ええとですねえ、COVID-19感染症についてですが、システム的な問題点を挙げて欲しい、と言われる「気がする」ので、思いついたことを書きます、まず、名称を「COVID-19感染症」と変えなければいけません。現在のところ、肺炎の症状ばかりが取り沙汰されて、肺炎ばかりが重要なように言われていますが、基本的には「風邪」と同類の病気であり、一般的な風邪も重症化すれば肺炎を起こすことはよく知られていると思います。
現在の政策でまずいところは、だいたい「何割の患者が重症化する」という統計から、最初から「重症者○○人」「軽症者○○人」と数えてしまって、それで政策を決めているところだと思います。でも、一般的な風邪の治療は、普通そんな計算をしませんよね? と思う。「風邪かな?」と思ったら、うがいをする、暖かくしてゆっくり休む、熱が出たら薬を飲む、病院に行く、とすると思います。患者さんは「自分が何割の軽症者だから病院に行く」とか「行かない」とかって決めて、病院に行く、行かない、を決めているわけではありません。初期症状のうちに、病態を沈静化させてしまえば重症化しないことも一般の風邪と同じであると思います。ですから、初期症状のうちの治療がとても大切になってきます。
新型コロナウイルス感染症 診断の手引き
こちらが、厚生労働省で作成した「診断の手引き」です。ここにも
「感染が疑われる患者で,臨床的に肺炎と診断した場合には,病原体診断の結果を待たずにエンピリックに抗菌薬を開始することが望ましい。(10p)」
(エンピリックセラピー:経験的治療。治療者が、医学的に厳密な根拠というよりは自分の経験を基準にして、治療を行うこと。とくに感染症が疑われる場合で、原因菌を特定する以前の初期治療において、医師が抗菌薬を投与すること。)
」
とあります。また、抗ウイルス薬については、
「治療効果を得るにはより早期に投与されることが求められる。(12p)」
とあり、
「ファビピラビル(RNA合成酵素阻害薬、商品名「アビガン」)(12p)」
とあるのに、
「初期症状が疑われる患者には、副作用などに留意して、抗菌薬を投与するように」
との明確な記載がありません。「エンピリック」という文言がくせ者で、ほとんどの医者はCOVID-19感染症の経験がないわけですから、自分の経験に基づいた治療なんてできるはずがありません。診断の手引きから「エンピリック」の文言を外して、どんな医者でも、用法・用量を守る、実際に使っている機関に薬の使用方法を問い合わせる等の確認のみで、広く「ファビピラビル(アビガン)」を、初期段階で感染が疑われる患者さんにも投与すべきと考えます。それなのに、厚生労働省では、感染が疑われる初期段階の患者さんに対して「自宅待機するように」と述べるだけで、治療や重症化予防の措置を執ろうとしていません。これでは、重症化を防ぐために一番必要な「初期治療」ができません。(要するに厚労省の言ってること、やってることに矛盾があるのです。)
「重症者が1割~2割」という情報も、初期治療をやらないとそうなるのか、しっかりやってもそうなのか、ということの統計はないわけで、初期治療をきちんとやれば、重症者の発生を防ぎ得る可能性はいくらでもあるのに、です。
そして、「複方ヨード・グリセリン塗布等」ですが、
複方ヨード・グリセリン
の適用については、「咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎」とあるわけですから、初期段階の患者さんに対して「肺炎を起こしていない」で片付けてしまわないで、症状がある人には「咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎」(場合によっては「ウイルス性腸炎」)といった診断名をきちんとつけて、各症状に併せた治療を行うよう、これも「診断の手引き」に記載しないといけません。これも初期症状をケアして、重症化を防ぐために必要だと思います。医者の世界は、医者の裁量で行えることも多いですけれども、保険診療との兼ね合いで、こういう上からの「マニュアル」とか「手引き」は非常に重要視されます。(それに、患者さんに何かあっても「基準を満たした治療を行っていれば、後で訴えられて責任を取らされなくて済む」とか、そういう不文律もあるのです。)ですから、厚生労働省の「診断の手引き」は非常に重要なのです。
COVID-19を理由とした「診療拒否難民」が「指定感染症扱い」のせいなのか、どうかということは私には分かりません。患者さんと対面しなくても、医者が「疑いあり」でアビガンを処方できて、保健所の方で「疑い」患者さんの追跡調査ができればそれで良いように思う。必要があれば特例的な「指定感染症枠」を増やすことで対応とか、柔軟な運営は可能だと思います。でも、ほとんど症状のない人を「診断されたから」隔離するということが、どうかと思うのです。「診断されていない人」に自宅待機が求められるのであれば、「診断された人」でも自宅待機可能であれば、「それで良い」とすべきです。どのみち、市中感染はもはや免れない状態であり、「感染拡大速度」のみを重視するのであれば、そうするしかないと思います。これについては、
「新型コロナウイルス感染症:指定感染症であることによる混乱の可能性」
という方の意見におおむね賛成です。「治療法さえ確立されれば」インフルエンザと同程度の扱いで充分なはずである、という認識も必要であると思います。ただし、重症化の速度が速いので、「迅速な初期治療と感染(疑い)初期の経過観察」には良く良く注意する必要がある、とそういうことなのだと思うのです。患者さんへの対応は、必要であれば法の改正とかで柔軟にやっていくしかないと思います。でも、どの法律を変えれば良いのか、それとも厚労省からの「通達」だけで良いのか、そこのところは私にも良く分かりません-;。
で、一般的な医者の「診療拒否」の原因は、厚生労働省の通達にあって
新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について
に、「患者が発熱や上気道症状を有しているということのみを理由に、当該患者の診療を拒否することは、応招義務を定めた医師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 19 条第1項及び歯科医師法(昭和 23 年法律第 202 号)第 19 条第1項における診療を拒否する「正当な事由」に該当しないため、診療が困難である場合は、少なくとも帰国者・接触者外来や新型コロナウイルス感染症患者を診療可能な医療機関への受診を適切に勧奨すること。(2p)」と、厚生労働省が「応酬義務違反に該当しない」という免罪符を与えていることが原因です。ようするに「うちじゃ診れないけど、診れるところへ行ってくれ」と言えば、それで良い、と厚労省がお墨付きを与えているのです。感染が疑われる患者が来院したら、患者さんではなく、病院から保健所へ連絡させること、保健所でPCR検査~アビガン投与(脱水を起こしている人に対しては輸液)くらいのことはこなせるようにして、それから保健所が責任をもって搬送先を確保するようにしないと、患者さんはどんどん重症化するのではないか、と心配です。救急車に乗せて10時間以上もたらい回ししたら、救急車の意味もなくなるし、他の救急患者さんに迷惑です。
厚労省絡みの問題で、すぐに思いつくのはこの程度です。東京都では、なんとか病院のパンクを防ごうと独自の路を模索していますが、初期患者のケアとアビガン投与をもっと気軽にできるように体制を整えないといけないと思います。それには厚労省の「診断の手引き」にないことをやらないといけないわけで、独自でやろうとしたら厚労省と対立するかもしれません。でも、人々のために、これができたら百合ちゃんは英雄になれると思います。ブレインの医者とか弁護士とかを駆使して頑張って欲しいと思います。