大塔物語について
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大塔合戦はまたの名を「大文字一揆」と言います。これは室町時代に幕府から任命された守護を不服とした信濃国人達が力に訴えて守護を追い出した、と言われる事件です。室町時代はそれに引き続く戦国時代の前の時代で、時代が下るほど「国人」と呼ばれる身分の低い人々が自治を求めて一揆を起こすようになり、また幕府に任命された守護大名の力が衰えて、実力主義に立脚した出自が様々な大名が各地に登場して、群雄割拠の時代へと移っていく時代です。
信濃国の豪族であった村上氏と現在「西山地区」と呼ばれる長野市西部の山間地域の小土豪達が協力して起こした「大文字一揆」はその後室町時代に活発になる「国人一揆」の先駆けとなる事件として、教科書的には扱われています。
「大塔物語」はその事件のあらましを述べた物語です。内容については必ずしも史実に忠実とはいえないようですが、室町時代の地方豪族の教養の高さと、政治的意識の高さ、戦というものに対する中世の美意識感等がかいま見える作品です。