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カナダのノバスコシア州には''"The Sons of North Britain"''という5/4拍子のバラッドが伝えられてきた。その歌詞の内容からブリテン諸島にルーツを持ち、コンラとクー・フーリンの説話を下敷きとしたものだと考えられている。
この歌ではコンラに相当する父親に殺される息子は二人の兄弟となっており、姓はマンロー (Munroe) とされる。7年前、スコットランドに置き去りにされた兄弟は両親を探していたが、偶然遭遇した父親に胸を撃ち抜かれてしまった。辛うじて息のあった兄の言葉から父親は彼らが自分の息子であったことを知る。兄は最後に、母親がもしまだ生きているのなら彼女を苦しめないよう自分たちの死は伏せておいてほしいと父親に言い残し、息を引き取った。{{sfn|とされる。7年前、スコットランドに置き去りにされた兄弟は両親を探していたが、偶然遭遇した父親に胸を撃ち抜かれてしまった。辛うじて息のあった兄の言葉から父親は彼らが自分の息子であったことを知る。兄は最後に、母親がもしまだ生きているのなら彼女を苦しめないよう自分たちの死は伏せておいてほしいと父親に言い残し、息を引き取った<ref>Barry|, 1913|pages=183, p183-184}}</ref>。 == 私的解説 ==クー・フーリンとコンラは「互いにそれと知らずに殺し合う父と息子」という文芸的な悲劇性の高い伝承である。クー・フーリンとは名前の子音からみて、[[ミャオ族]]の[[アペ・コペン]]から派生した英雄と考える。一方のコンラも[[コペン]]から分かれて発生したもので、「息子神」かつ「父神から分岐した神」として、インド神話のハヌマーンや、ギリシア神話の[[ヘルメース]]に相当すると考える。基本的には「父神」に相当する存在を英雄化・神格化する過程で、「悲劇的に死ぬ存在である」という点や「何かを盗もうとしたと非難される存在である」という負的な性質を本体から切り離して「息子神」として'''分離させた'''のだろう、と考える。インド神話では、ハヌマーンはインドラに殺されるが、父[[ヴァーユ]]の尽力で蘇生される。ギリシア神話の[[ヘルメース]]はアポローンの牛を盗んで窮地に立たされるが、ゼウスに救われる。神話において「父に救われる息子」と「父に倒される息子」は近縁姓の高い表裏一体の存在なのではないだろうか。
== 参考文献 ==
* カーティン, ジェレマイア, 安達正, アイルランドの神話と民話, 2004, isbn:9784882028727
* 木村正俊, スコットランド文学―その流れと本質, 2011|pub, 開文社出版, isbn:9784875710585
 
== 関連項目 ==
* [[ヘルメース]]:息子神である。
== 注釈 ==
[[Category:ケルト神話]]
[[Category:魔術師]]
[[Category:再生神]]

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