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ルーヴルのイルカ型パレットは目が波紋状となっている。目が波紋となっているということは波紋が起きる「水」とイメージが重なるが、それと同時に「満ち欠けする月」とも関連性があるのではないかと思われる。<br>
 
ルーヴルのイルカ型パレットは目が波紋状となっている。目が波紋となっているということは波紋が起きる「水」とイメージが重なるが、それと同時に「満ち欠けする月」とも関連性があるのではないかと思われる。<br>
 
ウィーンのパレットは魚の体に鳥やワニが描かれている。鳥は古代エジプトにおいても他の地域と同様、太陽や月の象徴とされる存在である。また、ワニは王国時代に入ると「ソベク」という神となって信仰の対象とされる。「月の象徴の上に太陽の象徴が乗る構図」というのは古代の地中海周辺地域からイランにかけて良くみられる構図であるので、鳥を背に乗せたワニとは、おそらく「太陽と月」の象徴であると思われる。また、人間の体でいうと、頭部の耳があると思われるあたりに、もう一つ小さい魚の絵が描かれていることも興味深いと感じる。
 
ウィーンのパレットは魚の体に鳥やワニが描かれている。鳥は古代エジプトにおいても他の地域と同様、太陽や月の象徴とされる存在である。また、ワニは王国時代に入ると「ソベク」という神となって信仰の対象とされる。「月の象徴の上に太陽の象徴が乗る構図」というのは古代の地中海周辺地域からイランにかけて良くみられる構図であるので、鳥を背に乗せたワニとは、おそらく「太陽と月」の象徴であると思われる。また、人間の体でいうと、頭部の耳があると思われるあたりに、もう一つ小さい魚の絵が描かれていることも興味深いと感じる。
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2014年4月18日 (金) 16:23時点における版

魚型パレット (イルカ型)

王朝誕生前のエジプトの遺跡から発掘される魚型パレットは、動物を型どって作られたパレットの一つで、よくみられるものである。魚型パレットの大部分は卵円形である。

パレットの大部分は片岩、砂岩、泥岩等でできている。

説明

バダリ文化(紀元前4400~4000年頃)[1]またはナカダI期(紀元前4400~3500年)から出土する最も古いパレットは、後の時代のものよりも装飾が乏しい。魚型パレットはナカダ文化の期間の一般的な副葬品であり、装飾が乏しいことは階級差が少ない社会であったためと考えられる。

卵円形の魚の多くは、後の時代に使用されることとなったヒエログリフに似ている。ガードナーのヒエログリフ・リストにおけるチカダイ またはイズミダイを示すK1、あるいは卵円型の魚を示すヒエログリフK5である。

魚型パレットの例

チカダイ(ノースカロライナ美術館)

ノースカロライナ美術館は、約12.7x8.26cmのチカダイ型パレット(砂岩)を所蔵している。それほど大きなものではないが、背びれ、尾びれ、前後の胸びれが描写されている。口も作られ、紐を通す穴が開けられている。

チカダイ型パレット(アダイマ墳墓S128)

アダイマの地図
フランス語版wikipedia:Adaïmaより

エジプトにあるアダイマ[2]の墳墓で発見されたチカダイ型パレットは約19cmである。単純で体長の延長上にあるが、先端を切ったような背びれはチカダイであり、おそらくナカダI期(紀元前4400-3500年 )のものであろう。尾びれの端は非常に単純化され、彫刻もされていない。前方と後方の胸びれにはそれぞれ3本の線が刻まれている。顔の部分には弧状の線が鰓裂として2本描かれている。黄色がかった目は象眼されている。[3]

ルーヴル美術館のイルカ型

ルーヴル美術館のイルカ型パレットはナカダI期(紀元前4400-3500年)あるいはII期(紀元前3500-3200年)のものである。それは単純に尾びれと背びれに後方に向かって溝が彫られている。パレットには(主に貝殻で作った)白い目が散りばめられている。比較的長いもののため、紐を通す穴は3つ開けられている。

美術史美術館(ウィーン)の魚型パレット

美術史美術館(ウィーン)の魚型パレットは、一般の魚型パレットよりも装飾的である。これはチカダイ型で、魚の中央に大きな円が目立つ。[4](画像: Fish-shaped decorated palette)パレットに浅く彫られたその他の小動物は、魚、2羽の雛を連れたアヒル、ワニ、鳥である。

画像と私的解説

男性形の月の神について

アダイマの地図を見れば分かるように、ナカダ文化は上エジプトに発生した文化で、その分布域は後の時代に「男性形の月神」信仰が目立った地域と重複している。
ナカダ文化におけるパレットは副葬品として使用されていること、また時代が下ると「パレット」には王の事跡等が刻まれるようになり、これは何らかの権威と結びついた宗教的かつ神話的な要素を含む物品といえる。このパレットは化粧用品としても使用されたと考えられているが、古代エジプトにおける「化粧」とは現代で言う「アイライン」とか「アイシャドウ」というものである。要するにツタンカーメンのミイラなどにみられるように「目」を強調する化粧を重要視していたわけだが、これは日差しがきつく埃っぽい地域においては、目を保護する「薬用品」としての意味も持っており、単なる装飾の技法ではなかった。医療行為もいわゆる神に属する特殊な「宗教的技術」とみなせば「化粧」という行為も単なる虚栄の道具というだけでなく、医療として「神の領域」に属するものだったのである。
ルーヴルのイルカ型パレットは目が波紋状となっている。目が波紋となっているということは波紋が起きる「水」とイメージが重なるが、それと同時に「満ち欠けする月」とも関連性があるのではないかと思われる。
ウィーンのパレットは魚の体に鳥やワニが描かれている。鳥は古代エジプトにおいても他の地域と同様、太陽や月の象徴とされる存在である。また、ワニは王国時代に入ると「ソベク」という神となって信仰の対象とされる。「月の象徴の上に太陽の象徴が乗る構図」というのは古代の地中海周辺地域からイランにかけて良くみられる構図であるので、鳥を背に乗せたワニとは、おそらく「太陽と月」の象徴であると思われる。また、人間の体でいうと、頭部の耳があると思われるあたりに、もう一つ小さい魚の絵が描かれていることも興味深いと感じる。

関連項目

参照

  1. バダリ文化の中心地であるバダリ(Badari)やアシュート(Asyut)はヘルモポリスとアクミンのほぼ中間に位置する。ナカダ文化は先行するバダリ文化を受け継いだものである。
  2. アダイマの遺跡はテーベの近くに存在する。
  3. Naqada I fish cosmetic palette p. 49, The Oxford History of Ancient Egypt.
  4. 原文は中央の円の中で化粧品が混ぜ合わされていた、と受け取れるニュアンスで書かれているが、このような「パレット」が後に「ナルメル王のパレット」のように記念碑や、神話的な事物を描かれるものに発展することを考えると、単なる化粧用の道具ではなく、祭祀的な要素を含む副葬品として使われたのではないかと考えるため、訳文からは「化粧用具」としてのニュアンスをやや意図的に外してある。

外部リンク

Wikipedia

Wikipedia以外

原文が挙げている参照リンク

原文