ということで

 この案件を「姉さんのところにしか返せない理由」は、姉さんのところであれば、AR、MRの確認のためのエコーの再検が、いつでもできる状態にある、からです。しかも、AR、MRの可能性がある、というだけでも、その可能性を考慮した経過観察が姉さんならできる。軽度の左心不全の所見(労作時の軽度の動悸、息切れなど)も、姉さんなら確認してる。

 若旦那のところでは、TRしか指摘されていなかったら、若旦那は「TRしかないもの」として経過観察せざるをえないし、そこをはっきりさせたかったら、日赤のエコーのドップラーの結果を動画で公開させた上に、他の循環器の専門家に確認して貰わなきゃ、若旦那も動きようがない、とか、そういう面倒くさいことになるわけですよ。若旦那のところで、エコーの検査ができないからです。

 ・・・最初っから若旦那のところに戻す予定で、ARとMRをわざと「見落とした」りしてちゃダメじゃん、だから私の助けとフォローが姉さんに必要なんじゃん? となるわけです。若旦那のところに戻したら、若旦那がとばっちりですよ?

だから

 こういう問題は、私からメールするなら

「AR、MRもあるって診察室で聞いたんですけど、どうなんですかー、姉さんの方でもエコーの検査の結果を基にして再確認して下さい」

くらいのことしか言えないですよ。「聞いてないよ、あんたは嘘つき-」とか言えないし。「じいさんが嘘をついているっていうなら証拠はどこにある?」って私が責められかねないからさあ? となる。

 証拠は厳密にいえば、「DropBox」とかそういうところにあるかもしれない、とかなるけどさあ。こういうものは素では使いにくくて、裁判とか起こすなら「書き起こす」けど、その手間が面倒でさあ? とかなりますのでねー;。私にできることにも、限界はございます。私も自分の身も守っていかねばなりませんのでねー;。

いろんな意味で

 コンサル業は続く-;。

 一応医療訴訟関連のホームページまで後学のために見たわけですが。医療過誤は20%くらいしか認められない、みたいに書いてあった。理由は、「過誤」の証明の困難さにあって、相手方の病院がカルテを全部開示するかどうか分からない、肝心なところだけ隠すかもしれない、開示されても中身を素人では評価できにくい、診察室でのやりとりの記録も乏しい、とか、そんな感じであるらしい。

 突発的な大事故かなんかで、患者が運悪く亡くなったりしたら、それは医療過誤であるかないかを証明するのは難しいことだと思う。というか、そんな「運」みたいなこと医者だって証明するのは難しいんじゃ?? と思う@@。とりあえず、標準的レベルでやるべきことをやってれば、「やるべきことをやったのに死んじゃった」って言うしかないじゃん、お医者サマだって、と思う。

 我が家のような「慢性病」の場合は、もっと証明は簡単であると思う。

1.患者がなにがしかの病気で病院に行きました。(病気はなんでも構わない。)

2-1.症状を訴えている病気の検査をしたら、確定診断の基準を満たす所見がみつかりました。(高血圧かもと言って病院に行ったら、血圧も高かった、というような場合) → 診断名をつけました

2-2.検査をしても確定診断の基準を満たす所見はありませんでした。でも、「怪しい」と思えるような所見は見つかりました。(高血圧を心配したけれども、血圧はそれほど高くなかった。でも、動脈硬化が進んでいる所見とか、高脂血症なんかはありました。) → こういう場合は、病院でたまたま確定につながる所見が見つからなかっただけかもしれないので、その時にもっと詳しい別の検査をするか、多少時間をおいて、もう一回検査をやり直す、ということが標準です。例えば、「できれば家での血圧を定期的に測って記録してきて下さい」とかさあ。「1年に1回の健康診断はちゃんと受けて、内容は見ておいて下さいねえ。特にめまいとか、疲労感が強くなることがあれば、その時に病院に行って、異常がないか調べて貰うことも大事です。」とかさあ? ともかく、患者を黙って帰すことは良く無くて、「今ははっきり病気といえるほどの状態ではないけれども、自覚症状が強くなることがあれば受診するように。」「心配があれば定期的な健康診断の内容にも注意するように。」というくらいは言わねばいけないと思う。高血圧に限らず、「どんな病気でも」です。

2-3,主訴以外のところで、病気が発見された・・・。高血圧はそれほどでもなかったけど、高脂血症の方が見つかった。・・・そうしたら、それは黙ってないで、治療しなきゃだめだよね? でなきゃ、検査をして医者は病状を把握できていたのに、故意に治療しなかった、「主訴じゃないから!」ということになれば、それは「医療過誤」かとー;。で、高脂血症が過ぎて?、ある日患者が心筋梗塞になったら、「医者がちゃんと高脂血症の治療をやんなかったために心筋梗塞になった可能性が高い」って言われちゃうかもねえ? と思う。

 大事なのは

(1) いつ医者がその病気を発見でき得る状態にいたのか。(血液検査で高脂血症を発見した時点、とかいうことになる。それ以前は、医者だって知らなかったんだから、発見しようがありません。)

(2) それに対して、どのように対応したのか。治療したのか、放置したのか、経過観察としたのなら観察中の検査は心配な病気の追跡ができるようなものだったのか、ということになります。レセプト的には「疑い」とかでも通るよね、月に1回は。特に一般的な尿検査、血液検査はスクリーニングに使われる基本的な検査だから、となります。慢性病の「経過観察」が途中で途切れていて、次に患者が病院に来たときに症状がかなり増悪していたら「誰のせい?」ってなるよね? 腎機能の低下を指摘しないウロロの医者のせい、みたいなー;。(←これは「経過観察」してる内に入るんじゃないの? 医者が指摘してないだけでー;。)

(3) そして、「経過観察」後、途中で再び、詳しい検査とか、医者の治療が必要とされるようになった時点で、「経過観察」していた医者が、それをちゃんと判断してやっているかどうか、です。腎機能の低下(「専門医に紹介すべし」と教科書的にされている)が分かってるのに、放置してるのは正しい対応ではないので、この場合は「医療過誤」の責任は、放置している医者にあります。

 で、最近の傾向と対策としては、「かかりつけ医」の問題があるわけで。「かかりつけ医」って定義では「かかりつけ医」は、患者さんご自身はもとよりそのご家族の健康管理全般にはじまり、病気の早期発見、初期治療(プライマリーケア)や慢性疾患の治療・経過観察などを主に行います。」とかあります。でも、私にもなんのことだか「さっぱり分かりません」(笑)。もちろん、建前としては、医者はあらゆる科を診れなきゃいけないことになってます。でも、研修医を2年やれば、専門科を選んで移って専門医の道をめざす、というのが長年の医療業界のスタイルであって、学会とかもかけもちもあるけど、基本的には自分の専門の学会を中心に入って勉強していくわけだし、一人の医者に「なんでもやれ」というのが、そもそも無理な話です。耳鼻科のお医者さんに「生体肝移植をやれ」って言って「できると思うのか@@」というそういうことになるわけで、耳鼻科の先生は何年医者をやっても、そんな手術に関わったことないし、やれるはずがない、ということになります。しかも、「患者と家族の健康管理全般」って言ってもだよ? 一家の中で、「お母さんが婦人科の病気で、婦人科にかかっていた」ら、後の家族は全員男性だったとしても、「婦人科で健康管理全般」をやって貰わなきゃならないんですかね? 婦人科の病気にはなるはずがないのに?? となるわけで、「かかりつけ医」って「何の話だ、それ?」と思う-;。

 「かかりつけ医」制度をきちんと機能させたいのであれば、「一次機能(一般的な開業医、クリニック、普通の総合病院)」と「二次機能(大きな総合病院、大学病院)」くらいに分けて、一次機能の病院間の連携、すなわち「カルテ情報の共有」ができるようにしないといけないと思います。そして、纏めた「カルテ情報」は「二次機能の病院」でも参照できるようにすべき。うちの場合だったら、若旦那と姉さんが「カルテを共有」して、それぞれの専門的な見地から所見を出して、互いに総合的に判断できるようでないといけないと思います。「診断基準」とか「治療基準」とか「検査項目」というのは、もうたいがいが決まってるものなので、科が違えば医者の方針が異なるなんて、よっぽどのことがない限りあり得ないのね、現代はね。特に「保険診療」の範囲では。糖尿病の患者が主に循環器にかかってもしょうがないし、循環器の患者が糖尿病もないのに糖尿病の病院にかかる意味なんかないんすよ、本当のところ。で、患者が途中で肺気腫とか出て来たら、呼吸器の医者にかかるべきだし、かかった先の呼吸器の医者は、カルテを共有できれば、患者の糖尿病の状態、心臓の状態を自分で苦労して調べずとも、カルテを見れば分かる、ということになった方が良いのです。誰かが医療過誤(過失による見落とし)をしても、別の誰かが指摘して、問題にならないうちに、修正してあげることもできるし。で、手術するようなことがあれば、どこの病院でどんな手術を受けたのかも、関係する医者全員で共有できる。そうすれば、患者は一々、ちゃんと書いてあるかどうかも分からないような紹介状とか、カルテの開示とかを求めなくても、安心して専門的な医療を受けられるようになるわけです。

 そして、一次機能の病院が、二次機能の病院に紹介するときには、「同じ科(あるいは同類の科)」に紹介するのか「異なる科」に紹介するのか、でも、紹介状をどう書くべきなのか、とか、ちゃんと各学会で検討して基準を作らないといけないと思う。「同じ科(あるいは同類の科)」に紹介する場合には、診断名を、検査の結果の添付くらいで、求めたいことの意味は相手の医者にも伝わる、と思います。どっちも同じ専門で、同じだけの知識を持っているから。でも「異なる科」に紹介する場合は、相手の知識と自分の知識に差があって当然だし、設備の差なんかもはっきり分かるわけですから、それを考慮した「紹介状」を書かないといけないのです。でないと、「情報の提供不足」は指摘されると思います。

 今回、日赤循環器のじいさんの「狸」な紹介文はね、「訴訟の場」に持ち出したら、「どこが問題」なのか、弁護士さんや素人さんには、ものすごく指摘しづらいだろう、と思います。まあ「嘘をついている」点は、「信義則違反」は問えるけど、その程度や意味を論じるのは厳しいかな、と思う。というか、これは「じいさん」から「姉さん」への紹介文だったら、「これで良い」と私は個人的にはそう思います。どちらにも「心不全」の診断はついていませんが「心不全」の所見は書いてあるわけだから、「経過観察」って「ごく軽い心不全に対する経過観察をすればいい」って専門家同士なら「暗黙の内に」分かる、と思うからです。でも、これが若旦那への紹介状だったら、「ダメ」です。軽度であっても「心不全」あるいは「心不全疑い」ってはっきり書かないと、相手にそのニュアンスが伝わるかどうかが分からない。そして、「心不全」に対する経過観察っていっても、若旦那のところには心エコーができる設備がそもそもないので、「年に1度は、日赤の循環器を紹介して、心臓の状態の確認のための、心エコー検査等を受けるようにさせて下さい。急速にはっきりした心不全の症状が現れた場合も、うちが主治医だから紹介して下さい。」って付け加えなければダメです。でないと、それが必要だと、若旦那に通じるかどうかが分からないからです。だって、「かかりつけ医」「二人主治医」ってこういう意味なんじゃないの? お互いに補いあってこそじゃん? と思う。姉さんの方は、姉さんのところで、ある程度心臓に関する検査ができるし、紹介のタイミングの判断もできると思われるので、そこまで気を遣わなくて良いと思います。だから、「かかりつけ医」と言うからにはだねえ? 各学会も「紹介基準」みたいなものを明確に作らないと、うまく機能しないと思います。今のところは、意味不明な制度だと思います-;。

 今、エコーの勉強中だからねえ。メールは今日、明日中に出します。もう気分は研修医ですよー;。

 そして、今回の問題点は「加齢による変化」と「エコーの機械の問題」かな、と思う。どうも、日赤のエコーの機械は「よくよく軽いちょっとした弁の逆流」程度だと、「逆流」って判断しないらしいのね(どこの機械も同じなのかは知らないけど)。だから、ドップラーで逆流が肉眼で確認できても、機械が拾ってくれない逆流はけっこうあるのだと思う。この性質を利用して、じいさんは診察室で言ったことと、紹介状で違うことを書いているわけです。まあでも、これは姉さんに「御確認下さい」って言うか、書くかすれば、姉さん自身がいずれはっきりさせざるをえない件だし、姉さんのところにもエコーはあるからねえ。再検したっていいんじゃん? 検査に時間をかけすぎないでよね? とかそんな感じである。

 それから「加齢による変化」の評価は、学会基準でクライテリアが明確にされていれば、それに従っていいです。されていないものは、ないものとして評価しないとダメです。でないと、各医者の勝手な判断で「心不全」って診断される患者と診断されない患者が出て来るわけで、そんなことしてたら統計をとって治療方針を決める学会だって、正確な治療指針が決められないじゃん、となる。というわけで、「TR軽度、MRstageA、ARstageA、HFpEFstageIあるは軽度HFpEF疑い、心臓に対して即時の投薬治療は要さないが、1~2年に1回程度の心エコー、BNP測定等の経過観察を要する。」という診断をして貰ったと、「受け止めてます」。こういう点ではじいさんは、親切だったと思うけど、紹介文はねえ? 微妙よねえ? となるわけですが-;。