大塔物語序  

原文  

大而天下之収乱盛衰、小而一事之得失成敗。非史不観固也。傍史之於正史、猶分泒之与本流、正史本而傍史末、是亦不論也。

書き下し文  

大は天下の収乱盛衰、小は一事の得失成敗。史にあらず観固すること能はざるなり。傍史之正史に於いて、猶ほ分泒之本流のごとし、正史は本、傍史は末、是亦論を待たざるなり。

意訳  

重大事は天下が平和であるのか乱世であるのか、栄えているのか衰えているのかであり、一時の損得や勝ち負けは小事である。記録にないことは元より見ることができない。傍史とは正史にとって、まるで本流から別れた末流のようなもので、正史が本流、傍史が末流であり、これは論じるまでもない。

 


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