反芻動物の具える胃を「'''反芻胃'''(はんすうい)」といい、[[マメジカ]]のような原始的な種を除き、ウシを含むほとんどの反芻動物が4つの胃を具える。ただし実際には、胃液を分泌する本来の意味での胃は第4胃の「'''皺胃'''(しゅうい)・ギアラ」のみであり<ref name="kb_ウシ_Nipp">https://kotobank.jp/word/ウシ, ウシ, コトバンク, 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』, 2019-08-04</ref>、それより口腔に近い「前胃(ぜんい)」と総称される消化器系、第1胃「'''瘤胃'''(りゅうい)・ミノ」・第2胃「'''蜂巣胃'''(ほうそうい)・ハチノス」・第3胃「'''重弁胃'''(じゅうべんい)・センマイ」は食道が変化したものである。ここを共生微生物の住まう植物繊維発酵槽に変えることで、反芻は極めて効果的な消化吸収システムになった。ウシの場合、この前胃に、草の繊維(セルロースなど)を分解(化学分解)する細菌類(バクテリア)および繊毛虫類(インフゾリア)を始めとする微生物を大量に常在させ、繊維を吸収可能な状態に変えさせ、収穫するようにそれを吸収するという方法で草を"食べている"。前胃の微生物を総じて胃内常在微生物叢などというが、ウシはこれら微生物の殖えすぎた分も動物性蛋白質として消化・吸収し、栄養に変えている。
ウシの[[味蕾]]は25ウシの味蕾は25,000個で味蕾が5000個のヒトの5倍を有する。ウシは[[毒物]]で反芻胃の微生物が死なないように[[味覚]]で食べる草をより分けている000個で味蕾が5000個のヒトの5倍を有する。ウシは毒物で反芻胃の微生物が死なないように味覚で食べる草をより分けている<ref>齋藤忠夫「チーズの科学」p180、Blue Backs、2016年11月15日 {{ISBN2|:978-4-06-257993-3}}</ref>。
ウシの[[歯]]は、牡牛の場合は[[上顎骨|上顎]]に12本、[[下顎骨|下顎]]に20本で、上顎の[[切歯]](前歯)は無い。そのため、草を食べる時には長い舌で巻き取って口に運ぶ。ウシの歯は、牡牛の場合は上顎に12本、下顎に20本で、上顎の切歯(前歯)は無い。そのため、草を食べる時には長い舌で巻き取って口に運ぶ。
[[鼻]]には、個体ごとに異なる[[鼻紋]]があり、個体の識別に利用される。鼻には、個体ごとに異なる鼻紋があり、個体の識別に利用される。
== 家畜としてのウシ ==
=== 食用等 ===
[[家畜]]であるウシは、家畜であるウシは、'''畜牛'''(ちくぎゅう)といい、その身体を食用や工業用などと多岐にわたって利用される。[[食肉|肉]]を得ることを主目的として飼養される牛を(ちくぎゅう)といい、その身体を食用や工業用などと多岐にわたって利用される。肉を得ることを主目的として飼養される牛を'''肉牛'''(にくぎゅう)というが、肉牛ばかりが食用になるわけでもない。牛の肉を、日本語では'''[[牛肉]]'''(ぎゅうにく)という。仔牛肉以外は[[外来語]]で(ぎゅうにく)という。仔牛肉以外は外来語で'''ビーフ'''ともいう。家畜の[[内臓]]は、[[畜産副産物]]の一つという扱いになる。日本では「[[もつ]]」あるいは「ホルモン」と呼んで食用にする。世界には食用でなくとも、内臓を様々に利用する文化がある。ともいう。家畜の内臓は、畜産副産物の一つという扱いになる。日本では「もつ」あるいは「ホルモン」と呼んで食用にする。世界には食用でなくとも、内臓を様々に利用する文化がある。'''[[仔牛肉]]'''/'''子牛肉'''(こうしにく)は特に区別されていて、月齢によって「'''ヴィール'''」「'''カーフ'''」と呼び分ける。牛の脂肉を食用に精製した[[脂肪]]は」と呼び分ける。牛の脂肉を食用に精製した脂肪は'''牛脂'''(ぎゅうし)もしくは'''[[ヘット]]'''という。
牛の[[骨]]すなわち'''牛骨'''(ぎゅうこつ)は、加工食品の原料や料理の食材になるほか、[[肥料]]や[[膠]]にも利用できる。ただ、[[ヒンドゥー教]]では、牛の命の消費全般を[[タブー]]としているため、牛膠もまた、その宗教圏および信仰者においては[[絵画]]を始めとする物品の一切に用いるべきでないものとされている。牛の骨油である'''牛骨油'''(ぎゅうこつゆ)は、食用と工業用に回される。工業用牛骨油の主な用途は[[石鹸]]と[[蝋燭]]である。