差分

「浦島太郎」という名前は中世の物語から登場し、それ以前の文献では「浦島子」の伝説として記録される。この浦島子にはモデルが実在しており、複数の史書にその名が見える。浦島子は日下部首の先祖であるとされる<ref>[[宝賀寿男]]「第2章 宝賀寿男「第2章 皇族系氏族 第7節 日下部氏族」『古代氏族系譜集成』上巻、古代氏族研究会、1986年。</ref>。

浦島子が誘われる場所は[[蓬萊]]（[[常世国|とこよのくに]]）なので、これら伝説は異郷淹留譚（仙境淹留譚）に分類される{{sfnp浦島子が誘われる場所は蓬萊（常世国|とこよのくに）なので、これら伝説は異郷淹留譚（仙境淹留譚）に分類される<ref>三浦|, 1989|pp=84, pp84, 96}}{{sfnp|</ref><ref>重松|, 1981|p=175}}, p175</ref>。

蓬萊山は、中国における[[不老不死]]の[[理想郷]]で、[[道教]]の中核にある[[神仙思想]]の産物である。浦島子伝説には、こうした神仙思想的（道教的）要素が見いだせる蓬萊山は、中国における不老不死の理想郷で、道教の中核にある神仙思想の産物である。浦島子伝説には、こうした神仙思想的（道教的）要素が見いだせる<ref>瀧音能之「浦島」 / 小野一之・鈴木彰・谷口榮・樋口州男編 『人物伝小辞典 古代・中世編』 東京堂出版、2004年、36頁</ref>。ただそのことについては、現地の伝説を取材したが原作者の漢籍癖が出たためとも<ref name="toki-no-manyoshu"/>、唐伝来の話の翻案であるから、とも論じられる<ref name="kato"/>。

8世紀に成立した『丹後国風土記』（現在は逸文のみが残存）にある「筒川嶼子」「水江浦嶼子」<ref>[http://homepage2.nifty.com/toka3aki///geography/fudoits5.html toka3aki 「国土としての始原史～風土記逸文」～山陰道] - [http://homepage2.nifty.com/toka3aki///index.html 露草色の郷]（『丹後国風土記』（たにはのみちのしりのくにのふどき）の逸文テクスト。「浦嶼子」は『釋日本紀』〈卷十二〉からの引用）</ref>は、浦島太郎の物語の原型と解されている{{Refn|group="注"|厳密に言えば、馬養の物語が原型であるが、丹後国風土記の編者が二つの話に差異はないと述べている（後述）。ただ三浦は、"馬養の物語の原型にもっとも近い作品は、先に少しふれた『続浦島子伝記』ではないか"との感想も述べている{{sfnp|<ref>三浦|, 1989|p=106}}。}}{{sfnp|, p106</ref><ref>三浦|, 1989|p=101, p101-106, 148}}。ほぼ同時代の『[[日本書紀]]』『[[万葉集]]』にも記述が見られるが、『丹後国風土記』逸文が内容的に一番詳しい{{sfnp|</ref>。ほぼ同時代の『日本書紀』『万葉集』にも記述が見られるが、『丹後国風土記』逸文が内容的に一番詳しい<ref>三浦|, 1989|p=65}}, p65</ref><!--"についてもっとも詳しい記事を載せているのは"-->。