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1,369 バイト追加 、 2022年2月27日 (日) 18:26
2.昔、タンアウと称する二丈余りの男あり。山に入り鹿を見れば、陰茎を延ばして鹿を取り巻きて斃せり。しかるにある日、弟誤りてその陰茎を切りたれば、死亡せり。(ブヌン族タケトド部族バクダツ社、『蕃調』武崙族前篇族p.238)<ref>神々の物語 台湾原住民文学選5 神話・伝説・昔話集、紙村徹編・解説他、草風館、315p</ref>
</blockquote>
 
<blockquote>
'''首のない弟の話(抜粋)'''
 
3.兄と弟が狩りに出て、弟が先に狩猟小屋へ行って食事の用意をすることになった。兄が小屋へ着いてみると、弟は首がなくなって、胴体だけで食事をする化け物になっていた。兄は弟から逃げ出した。<ref>神々の物語 台湾原住民文学選5 神話・伝説・昔話集、紙村徹編・解説他、草風館、297-299p</ref>
</blockquote>
インド神話では、ヴィナータという女神が、卵を生むが、早くに殻を割ってしまい、生まれた息子のアルナは「'''上半身しかなかった'''」が、それを母親のせいだと恨んで母親を呪った。そのため母親は敵対するナーガの奴隷とならねばならなかった、というエピソードがある。現実的に「上半身しかない」人間は生きられないので、台湾の伝承と比較することで、「上半身しかない」とは「陰茎がない」ことの暗喩だということが分かる。アルナと台湾の河伯とでは、陰茎を失った理由が異なるので、理由の方がそれぞれの地で独自に作られたものであることが分かる。
 
また一方で、2のように「陰茎を失うこと」=「死」を意味するとすれば、「上半身がない」とは文字どおり人を半分に切って殺してしまうことや、首をはねて殺してしまうことも指しうる。首をはねてしまと、3のような物語になる。豚は大食いの動物なので、胴体だけになっても食べ続ける点に豚の性質が暗喩されているように感じる。ということで1~3の物語は
 
{| class="wikitable"
|1
|陰茎を失う話
|-
|2
|陰茎を失って死ぬ(下半身を失う)話
|-
|3
|首を失う話
|}
 
で、連続性と色々な展開があり、必ずしも母親と息子の物語ではないのだけれども、「母女神が罰を受ける物語」としては、母と息子の関係が動機という大きな役割を果たすのである。
=== 穀物の起源 ===

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