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1,748 バイト追加 、 2025年1月9日 (木)
台湾のパイワン族中部パイワン群カビヤガン社の伝承。
<blockquote>昔バジという男がいた。その親指の節間と両眼とに、怪光あり。これに射られた者はみな死んだ。よって、家人が食事を与える時は、頭に布を被らせた。ある日、漢人がバジを殺して、その首を布に包んで持ち帰った。ウジジジュジで包みを開くと、その目はなお赤く光り、漢人はみなこれに射られて死んだ。バジの住んだ家の跡は未だにあるという。昔バリになった(目から光の出る)人がいた。彼が見るものは何でも死んでしまった。配下は彼を恐れて、山の中に家を作り、彼をそこへ送った。しかし、食べ物は与えていた。その費用が大変なので、バリを殺そうとした。バリは切りつけられると、怒って睨みつけたので、切りつけた本島人は死んでしまってわずかしか残らなかった。バリが死んだので、首を取って布に包み、家に持ち帰った。ところが、見物に来た人たちはみなバリの目を見ると死んでしまった。「これはいけない」ということで生き残った人々は首を川へ持って行って淵の中に入れた。それからそこは常に不吉で、そこへ行くとみな病気になるそうだ<ref>神々の物語、台湾原住民文学選5、紙村徹編、草風館、2006、p322、『番慣』第五巻ノ一、p192神々の物語、台湾原住民文学選5、紙村徹編、草風館、2006、p323、『原語』pp271-273</ref>。</blockquote>
==おそらく類話 = 私的解説 ==== 祟り ===台湾のバルン神話は、三輪山の大物主と倭迹迹日百襲姫の婚姻譚に似る。こちらの場合、家族が娘の姿を見てはならないことになっている。そして、おそらくバルンは夫の後を追って入水したと思われるけれども、その点ははっきりしていない。彼女が「形見の品」として家族に首飾りなどを残すのは、朝鮮の伝承の「兵庫県美方郡小代村熱田では昔悪い事をする人があったのでみんなで殺したが、それから祟りがあり色々と災いが起こったので神として祀ったという<ref>[[肥長比売|龍女]https://www.nichibun.ac.jp/cgi-bin/YoukaiDB3/simsearch.cgi?ID=2410051 怪異・妖怪伝承データベース]」に似る。、国際日本文化研究センター(最終閲覧日:25-01-06)</ref>。
そして、彼女に温かい食事を供すると、狩りの獲物が増えるとされている。この部分は、かつてバルンが狩猟民的な民族の「'''太陽女神'''」だったことの名残かと思う。温かい食事を求めるのは、温かいものでないと彼女を暑くできない、とされていたからかもしれないと思う。(彼女に対する生け贄を焼いたことの名残かとも考える。)==== 私的解説 ====兵庫県美方香美町郡小代区新屋、現在は廃村となり、熱田集落跡、とのこと。約800年前に尾張国熱田神宮に仕えた田野氏が移住して開いた集落である。善光寺から勧請されたとも言われる薬師如来像が祀られている観音堂がある。但馬牛再興の地として名高く、豪雪地帯で「秘境」と呼ばれていた。兵庫県だけれども、東国の気配が感じられる集落である<ref>純血種が奇跡的に残った”和牛の聖地”廃村「熱田集落」(最終閲覧日:25-01-06)</ref>。
前半部分は、[[肥長比売]]の伝承よりはエンリルとニンリル的な雰囲気が良く出ている、と考える。バルンが湖に飛び込むのは、「== 私的解説 ==台湾原住民の「邪視」男は、その眼が'''大洪水赤く'''」の暗喩も含まれているかと思う。オーストロネシア語族が中国本土を離れる際には、[[バロン]]とダロン、言い換えれば[[伏羲]]と[[女媧]]は、すでに「'''蛇形の神怪しい光を放つ'''」とされていたことが分かる。、というのが定番のようである。「射られた」という言葉にあるように、これは「弓矢」のような武器に長けた者のことを指していると思われる。また、「火」のような光線を放つことから、[[祝融]]のように火を自在に操る神のことを連想させる。
タロマク社のバルンと、ミャオ族のおそらくこれは、弓の名人である[[バロン羿]]は当然同じ起源の神と考える。のような[[黄帝型神|黄帝型]]の英雄神と、祝融のような火神を習合させた合成神ではないか、と考える。ここから # [[邪視]]のような習俗(主に中東より西)# [[甘基王]]、へーラークレース、アキレウスのような'''悲劇的な死を遂げる'''ことが多い英雄# いわゆる「魔術師の弟子」系の話。# '''悪神としての水神'''、[[河伯]]、[[河童]]など(主に中国より東) が派生したと考える。中東より西にはバジのような人の害を避けるにはどうしたら良いか、という考えが広がったが、中国よりも東では[[邪視]]の思想はあまり広がらず、死んで「悪神としての水神」と化してしまったバジにどう対応するのか、という点に重点が置かれたのではないだろうか。その結果、[[河伯]]に人身御供を妻として捧げて慰撫したり、首を切られた[[河伯]]になぞらえた人身御供の首をはねたりしていたと思われる。この「はねられた首」を饅頭におきかえて神に捧げるようになったのだろう。
== 関連項目 ==
* [[女媧邪視]]* [[バロンアペプ]]* [[肥長比売]]* [[ダロン布洛陀]]:チワン族の神。バジと同起源の神と考える。郎正はチワン族のバジといえる。
== 脚注 ==
[[Category:台湾神話]]
[[Category:邪視]]
[[Category:親指]]
[[Category:黄帝型神]]
[[Category:祝融型神]]

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