さて、どうやらかかりつけ医は、よくよく理詰めでいかないと、まともな道をみつけられないらしいので、「検査と適応疾患」と、「臨床検査のガイドライン」という本を買ってみました。・・・私も結局「検査」の道に戻っちゃったらしいー;。あとは、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」と、啓蒙活動用に「患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド」も買ってみました。重要なのは最初の2冊で、エビデンスは補助的、最後のは私用のではありません。
そして、なにが私の考える「理想のかかりつけ医」なのか書いて欲しい、と言われる気がしますので、書きます。父親の方は、eGFRの低下を見た時点で、慢性腎臓病である、と思わなければいけません。そして、基礎に糖尿病があるのだから、「糖尿病性腎症」の可能性も考慮に入れつつ、「CKDを伴う糖尿病」としなければなりません。これを勝手に単なる「糖尿病」扱いにしてるそうなので、修正のために私から言って、市民病院にいったん戻してくれ、っていうのは、それは良いです。分かりやすいですし、市民病院には慢性的なeGFR低下の血液検査の記録があるので。ついでに悪玉コレステロールの値も調べてくれって言っても良いです。(コレステロール値は正常だけど)そして、念のため、糖尿病の詳しい精査をして欲しい、というのも私から言いやすいです。
姉の方は、一定の道筋ができてるので、とりあえず問題ないです。元気だし。
一番複雑なのは、母親の件であって、これが初動が非常にまずい、と私は思っているのです。要は、栗田建設がちゃんとした法律の規定を満たした地盤調査をやらずに家を建てたので、元の地盤の状態が分からなくなって訴訟沙汰になってるのと同じ事で、治療前の患者の状態が検査により明確になっていないので、その後の治療と検査の状況に影響が出る事態になっています。
まず、患者には、高血圧と、血尿と軽度から中等度の腎機能不全(eGFR低下)があります。これは診断名はともかくとして、概念的には一体のものとして考えて、その後の検査と治療の方針を立てないといけないと思います。高血圧性の腎機能低下で、明らかな「腎硬化症」といえるほどまで腎機能が低下していれば、蛋白尿があるかもしれませんが、でも腎硬化症で「蛋白尿」は軽度とされていますし、一方、総論として
腎臓は初期の機能障害ではまず蛋白尿ではなく血尿が出ることがある
という、「事実」があるわけですから、高血圧(あるいは血尿)の既往がせいぜい半年と短いことを考えれば、高血圧によって初期の腎機能障害が来ている可能性が高い、と「かかりつけ医」はまず判断すべきです。そして「血尿+2」は「腎機能eGFRが60mL/分/1.73㎡未満に低下するリスクファクター」とされていますので(CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017(2015追補版))、これはeGFRを低下させる要因として重要なのです。(というか、機能的には腎機能の低下(eGFRの低下)が血尿をもたらすと考えるべきなのですけれども。)これが続く限り、eGFRはそれこそ「生理的」に緩やかに低下するのではなく、病的に低下し続ける可能性があるのです。だから、腎機能が病的に低下している可能性が高いとして、腎機能の精査をしないといけません。血尿2+を伴うeGFRは「生理的」に減少してると断言できるものではないのです。
そして、血尿そのものも原因を精査しないといけない。なぜなら、血尿の原因には腎前性、腎後性があって、尿路の炎症、癌(膀胱癌、尿道癌)でも出血し得ますし、日赤のウロの医者が婦人科系の臓器の悪性腫瘍を1例に挙げていましたけれども、尿路系以外の原因とすれば、頻度は低くても、尿路に浸潤し得る全ての悪性腫瘍、すなわち婦人科、消化器科、腹腔周辺の結合組織などの悪性腫瘍や、尿路の波及し得る炎症が尿路に浸潤して血尿の原因になっている可能性もあります。頻度的には「ない」も同然かもしれませんけれども。(特に一般的な「炎症」は痛みや発熱が来ますから、まず単独での血尿をもたらすことはあり得ない。腹膜炎とかは起きれば「痛い」どころの騒ぎではない。)
よって、初動としては、高血圧に伴うCKDが進行している可能性が高いので、血尿の除外診断(尿路の精査)、と腎機能の精査(慢性腎不全なのか腎硬化症とまで言えるのか、腎不全が進行性なのか否か)の精査を腎臓内科の専門医に依頼して、更に高血圧の程度を循環器にコンサルテーションすれば、それが「かかりつけ医」としては完璧な対応でした。eGFRが44といえども、「血尿++」を伴っているからです。
だけど、ともかく「血尿++」を患者に隠蔽して、検査もせずに高血圧の治療を始めちゃいました。その結果、血尿は止まりました、腎の萎縮もないし、オールオッケー、無問題・・・・・となってるのが「今」の状態なわけです。患者の状態は改善してる。でも、治療により修飾が入ってるので、一番最初の治療前の腎機能の精査ができてません。家を建ててから地盤調査ができないのと同じ事です。そして、血尿が止まった以上、その原因の精査もできません。だから、「腎機能不全の際に、血尿が顕著に認められる患者だから、再度の腎機能低下がきた場合には、まず血尿を早急に完治するための尿検査が重要である」という当然の結論がかかりつけ医のせいで、出せなくなっているのです。でもって、かかりつけ医がしのごの言って尿検査を拒否して、患者が悪くなる可能性の方に追いやってます。そして、かかりつけ医で血液検査をして「慢性腎臓病」の診断をつけることすら、まだやってない、とそうなります。eGFRが低下してるのに???
というわけで、まず「慢性腎臓病」の診断をつけさせないといけません。クライテリアは明確だから、血液検査をしていれば自動的につきます。
だけど、今から述べても仕方ないですが、結果次第で悩ましくなるわけです。eGFRが45以上なら、「軽度慢性腎不全」としてかかりつけ医で「経過観察」が妥当です。専門医に紹介するレベルではないから、といって診断名もつけず、経過観察(血液検査等)をしなくても良い、ということではないです。eGFRが44以下なら、「心配だから精査を」って言って、まあ紹介させても良いレベルかも、と思います。薬の治療による修飾があっても、前回よりも低下しているといえるからね。「腎臓内科の専門医」に連れて行く、のが目的というか「課題」なのであればそれでも良いと思う。
でも、父親も母親もそうですけれども、検査をするのは治療のためであるので。(まあ、病気の確認でも良いですけれども)逆に言えば、治療に影響与えなさそうな専門医に何のために連れて行くの? 確定だか、除外だかのためだけ?? と思う。「慢性腎不全」の診断を「専門医でないとつけらない」という「呪い」自体が、もう正常の医療の状態ではなくて「崩壊」してる状態なので。クライテリアに従って診断できないかかりつけ医、正しい診断結果に従って検査のできないかかりつけ医は通常であれば、訴訟を起こされても文句言えないですよ。治療だけは、私が正しい判断をしてるから、正しい治療になってるだけなので。
で、あとはいわゆる「周辺事情」になりますが、なんだか尿糖の説明をするのに、フィルターがどうのとか言ってた気がするわけでー;。尿糖は腎機能とはあんまり関係なくて、「尿糖が出るから腎機能が悪化する」なんてことはどこにも滅多に書いてありません。糸球体は、いったん糖を全部濾過するのが正常です。糖は尿細管から再吸収されて再び血中に戻りますが、再吸収力に限度があるので、多すぎる尿は再吸収されずに尿中に残って排泄されてしまうのです。フィルターの問題じゃないよ?? お願いだから、学生時代の組織学と生理学の教科書を読み直してください。自分の専門分野に関することだけでいいからさあ??? 私はあなたの家庭教師ではありません、と思います-;。
そして、人の命に関わることで、勝負めいたことはよろしくないと思います。裁判で書証の数が88とか、そういうお遊びと、人の命に関わることは同じレベルのことではないので。私はたとえ味方であっても、こういうやり方には賛成できません。まあ、して欲しい、と言われることにはできるだけ協力はしますけれども。