「えー、だって国土調査で「境界標」って言うじゃん。境界が確認できなかったら設置しません」って言うじゃん。なんで、なんで、なんでーーー、と言われる気がします@@。
国土調査というのは「国土の実態を調査する(国土調査法1条)」ものです。「国土の実態」って、国土がどう使われているのか、すなわち「現況(その時点での所有権界)」を調べて、それを元にして地図を作って、法務局に保存しよう、変更があったら更生の登記とかしよう、ってそういうものです。
だから、国土調査の際の「くい」は、所有者に立ち合ってもらって、「所有権界」と「筆界の予定点」ともいえるものを合意してもらって、所有権界と筆界ができるだけ一致する地図を作ろう、とそういうためのくいです。だから、「確認できなかったら設置しない境界標」っていうのは、民法の「境界標」なわけです。それを「筆界の標識等も兼ねる」そうすれば、所有権界と筆界は限りなく一致する、とそういうことです。そうすると、所有権界としても精度の高い地図ができるから、土地取引に地籍簿が使われるわけです。だから、それは正確には「境界標兼標識等」と言わねばいけないと思う。国土調査では、所有権界が合意できなものは、筆界未定地にするってルールがちゃんとあるわけです。だから、筆界点を示す「標識等」も必ずしも設置する必要はない。「筆界未定」でいいわけです。
でも、今、地籍簿の上に存在する筆界を修正する必要があるのに、「未定」に修正することはできないよね? となる。筆界確定を求めるか、裁判を起こさないといけません。筆界確定と裁判では、筆界は確定してくれるけど、所有権界は確定できません。
だから、地図作製の趣旨からいえば、筆界に合わせて所有権界を定める、とすることはしちゃいけないんですよ。財産の処分の自由を犯すことになるので。所有権界に合わせて、筆界を修正、訂正、変更することは認められます。所有権界は、各所有者が自由に決めて良いことだからです。地籍簿の筆界を確認したら、それがいつかの時点での「所有権界」であるとはすることができるかもしれません。でも、その後変更された所有権界の効力を妨げることはあってはならないのです。所有権界は変更することが自由なんだから、修正や変更のための登記の測量で、新たに「筆界の予定点」と定められた点が、元の地籍簿の筆界点と異なるのは当たり前のことだからです。でないと土地の取引とかも自由にできなくなってしまいます。