今日は群馬行き。榛名神社、伊香保神社、五徳山 水澤観世音(水澤寺)、三宮神社を参拝して来ました。要は火山である「榛名山」信仰を巡ってきたわけです。三宮神社は「女体ハ里ヘ下セ給テ三宮渋河保ニ立セ御在ス、本地ハ十一面也」とあって、伊香保神社の里宮にあたると考えられている。「伊香保」とは噴火の激しい榛名山を「厳つ峰(いかつほ)」と称したことによるとされる。とWikipediaにあるわけですが、現在の伊香保神社は「温泉の神サマ」みたいになっているので「奥宮」としてはむしろ、五徳山 水澤観世音(水澤寺)の方が相応しいと思われます。水澤寺の本尊は「国司高野辺家成公の三女・伊香保姫のご持仏であったと伝わる」とあり、「伊香保姫」とは榛名山の女神そのものであると考えられるからです。
どうも、昔の人は「火山の爆発」と「雷の発生」を同一視していて、「怒れる穂」とは、「雷の女神」のことであるらしいし、「火山の女神」でもある。雷が地面の下に落ちたら「死んで黄泉の国に落ちた」ことになるので、里宮は黄泉の国、と言われる気がするわけで@@。それで、「女体ハ里ヘ下セ給テ」なん? それは、女神を蹴落とす水無神社の祭りと「同じ発想」では。というと、下照姫、高姫等と言われる女神は「雷神」であって、近いのは中国の「雷母」であって、下照姫の「名前当て」の性質は「雷母」と共通する性質、ということであっという間に話は進む。
だけど、西欧に「雷神」で「女神」っていましたっけ? アヂスキタカヒコネみたいに「AD」系の子音を持つ女神って? と思ったら、アディティー、アテーナー、アスタルテ、イシスと呼ばれたアセト、ヘケト、ヘカテー、イシュタル、アリアドネー、弟をバラバラにしたメーディア、メーティス、メドゥーサ、スドゥ、サティ、サテネと言われる気がするわけで@@。雷神として性質は弱くなって、「軍神」か「知恵の女神」か「死んで豊穣をもたらす神」の方向に変化している女神群である。それで「名前当て」かー。と思う。それで、雷が海に落ちる、というか「海底火山」になると、アフロディーテー、ナルト叙事詩のゼラセとなるわけだ。でも、アディティーが「太陽神群の母」である点、アフロディーテーの名前の子音はヒッタイトの太陽女神ヘバトと交錯しているので、全体からみれば一部に「太陽女神」の性質は残されている、といえる。
諏訪信仰でいえば、上社・下照姫が太陽女神、娘の会津姫が雷女神で良いと思います。下社では八坂刀売が太陽女神かな、と。で、雷神のジジ・ババを焼き殺して次の年の種にする、と。上社では、御頭祭で「幼い男の子を生贄にする」名残の儀式をする(と江戸時代の人は書いた)そうで。それは「神の一部」を生贄にする代わりに、豊穣を得る、ということで、要は収穫物の一部を神に捧げる新嘗祭の起源のような祭祀である。下社お船祭りは「神そのものを生贄にする」。そして「殺された幼い男の子」は「逆向きの祭祀」で生きかえらせて神にする。なんで、「幼い男の子」を神にするのですかね? だって、周囲の大人(シャーマン)が操って神の名で好き勝手なことができるから、ということで。いつ生きかえらせるのですか? 越年祭で。ということで、「神を再生させる越年祭」というのは、すべからく、かなりまずい祭祀なのでは。「殺された幼い男の子」を生きかえらせることは、本来の神々を殺してしまうことと一体となった祭祀である。すなわち、それが摩多羅系の祭祀なんじゃん? 榛名神社ではこれを、天狗の名前でやってるよねえ? と思う。祖霊社を参ったら、建物の意匠で、上の方に波と菊(黄泉の国の象徴)があって、その下に空を飛ぶ鶴の意匠があった。「天地が逆になってる」わけです。要は「しっかりした神々がいると、邪魔だから殺してしまってシャーマンが好き勝手に代行する。」という趣旨のどっかの下社と、「神に対してその一部を感謝の気持ちを込めてお返しする」という古来よりの当たり前のことをやってるどっかの上社があるわけだ。榛名とは「春の」という意味でもあると思う。「怒れる穂」は、本来は春をもたらす春雷の女神でもあったのだと思う。(榛名神社は諏訪大社ともちょこちょこと縁のある神社なわけで。どうせ下社の方では? と思うわけですが。)
というわけで、群馬の帰りに、一般道を戻ってきて、関東方面の帰り道でおなじみの東御市「ヤオフク」というスーパーに寄る。そうしたらBGMに「浪漫飛行」がかかっていて、「うーむ」と思う。米米の曲を聴くと、やはり今でも微妙に複雑な思いではあるわけですが。
ということで、雷神女神に対する理解がよくよく深まった上州行きであって。「なんででしょう?」と思ったら、「水澤寺で、大きな音で鐘を突きすぎたんじゃないの? あそこは雷神女神が雷を鳴らす(鐘を突く)寺でしょ。」と言われる気がするわけで。神仏分離でお寺になっているけれども、水澤寺が事実上の「伊香保神社奥宮」であるのだと思う。鐘を叩いたりとか、やることがたくさんあって、エンターテイメント性の高い楽しいお寺だと思います。普通にレジャーにもお勧めかも。