24年10月25日

 本日は外作業のみ。私は土の清掃り、姉は土の清掃、石片付けでした。

 というわけで、いきがかり上、サートゥルヌスを調べる。ギリシャのクロノスと「同じ神」と言われても、名前が全然違うし、クロノスとその前身のクマルビは倒されてしまうけれども、サートゥルヌスは負けても死なずローマにやってくる。だから、クロノスとは、近い起源で違う神のはずだと思うけれども、どんな神なのかがはっきりしない。エジプトのセトと関連してると思うけれども、表向きの性質が違いすぎる。

 で、元はエトルリアの神ということで調べてみる。エトルリアの神話によると、世界はいくつかの区域に分かれているのだそうだ。で、主神扱いの神が2ついる。一つはティンといって、ゼウスとかユーピテルと同系統の雷神である。エトルリアには雷神が9柱もいて、それぞれに善神から悪神まで役割があるらしい。で、サートゥルヌスに相当する神はサトレ(Satre (Etruscan god)、Liver of Piacenza)という、そして性質が似通っている神にヴォルトゥムナ(Voltumna)という神がいる。こちらもローマ神話に取り入れられてヴェルトゥムヌス(Vertumnus)というのがいるのだけれども、これも果樹の神であり、植物の神であり、悪知恵で人を騙す神である。エトルリアでは「悪意のある怪物、性別不明の冥界の植物神、強力な戦争の神」とされた。またサトレは雷神の一種で「暗く陰気な北西の地域に住み、「地中深くの住処から稲妻を放つ恐ろしく危険な神」である」と思われていたとのこと。で「予言者は雷が見られた方向から結論を導きました。東の雷は縁起が良く、西の雷は縁起が悪い (プリニウス 2.143f.)。スティーブンス(2009)は、雷の主神であるティンは真北に住んでいたと推測しています。北東の雷は最も幸運で、北西の雷は最も不運であり、一方、方位の南半分の雷はそれほど強い前兆ではないからです(セルウィウス・アド・アエン2.693)。(Liver of Piacenza)」とのことなので、サトレというのは冥界に住む不吉な雷神で、ヴェルトゥムヌス(Vertumnus)とかなり近い性質の神であったと思われる。

 というか、ヴェルトゥムヌス(Vertumnus)といったら「V+T+M」の子音だし、それは北欧神話のオーディーンのことでは@@、と思う。北欧神話で「S+T」の神っていったら、火の巨人スルトになってしまわけで、これはこれで恐ろしい神だけれども、サートゥルヌスは一応人を助けてくれる神なので、エトルリアでは、不吉だけれども、ヴェルトゥムヌス(Vertumnus)に近い性質の神なのだと思う。で、エトルリアではティンとヴェルトゥムヌスが共に有力な神で、主神扱いとのことだけども、これも北欧神話でトールとオーディンが並び立つのと同じ構図である。ということは、ローマでは北欧式の「二主神制」が採用されており、それがユーピテル(天の雷)とサートゥルヌス(地の雷)なのだと思う。だから、サートゥルヌスはクマルビのように排除されず、ユーピテルと並び立っているんだな、と思う。

 で、語源的な起源をあれこれ考えた結果、ヴェルトゥムヌス(Vertumnus)という言葉はカフカスのワステュルジに通じるし、サンスクリット語のヴァジュラ(インドラの雷、金剛杵)ではないか、と思う。じゃあ、サートゥルヌスは? と思うけれども、こちらはカフカスのサタナとか、メソポタミアのスドゥとか、インドのシータとか、女性にも同じ名前が多い神であって。サンスクリット語でSutarna「善き太陽」というし(ミタンニ)、太陽神はスーリヤという。スーリヤは『アグニ(火の神)と同じ賛歌の中に登場します。スーリヤは昼間に崇拝され、アグニは夜間の役割のために崇拝されています。カピラ・ヴァツヤヤンによれば、この考えは進化し、スーリヤは宇宙の第一原理であり種子であるアグニであると述べられています。(スーリヤ)』とのことである。だから、サートゥルヌスの語源は、スーリヤと同じ語源で、かつ

『女神にも同じような名前がある神』

であると思う。とすると、それは祝融(Zhùróng)ではないかと思う。祝融は中国の火の神だけれども、天から火を降らせる神である。そして、水神である共工と戦う。デーヴァであるスーリヤは、アスラである水神のヴァルナと戦う。エジプト神話のセトは冥界の水神アペプと戦う。北欧神話のオーディンはヨルムンガンドと戦う。日本のサートゥルヌスこと、須佐之男は水神である八岐大蛇と戦う。

 ・・・・サートゥルヌスと祝融って須佐之男のことだったんだ?? と思う。では娘格とされる祝融夫人は? それはサタナであり、狭姫なんじゃん? と思う。サタナはカフカスの「叡智の女神」であり、エジプトには境界を守る軍神としてセシャト(あるいはソプデト)という女神がいる。で、中間地点のギリシャには軍神にして叡智の女神であるアテーナーがいる。アテーナーは同じ「叡智の女神」であるメーティスの娘とされ、メーティスの起源はヒッタイトの叡智の女神マリヤあるいはエジプトの叡智の女神マアトであると考える。だから、ローマのサートゥルヌスは、回り回ってギリシャのアテーナーと同起源の神と思われるわけですが、性質はかなり違った神になってしまっているわけです。でも印欧語族全体でいったら「太陽神、雷神、火神」のくくりに彼らは入るのです。(余談ですが、M系の女神の最大の元祖は女か娘娘だと思うわけですが。またエトルリアの祝融夫人はカタ(Catha (mythology))だと思う。

 というわけで、娘の「祝融夫人(サタナ)を食い物にし、妹を食い物にする祝融(サートゥルヌス)」とは誰のことなのか? と聞かれる気がするわけで。・・・誰がサタナだって?? というか、母親が生きていたら、何と言っただろうか、と思いました。