)(korrigan)の仲間と説明されているが、作中には多種のコリガンが登場している<ref name=souvestre>Émile Souvestre , Les korils de Plauden , Le foyer breton: contes et récits populaires , 2 , Paris , Michel Lévy frères , 1853 , https://books.google.com/books?id=rIgAAAAAMAAJ&pg=PA113 , pages113–135; Anon. tr. (1860) "[https://books.google.com/books?id=sBICAAAAQAAJ&pg=PA31 The Korils of Plauden]", ''Breton legends'', London: Burns and Lambert. pp. 31–46.</ref><ref>原著(フランス語)ではkorilは"lande"に棲むとあるが、この語は仏日事典では"荒野、荒れ地"としか掲載されない例があるが、"lande tourbeuse"という場合は moor のように湿原っぽい地形をさし、文字通り泥炭採取できるような場所になる。英訳では「里山」のような意の"commons"(コモンズ)となっている</ref><ref name=dico-lande>『Le Dico 現代フランス語辞典』、白水社、1993年。"lande", p. 869.</ref><ref name=souvestre/>。
他にも類話は{{仮リンク|ヨハンネス・ボルテ|en|Johannes Bolte}}と{{仮リンク|ゲオルク・ポリフカ|en|Jiří Polívka}}によるグリム童話注釈書に綿々と挙げられている他にも類話はヨハンネス・ボルテ(Johannes Bolte)とゲオルク・ポリフカ(Jiří Polívka)によるグリム童話注釈書に綿々と挙げられている<ref name=bolte-polivka/>。
「ノックグラフトンの伝説」は[[アールネ=トンプソン|AT]] 503の話型「小人の贈り物」タイプ(上述のグリム童話第182を典型話とする)に分類されている「ノックグラフトンの伝説」はATU503の話型「こびとたちの贈り物」タイプ(上述のグリム童話第182を典型話とする)に分類されている<ref name=dorson/><ref name=uther>Hans-Jörg Uther , Handbuch zu den "Kinder- und Hausmärchen" der Brüder Grimm: Entstehung – Wirkung – Interpretation , 2 , Walter de Gruyter , 2013 , https://books.google.com/books?id=U9jmBQAAQBAJ&pg=PA356 , page356 , isbn:978-3-110-31763-3</ref>。
=== アジアの類話 ===
{{More|こぶとりじいさん}} 明治初期の頃、日本に赴任していた裁判官{{仮リンク|チャールズ・ウィクリフ・グッドウィン|en|Charles 明治初期の頃、日本に赴任していた裁判官チャールズ・ウィクリフ・グッドウィン(Charles Wycliffe Goodwin}}が、「ノックグラフトンの伝説」と日本の昔話「Goodwin)が、「ノックグラフトンの伝説」と日本の昔話「[[瘤取りこぶとりじいさん]]」との相似に着目し、1875年のアジアティック・ソサイエティの会合でこれを発表した{{efn2|グッドウィンの発表があった1875年の議事録が刊行されたのは10年後の1885年だが、1878年にはグッドウィンによる考察とする[[ジョルジュ・ブスケ]]の論文が公刊されている。}}<ref>グッドウィンの発表があった1875年の議事録が刊行されたのは10年後の1885年だが、1878年にはグッドウィンによる考察とするジョルジュ・ブスケの論文が公刊されている。</ref><ref name=goodwin/><ref name=bousquet>Goodwin (私書簡)、ブスケが引用。 Georges Hilaire Bousquet , Le Japon littéraire , Revue des Deux Mondes (1829-1971), Troisième période , 29 , 4 , 15 October 1878 , https://books.google.com/books?id=liW3fsNS0RcC&pg=PA772 , pages:747–780 , jstor:44752662.</ref>。アイルランドの遺跡や地誌などの研究家である{{仮リンク|トマス・J・ウェストロップ|en|Thomas 。アイルランドの遺跡や地誌などの研究家であるトマス・J・ウェストロップ(Thomas J. Westropp}}も「瘤取り」との類似を(初名乗りと思って)指摘したがWestropp)も「瘤取り」との類似を(初名乗りと思って)指摘したが<ref name=westropp/>、実際にはかなり以前から指摘者がいたことになる。
[[ジョセフ・ジェイコブス]]も「ノックグラフトンの伝説」を1894年のケルト話集続編に収めており、巻末注で「瘤取り」との類似を指摘している。ジェイコブスはまた(1891年の会合で)、この東西の民話の近似性を説話の世界的分布の模範例としてとりあげ、アイルランド語で語り継がれた民話の収集の必要性を訴えている{{sfn|Jacobs|1894|p=231}}<ref name=dorson/>。
== 出典 ==
=== 脚注 ===
<ref name=bousquet>Goodwin (私書簡)、ブスケが引用。 {{citation|last=Bousquet |first=George[s] |author-link=:en:Georges Hilaire Bousquet |title=Le Japon littéraire |journal=Revue des Deux Mondes (1829-1971), Troisième période |volume=29 |number=4 |date=15 October 1878 |url=https://books.google.com/books?id=liW3fsNS0RcC&pg=PA772 |pages=<!--747–780--> |jstor=44752662}}.</ref>
 
<ref name=harrington>{{cite book|ref=harv|last=Harrington |first=John P. |author-link=<!--John P. Harrington (literary scholar)--> |title=The Irish Beckett |volume=1 |publisher=Syracuse University Press |year=1991 |url=https://books.google.com/books?id=t8WNmVLa32sC&pg=PA118 |pages=118–119 |isbn=0815625286<!--, 9780815625285-->}}</ref>
 
<ref name=uther>{{cite book|ref=harv|last=Uther |first=Hans-Jörg |authorlink=:en:Hans-Jörg Uther |title=Handbuch zu den "Kinder- und Hausmärchen" der Brüder Grimm: Entstehung – Wirkung – Interpretation |edition=2 |publisher=Walter de Gruyter |year=2013 |url=https://books.google.com/books?id=U9jmBQAAQBAJ&pg=PA356 |page=356 |isbn=978-3-110-31763-3 |lang=de}}</ref>
}}
; 参考文献

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