=== 長野市信州新町の女神 ===
全体において、「「雉も鳴かずば」やその類話は、全体において、「'''父と娘'''」の伝承の感が強いのだけれども、信州新町の話と、松浦市・大阪市との話で大きく異なる点は、「」の伝承という感が強いのだけれども、信州新町の話と、松浦市・大阪市との話で大きく異なる点は、「'''娘の性質'''」であると考える。信州新町の話では「娘の失言」によって父親は死に至る。要は'''娘が父親を死に追いやっている'''。松浦市・大阪市の話では失言は「父親自身の失言」であって、「'''自己犠牲'''」というおおよそ太古からの伝承にはあまりそぐわないようなここ2000年くらいの新しい概念が目立つように思う。父親は自分で勝手に死を選ぶ。これが錦帯橋の話になると、もはや雉は登場せず、娘二人の「'''自己犠牲'''」という話になる。時代が新しくなるほど、'''女性が犠牲になる話になる'''、という点は、管理人としてはやや遺憾に感じる。(別に男性が犠牲の方がいい、とは言わないけれども。)
ただ、錦帯橋の伝承の良いところは「'''娘が二人いる'''」という点だと考える。娘は本来二人いたと思われるからである。この系統の伝承で、起源的に近いものは記紀神話の中の、[[天若日子]]の話と思われる。[[天若日子]]の死に関して、二人の女神が登場する。一人は不吉な言葉を吐いて、[[天若日子]]の死の原因になる[[天佐具売]]である。もう一人は[[天若日子]]の妻の[[下光比売命]]である。