が存在し、かつては「母系の女神」に許されていた一族の男性の生殺与奪を握る権利が、2のように「許されず罰を受けなければならない問題」に変化していく過渡期の物語なのではないか、と思う。母系の当然の思想が物語として語られるが、それに「罰を受けなければならない」というおまけがつくようになるのである。完全に男系の文化に移行すれば、神話そのものが「けしからぬもの」として消されてしまう。中国南部で文化が母系から父系へと変化するのは河姆渡文化から良渚文化にかけてなので、紀元前4000年前後か、それよりも少し古いくらいの物語の発生時期であろうか、と考える。中国本土にあった時から、物語は3つのパターンに分化していたため、いずれのパターンも各地に類話がある、ということになります。1のパターンはヴィナータとアルナ、2のパターンはオシリスとセト、3は饕餮と蚩尤、となると思う。
よって、「罰を受ける女神」というのは、特に古い時代のものは、「'''女神と男性の身内との関係(女神の側の害意)'''」が原因となっているが、それが「'''人々に産業を教えに下降してくる鳥仙女の伝承'''」と習合し、嫦娥のように罰を受けて地上から逃走する女神、「竹取物語」のかぐや姫のように罰を受けて地上に追放される女神、ハイヌウェレのように地上に下降してから罰を受ける女神、等へと枝分かれしていったものだと分かる。'''「罰を受けて下降する女神」には「河伯等への嫁入り(織女の人身御供)譚」が付け加えられることもある'''。。台湾の伝承より、「織女の人身御供譚」は、本来「罰を受ける女神譚」と直接関連するものではないことが分かる。
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|下降してから、天界へ戻った後罰を受ける(結婚生活が制限される)
|}
物語全体の流れとしては
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|1
|好色な河伯が、織女を犯しては殺す(人身御供)。
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|2
|河伯よりも上位の女神(母、姉など)から河伯は罰を受けて、去勢されたり、殺されたりする。女神は夫や部下の協力を得ている。
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|3
|(人間が父系の時代に入ると、男性の身内を害する女神の方が処罰の対象になる)
|-
|4
|女神は男性の身内を害した、として処罰される(「罰を受ける女神」の神話の創設)
|-
|5
|罰を受ける女神の神話が様々なバリエーションに展開して各地に伝播する
|}
という、歴史的変遷があったと思われる。そして、日本の'''「天照大神の岩戸隠れ」の神話は、ほぼこの物語の流れに一致'''するのである。