== 概要 ==
その名前の意味は「ブバスティスの女主」である。その名前の意味は「ブバスティス(下エジプト)の女主」である。初期のエジプトの象形文字では、彼女の名前はbꜣsttであったようだ。
バステトは猫の女神として知られる。しかし初めは猫ではなく雌ライオンの頭部を持った姿で崇拝された。紀元前1000年頃に猫の姿あるいは猫の頭部を持つ人間の姿とされるようになった<ref name="Yoshimura" /><ref name="Storm">レイチェル・ストーム, ヴィジュアル版世界の神話百科 [東洋編], p122-124</ref>。人間の姿の場合はしばしば手にシストラムという'''楽器'''(子供をあやすガラガラのような楽器)、盾、籠を持っている<ref name="Rossini&Anthelm">ステファヌ・ロッシーニ、リュト・シュマン=アンテルム, 図説エジプトの神々事典[新装版], p46-47</ref>。
もともと雌ライオンの女神で、セクメトなどの他の神々と役割が共通していた。最終的にバステトとセクメトは同じ女神の2つの側面として特徴づけられ、セクメトは強力な戦士と守護者としての側面を表し、バステトは猫として描かれることが多くなり、より穏やかな神の側面を表した<ref>セルペル「猫の家畜化と歴史」184ページ。</ref>。
猫は古代エジプト人が初めて家畜化した動物と言われている。エジプト先王朝時代の紀元前6000年頃、ヒエラコンポリスの貴族の墓より猫の骨が発見されている。また紀元前4000年紀後半には家畜化されていたと考えられている<ref name="Yoshimura">吉村作治, 古代エジプトを知る事典, p312</ref>。